Carbon Neutrality

2021.10.20(Wed)

カーボンニュートラルとは?気候変動に対する国や企業の取り組み事例

#Smart World #環境・エネルギー #サステナブル
グローバルな課題となっている気候変動。その主な原因である温室効果ガスは、企業のオフィスや店舗、工場からも多く排出されています。たとえば、オフィスで使用する電気の利用でも、代表的な温室効果ガスのCO2は排出され、廃棄される大量の用紙も焼却時にCO2が生じます。社会に所属する一人ひとりが環境問題へ立ち向かうために、「カーボンニュートラル」の概念を理解しておきましょう。こちらの記事では、カーボンニュートラルの意味や、国による主な取り組み、企業がカーボンニュートラルを実現する方法までお伝えします。

目次


    カーボンニュートラルの基礎知識

    国内外では、脱炭素社会の実現へ向けて二酸化炭素排出量の削減が課題となっています。そこで重要となるのが「カーボンニュートラル」の概念です。まずは、カーボンニュートラルについて基本から説明します。

    ●カーボンニュートラルとは?
    カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から吸収量・除去量を差し引き、全体で実質ゼロにすることを意味します。

    カーボンニュートラルの対象となる温室効果ガスは、主にCO2(二酸化炭素)、N2O(一酸化二窒素)、メタン、フロンなどです。これらを吸収・除去する方法として、植林により大気中の温室効果ガスを吸収させたり、新技術でCO2を回収および貯留したりする方法があります。近年では、大気中のCO2を回収・貯留する「DACCS」、バイオエネルギー施設で燃焼中に排出されたCO2を回収・貯留する「BECCS」などの新技術が登場しました。

    また、CO2の排出削減の一環として、石油や石炭に代わる再生可能エネルギーの活用も進んでいます。太陽光発電や風力発電、水力発電、バイオマス発電、地熱発電といった再生可能エネルギーを利用した発電方法は、「温室効果ガスを排出しない」「エネルギー源が枯渇しない」というメリットがあります。ただし、現状は火力発電と比べて安定的な電力供給を得にくく、コストが高くなってしまうのがデメリットです。今後はさらに普及が進み、技術が進歩することで、火力発電に代わる主力電源になると期待されています。

    ●カーボンニュートラルが重要視される背景
    世界では平均気温の上昇に伴い、地球規模で自然災害の増加や海面上昇、生物多様性の損失などの多くの問題が起こっています。これらは、化石燃料の燃焼や森林の大規模な伐採といった人間の活動により、温室効果ガスの排出が増加したことが主な原因です。持続可能な社会を実現するためには、温暖化対策をはじめとした環境問題の解決へ向けて早急に取り組まなければなりません。

    国際社会では1997年の「京都議定書」に引き続き、2015年にCOP21で採択された「パリ協定」で、各国が気候変動対策への取り組みを表明しました。同じく2015年に国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」でも、気候変動に関する未来の目標が盛り込まれています。国内でも、政府が2050年までのカーボンニュートラルの実現を宣言し、社会の脱炭素化へ向けた政策が実施されているという状況です。

    持続可能な社会の実現へ向けて、カーボンニュートラルの他にもさまざまな対策が始まっています。例として挙げられるのは、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」や「GX(グリーントランスフォーメーション)」などです。

    ●サーキュラーエコノミー(循環経済)とは
    サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、経済活動における資源の循環を促して廃棄物を減らす、新しい経済システムのことを指します。なお、従来の「大量生産→大量消費→大量廃棄」という直線型の流れの経済システムは、リニアエコノミーと呼ばれます。

    合わせて読みたい:
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    ●GX(グリーントランスフォーメーション)とは
    GX(グリーントランスフォーメーション)とは、技術開発により環境問題を解決へと導き、社会や産業に変革をもたらす取り組みです。新技術によって持続可能な社会を実現するとともに、経済成長のチャンスが期待されています。

    国によるカーボンニュートラルへの主な取り組み

    日本国内では現在、カーボンニュートラルに関して具体的にどのような取り組みがなされているのでしょうか。ここでは、環境省による取り組みの事例をご紹介します。

    ●脱炭素事業への出資
    環境省は、脱炭素事業に取り組む民間事業者への出資制度として、「脱炭素化支援機構」の設立を準備中です。支援対象として、再生可能エネルギーや省エネルギーに関する事業、資源の有効利用に関する事業などが挙げられます。これらの事業への出資により、新たなビジネスモデルの構築と、数兆円規模の脱炭素投資の誘発を目指しています。

    ●脱炭素経営の促進
    脱炭素経営へ取り組む企業に向けて、環境省がガイドの策定や情報提供などの支援を行っています。国際的にESG投資が活発な状況下で、企業価値の向上を目指すことが主な目的です。支援の一環として、2021年には「脱炭素経営フォーラム」がオンライン開催されました。

    ●脱炭素に取り組む地方公共団体への支援
    環境省はカーボンニュートラルに取り組む地方公共団体を支援しています。カーボンニュートラルへの取り組みを宣言した地方公共団体は「ゼロカーボンシティ」となり、環境省から計画立案や設備導入などの支援を受けることが可能です。地域の産業や雇用にもたらすメリットも期待されています。

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    CO2削減量はいかほど? 業界別に見る効果的な脱炭素の方法とは

    企業がカーボンニュートラルを実現するには?

    カーボンニュートラルを実現するには、社会を支える多くの企業による協力が欠かせません。ここでは、企業がカーボンニュートラルに対してどのような取り組みを行えるのかについてご紹介します。

    ●企業がカーボンニュートラルに取り組む方法
    カーボンニュートラルに取り組む場合、まずは自社の温室効果ガスの排出量を削減する施策の検討から始めると良いでしょう。たとえば省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの活用などです。脱炭素化へ向けた取り組みでは、公的な支援を受けることができます。環境省による補助・委託事業を利用できる可能性もあるため、ぜひご確認ください。

    CO2の吸収量・除去量に関しては、J-クレジット制度の利用でカーボンオフセットに取り組むことも可能です。カーボンオフセットとは、温室効果ガスの削減や吸収・除去に携わる事業者に対し、自社が排出する温室効果ガスの量に見合った投資を行うことで埋め合わせすることを指します。J-クレジットを購入し対象となる事業者への資金提供を行うことで、カーボンオフセットが可能となる仕組みです。

    合わせて読みたい:
    脱炭素の世界へ向けて、いま問われる企業の姿勢

    ●カーボンニュートラル達成に向けたNTTコミュニケーションズの取り組み
    NTTグループでは、カーボンニュートラル推進の指針として、環境エネルギービジョン「NTT Green Innovation toward 2040」を掲げています。こちらは、2030年度までにNTTグループにおける温室効果ガス排出量の80%削減(2013年度比)を目指すものです。さらに2040年度には、NTTグループのカーボンニュートラル達成を目標としています。

    NTTコミュニケーションズの具体的な取り組みとして挙げられるのは、リモートワークのインフラやルールを整備し、社内のワークスタイルを変革する「フレキシブル・ハイブリッドワーク」です。社員の生産性向上により新たなビジネスの創出を後押しすると同時に、オフィスのCO2排出量や電気使用量の削減が期待できます。

    ほかにも、自社のデータをモニタリングにより可視化することで温室効果ガス削減につなげる「GHG(温室効果ガス)排出可視化PoC」や、データセンターの省エネ、再生可能エネルギー利用を推進する「データセンターのグリーン化」などに取り組んでいます。

    NTTComの取り組みを知る:
    カーボンニュートラル達成に向けて。NTT Comが取り組むGX

    カーボンニュートラル実現へ向けて取り組みを始めましょう

    多くの企業で取り組みが始まっているカーボンニュートラルについて解説しました。世界的に脱炭素化への注目が高まり、各国の企業で目標達成へ向けた貢献が求められています。温室効果ガスの排出削減のために、まずは自社ができる施策を見つけて、目標を立てることが大切です。カーボンニュートラルの実現へ向けた一歩を踏み出してみましょう。

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