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2020.01.01(Wed)

デジタルヒューマンとは?
導入事例とメリット・デメリット、注意点

#CX/顧客体験 #AI #ロボティクス
近年のビジネスシーンでは顧客対応のデジタル化が進んでいます。テキストで自動対応する「チャットボット」や、音声で自動対応する「ボイスボット」などのデジタル技術がすでに実用化されている状況です。さらに、表情や身振り手振りを交えながら会話できる「デジタルヒューマン」が登場しました。本記事では、デジタルヒューマンの導入事例やメリット・デメリット、導入の注意点などを解説します。

デジタルヒューマンの基礎知識

デジタルヒューマンとは、どのような技術を指すのでしょうか。また、デジタル分野でどのような可能性があるのでしょうか。初めに、デジタルヒューマンに関する基礎知識をお伝えします。

●デジタルヒューマン(Digital Human)とは?
デジタルヒューマンの定義は、コンピューターで人間そっくりの姿に作成されたリアルな3Dモデルであり、AIによって制御され、人間に近い動きを再現します。バーチャルヒューマン(Virtual Human)と呼ばれることもありますが、その場合はAIの組み合わせにより、双方向のコミュニケーションを行えるモデルのみを指すことがあります。デジタルヒューマンには、実在の人物や架空のキャラクターなどを設定することが可能です。ビジネスの分野では、業務の効率化などのニーズを目的に導入されるケースがあります。

●デジタルヒューマンが持つ可能性*1
デジタルヒューマンは、メタバース・XR(クロスリアリティ)・NFTといったデジタル先進技術と連動することが可能です。新たなサービスや顧客体験の創出、市場の拡大が期待されています。カメラやマイクなどの機器でユーザーを認識させれば、声や表情を用いたリアルで親しみやすい対話が可能です。もちろん、活躍する場所は現実空間だけではありません。デジタルヒューマンがメタバース内でイベントを開催したり、映像コンテンツをNFTとして販売したりするなどの事例もあります。今後は企業のキャンペーンやイベントで活躍するほか、接客アシスタントやインストラクターとして活躍する可能性もあるでしょう。また、デジタル分野で社会に新たな価値を提供する技術として注目を集めています。

●デジタルヒューマンに用いられる主な技術
・3DCG
3Dのグラフィックを実現する技術です。デジタルヒューマンの顔の表情や体の動きなどをリアルタイムで生成します。

・音声合成
人間とデジタルヒューマンのコミュニケーションを成立させるための技術です。自然な音声を合成して、会話を実現します。

・音声認識
人間の話した内容をデジタルヒューマンが理解するための技術です。相手の言葉を聞き取って、自然な会話を行います。

・感情認識
搭載されたカメラで人間の表情を認識する技術です。これによりデジタルヒューマンは相手の感情に応じた反応を示します。

*1-1 https://hi-conso.org/column/international-trends/nft.html
*1-2 https://kigyolog.com/article.php?id=1482#4-0

デジタルヒューマンの主な導入事例

デジタルヒューマンの主な導入事例をご紹介します。具体的にどのような業界や業務で活躍できるのか、ぜひ参考にしてみてください。

●観光ガイド
デジタルヒューマンがツアーガイドや海外からの観光客への対応を担う事例です。たとえばNTTデータでは、ゴルフの全英オープンで来場者に情報を提供する「Lottie(ロティ)」によるおもてなしを実施しました。デジタルヒューマンがゴルフのトーナメントや選手に関する情報を提供します。将来的にあらゆる場所でゴルフファンのガイド役となると期待されています。

●接客スタッフ*2
デジタルヒューマンがリアル店舗での接客や売場の案内を担う事例です。顧客の買い物をサポートするコンシェルジュとしての役割を果たします。たとえばNTTコミュニケーションズのワークプレイス「OPEN HUB Park」では、東映・NTT QONOQとの共同実証で、デジタルヒューマン「CONN(コン)」が来訪者への接客を行っています。

合わせて読みたい:
異業種の技術融合から生まれたデジタルヒューマン「CONN」
“一社一人”の時代が到来する、デジタル接客の可能性

●Web接客への活用*3
デジタルヒューマンがECサイトなどのWeb上で接客を行う事例です。商品紹介を行ったり、顧客の相談に乗ったりする役割を担います。オペレーターがデジタルヒューマンやキャラクターを用いてWeb接客するサービスなど、新たなオンライン接客の形が注目されています。

●バーチャルモデル*4
デジタルヒューマンが広告モデルとなる事例です。企業やブランドのアンバサダーやインフルエンサーとしての活躍が期待されています。実際に、バーチャルモデルが着こなしを提案するようなファッションビジネスでの活用も行われています。

●バーチャルコンサート*5
デジタルヒューマンがコンサートに出演する事例です。近年では国内外を問わず、アーティスト本人の姿を再現したデジタルヒューマンや、自身のアバターなどをコンサートに出演させるケースが見られます。

*2 https://it.impress.co.jp/articles/-/24562
*3 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000085375.html
*4-1 https://www.fashionsnap.com/article/2021-02-09/zozo-drip/
*4-2 https://fashiontechnews.zozo.com/projects/project_drip
*5-1 https://hi-conso.org/column/international-trends/ui.html
*5-2 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000008285.html
*5-3 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2109/03/news075.html

デジタルヒューマンの主なメリット・デメリット

デジタルヒューマンを導入した際に期待できるメリットと、押さえておきたいデメリットをご紹介します。自社の課題の解決へ向けてデジタルヒューマンを活用しましょう。

●デジタルヒューマンのメリット
・労働力を確保できる*6
デジタルヒューマンは、24時間体制で休みなく顧客の対応ができます。企業の営業時間外にデジタルヒューマンが対応することで、顧客の利便性が高まり、顧客満足度向上につながるでしょう。また、問い合わせ対応における人手不足の解消も期待できます。

・人材育成の手間と費用を削減できる
デジタルヒューマンを利用すると、教育や研修の時間が不要になり、人材育成のコスト削減が可能です。必要な機能はアップデートによって速やかに追加できます。人的な要因で起こるミス(ヒューマンエラー)を減らせるのもメリットの一つです。

・多言語に対応できる
デジタルヒューマンは多言語対応を容易に実現できるため、グローバルなビジネスチャンスを逃さずに済みます。たとえば、外国人向け観光スポットの紹介や質問対応などの業務を任せられます。外国語を理解できる人材を確保できない場合に役立つでしょう。

・従業員の負担を減らせる
デジタルヒューマンに一時的な顧客対応を任せられるようになると、従業員の業務負担軽減につながります。簡単な仕事をデジタルヒューマンが担うことで、従業員は人間にしかできないコア業務に集中しやすくなり、生産性向上が期待できます。

●デジタルヒューマンのデメリット
・クオリティが求められる*7
デジタルヒューマンの制作では、一定以上のクオリティが求められます。利用者に親しんでもらうためにも、アバターの表情や姿勢は人間のように自然と動かさなければなりません。クオリティが一定の基準を満たさない場合は、「不気味の谷現象」により、デジタルヒューマンの好感度が急激に低下するおそれがあります。「不気味の谷現象」とは、人間に近づきすぎたロボットなどが、親近感よりも嫌悪感を抱かれやすくなる現象のことです。谷となるポイントを超えて見分けがつかないほどクオリティが上昇すると、再び共感されやすくなるため、クオリティは重要なポイントとなります。

・費用がかかる*8
デジタルヒューマンは制作の際に最先端のデジタル技術を用いるため、一般的に制作費用が高額になる傾向にあります。開発には、3DCGやプログラミングをはじめとした幅広い技術が必要となります。社内で制作するのが難しいのが難点です。

*6 https://www.accelainc.com/archives/1983
*7 https://e-words.jp/w/%E4%B8%8D%E6%B0%97%E5%91%B3%E3%81%AE%E8%B0%B7.html
*8-1 https://www.accelainc.com/archives/1983
*8-2 https://bizx.chatwork.com/digitalization/digital-human/

デジタルヒューマンの導入時の注意点・問題点

デジタルヒューマンの導入時は、自社の業務に適したデジタルヒューマンの種類を見極めることが大切です。デジタルヒューマンは、コミュニケーションの取り方によって「一方向的なタイプ」と「双方向的なタイプ」の2種類に分けられ、それぞれ特徴が異なります。やり取りが一方向的なタイプのデジタルヒューマンは、人間との会話には対応できません。その一方で、やり取りが双方向的なタイプのデジタルヒューマンは会話が可能です。デジタルヒューマンを導入する予定の業務では、顧客との会話が必要になるかどうか、事前に確認しておくと良いでしょう。自社の業務に適したデジタルヒューマンの種類を明確にした上で導入を検討するようおすすめします。

顧客対応でデジタルヒューマンを活用しましょう!

デジタルヒューマンの導入事例やメリット・デメリット、導入時の注意点までお伝えしました。ビジネスシーンでもデジタルヒューマンの活用が始まっています。ご紹介した導入事例を参考に、デジタルヒューマンの強みを生かして顧客に新たな価値を提供するサービスを創出しましょう。