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2021.10.20(Wed)

社会課題とは?世界や日本が抱える主な課題と、政府・企業の取り組み

#サステナブル #Smart World #データ利活用
社会には、今すぐに解決することは難しい、大きな課題が数多く残されています。これらの社会課題を解決するのは、とても時間のかかることかもしれませんが、社会に属する多数の人たちが協力することで、解決へ導く大きな力を生み出せるでしょう。本記事では、世界や日本における主な社会課題を紹介します。たくさんの課題が残されている中で、自社にできる取り組みを探してみましょう。

目次


    社会課題の基礎知識

    初めに「社会課題」の意味や、SDGsとの関係について解説します。ESGなどの観点から近年のビジネスシーンで重要視される、社会課題の基礎知識を押さえておきましょう。

    ●社会課題とは?
    社会課題とは、社会において発生し、解決に至っていない課題のことです。社会に属する一人ひとりが課題を自分ごと化して考え、解決へ向けて取り組む必要があります。その際は、対象となる社会の範囲によって、それぞれ異なる社会課題が存在する点にも留意しましょう。日本全国や全世界といった広範囲の社会だけでなく、一部の地域や組織における営みも社会とみなされます。また、いまだ顕在化していない社会課題も存在する可能性があります。

    ●SDGsと社会課題の関係
    SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年に国連サミットで採択された国際目標です。日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。17のゴールと169のターゲットから構成されており、2030年がこれらの目標の達成期限となっています。SDGsは、世界の社会課題を解決し、持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するための取り組みです。日本を含む全ての先進国と開発途上国が積極的に取り組む必要があるとされています。

    世界共通の主な社会課題一覧

    地球規模で生じている課題の解決を目指して、世界各国が連携して取り組んでいます。ここでは世界共通の主な社会課題について紹介します。

    ●貧困問題
    UNICEF(国際連合児童基金)によると、世界には極度の貧困の状態にある子どもが3億5,600万人いるとされています。ここでいう極度の貧困とは、1日1.9米ドル以下での生活(2021年2月現在における「国際貧困ライン」による基準)のこと。貧困により社会的に弱い立場にある人たちは、生活に最低限必要なサービスや技術などを利用できていません。

    出典:UNICEF「プレスリリース 子ども6人に1人が極度の貧困で暮らすユニセフと世界銀行による分析

    ●食糧問題
    世界では全人口が十分に食べられる量の食料が生産されているにもかかわらず、一部の人たちには食料が行き渡っていません。UNICEF(国際連合児童基金)によると、世界で飢餓の影響を受けている人は、2021年現在で8億2,800万人いるとされています。十分な食料を入手できず、食料不足の不安を抱えていたり、栄養不良になっていたりする人がいるのです。持続可能な食料生産の仕組みづくりや、食料の公正な分配が求められています。

    出典:UNICEF「プレスリリース 食料安全保障 最新報告書 世界で8億2,800万人が飢餓に直面 新型コロナ流行以来、1億5,000万人増加

    ●医療格差
    医療技術の進歩により、人類は過去には治療できなかったさまざまな病気を克服できるようになりました。一方で、開発途上国には今なお十分な医療サービスを利用できない人たちが存在し、世界的に医療格差が生じています。医療サービスの不足が原因で、依然として子どもや妊産婦の死亡率が高い地域もあります。

    ●教育問題
    国連総会で採択された国際条約「子どもの権利条約」では、教育を受けて成長する権利が全ての子どもに保障されています。ところが、世界には「通学路が十分に整備されていない」「働いていて学校へ通えない」「教師がいない」といった事情から、十分な教育を受けられない子どもがいます。国により教育の格差が生じているのが現状です。

    ●児童労働
    UNICEF(国際連合児童基金)によれば、児童労働に従事する子どもは、2020年時点で世界に約1億6,000万人いるとされます。なかには危険性の高い仕事に就いている子どもや、無給で働いている子どももいます。児童労働は、子どもから教育を受ける機会を奪うだけでなく、貧困の連鎖にもつながりかねない大きな問題です。

    ●難民問題
    難民とは、人種や宗教などの理由により迫害を受けて、自分の国にいると命に危険が迫ることから、別の国へ逃げた人たちのことを指します。難民の中には、18歳未満の未成年者や、保護者と離れて避難した子どもも少なくありません。また、難民の多くが近隣の開発途上国で受け入れられていることから、受け入れ国側にも支援が必要とされている状況です。

    ●ジェンダー平等
    開発途上国には、人身売買や暴力などの危険にさらされて、弱い立場にいる女性がいます。女性が子どものうちに結婚させられたり、自分の意思にかかわらず結婚を強いられたりするような不平等も、無くしていく必要があるでしょう。先進国においても、女性が男性と同じように社会に参画できるようにすることが大切です。

    ●エネルギー問題
    現在、世界で使われているエネルギー資源は、化石燃料が中心となっています。しかし、化石燃料は有限であることから、このまま採掘を続けると将来的に枯渇するリスクがあります。さらに、中東地域で産出される石油は、世界情勢の影響で価格や供給が不安定になりやすいのも難点です。これらの化石燃料は燃やすと二酸化炭素を排出することから、地球温暖化の原因の一つでもあります。こうした課題を受けて、太陽光発電や風力発電をはじめとした再生可能エネルギーへの移行が始まっています。

    ●気候変動
    人類の活動による影響から、地球規模での気候変動が起こっています。温室効果ガスの排出や森林の伐採により、地球の気温が徐々に温暖化している状況です。こうした気候変動にともない、洪水や豪雨などの大規模な自然災害が発生したり、生物多様性が損なわれたりと、世界各地で深刻な被害がもたらされています。これ以上の温暖化の進行を食い止めるためにも、各国の政府や企業が連携して、早期に対策しなければなりません。

    日本が抱える主な社会課題一覧

    我が国においても、解決すべき社会問題が数多く存在します。ここでは、日本が抱える主な社会課題をご紹介します。

    ●少子高齢化
    少子高齢化とは、人口における高齢者の割合が増加し、若年者の割合が減少する状況のことです。2022年時点における国内の人口の割合を見てみると、65歳以上人口が29%、20~64歳人口が54%、19歳以下人口が16%となっています。2065年には少子高齢化がさらに進行し、65歳以上人口が38%、20~64歳人口が48%、19歳以下人口が14%となる見込みです。少子高齢化の影響を受けて、生産年齢人口の減少、社会保障制度の破綻などが懸念されています。

    ●東京一極集中
    東京一極集中とは、国内の人口、政治・経済などの機能、情報、文化活動などが東京都や周辺地域へ極度に集中している状況のことです。世界各国と比較しても、日本は首都圏への人口集中が顕著となっています。進学や就職を期に首都圏へ転居する若年層が多いことが一つの原因です。もしも今後、首都圏が大規模な被害を受けた場合、国内の多くの機能が停止するリスクが高いといえます。また、有効求人倍率や最低賃金など、地方との格差拡大も無視できません。

    ●食品ロス
    日本では、年間で約612万トンもの食品が、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されています。これは東京ドーム約5杯分に匹敵するほどの量です。多くの場合、家庭における食べ残しや買い過ぎ、事業における売れ残りなどから食品ロスが生じています。世界の食糧問題を解決するためにも、ごみ処理による環境への負担を軽減するためにも、食品ロスをなくすことが重要です。

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    ●長時間労働
    国内では多くの企業で従業員の長時間労働が問題となっています。長時間労働は健康被害や過労死を招く危険があるため、働き過ぎを防止しなければなりません。なかには従業員に違法な長時間労働を強いる悪質な事例も存在します。厚生労働省ではこうした長時間労働の削減に向けた対策として、企業への啓発活動や監督指導の強化などに取り組んでいます。

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    ●介護問題
    少子高齢化が急速に進行する日本は、高齢者の介護に関して多くの問題を抱えています。社会保障費の負担は年々増大する傾向にあり、企業では介護のために働き盛りの従業員が離職する「介護離職」が懸念されています。近年では、子どものうちから家族の介護を担う「ヤングケアラー」の存在が顕在化し、介護者に対するケアの必要性も注目されるようになりました。

    ●デジタル・ディバイド
    デジタル・ディバイドとは、ICTへのアクセシビリティやリテラシーから生じる情報格差のことです。現代社会におけるICTは生活に必須のインフラであり、情報格差が日常生活や災害時にもたらす影響がますます大きくなりつつあります。たとえば、国内では学校教育のデジタル化が進んでいることから、ICTスキルの問題で授業についていけなくなるなど、学習に支障をきたすおそれもあるでしょう。

    ●消滅可能性都市
    消滅可能性都市とは、日本創成会議によって「2010年から2040年にかけて、20~39歳の若年女性人口が5割以下に減少する市区町村」と定義されています。出生率の低迷や人口流出などが続き、消滅可能性都市となった地域では、将来的に十分な人口を維持できません。現状、全国の自治体の49.8%が消滅可能性都市に該当するとされ、人口減少への対策が急務となっています。

    ●社会インフラの老朽化
    道路橋やトンネルをはじめとした社会インフラの中には、高度経済成長期(1955年~1973年)以降に作られた設備が数多く存在します。そのため、今後は全国的に建設後50年以上を迎える古い設備が多くなる見込みで、社会インフラの老朽化が進めば、事故などの危険性が高まるほか、修繕できない設備が使用不可となったり、整備負担が増加したりすることも考えられます。

    ●キャリアの変化
    変化の激しい社会で生き抜くために、働き手のキャリアプランが変化しつつあります。複雑化する採用課題に対して、企業では多様な働き方を取り入れたり、従業員のリスキリングに力を入れたり、ジョブ型雇用へ移行したりといった対策が講じられています。また、社会におけるデータ活用のニーズの高まりを受けて、DX人材の確保・育成へ積極的に取り組む企業も少なくありません。

    社会課題に対する日本政府の主な取り組み事例

    国内外の社会課題解決へ向けて、日本政府はどのように取り組んでいるのでしょうか。主な取り組みについてご紹介します。

    ●内閣府地方創生推進事務局
    内閣府地方創生推進事務局は、地域課題解決との相乗効果を狙って、地方創生にSDGsの理念を取り入れました。地方創生SDGsは、持続可能なまちづくりや、地域活性化の実現が目的です。施策の例として、「SDGs未来都市」および「自治体SDGsモデル事業」の選定、「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の運営、「地方創生SDGs金融」の推進などが挙げられます。

    ●消費者庁
    消費者庁の具体的な取り組みとして挙げられるのは、エシカル消費の普及啓発、食品ロス削減、高齢者見守りネットワークの構築などです。特に、日本の社会課題でもある食品ロスに関しては、2019年に「食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律)」を施行しました。自治体・事業者・消費者が連携し、食品ロス削減を総合的に進めることが目的です。

    ●法務省
    法務省では、開発途上国の法制度整備支援、外国人材の受け入れ実現、子どもの人権問題などに対応しています。また、国内では生産年齢人口の減少により、働き手不足が懸念されている状況のため、外国人材を適切に受け入れ、社会での共生を目指すために、ダイバーシティ&インクルージョンの観点からも人権尊重に取り組んでいます。

    ●経済産業省
    経済産業省は、ダイバーシティ経営の推進、健康経営の推進、災害に備えたエネルギー供給の強化などに取り組んでいます。健康経営の推進に関する施策では、「健康経営銘柄」の選定や、「健康経営優良法人認定制度」の創設などが挙げられます。また、社会課題へ取り組む企業へ向けて、「SDGs経営ガイド」の取りまとめも行いました。

    社会課題に対するNTTコミュニケーションズの取り組み事例

    NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)では、先端テクノロジーを活用しながら社会課題の解決へ向けて取り組んでいます。ここでは、当社の取り組み事例をご紹介します。

    ●フレキシブル&ハイブリッドワークの活用によるDX経営改革の推進
    多くの企業にリモートワークが普及した一方で、各社の通信設備やツール、社内制度やルールなどの側面で、リモートワーク環境の格差が浮き彫りになっています。こうした課題に対して、NTT Comではお客様の業種業態に合わせて働く時間や場所、対面およびリモートを選択できる「フレキシブル&ハイブリッドワーク」を実施しました。DXによる経営改革を推進して、生産性向上や新たな価値の創造につなげています。

    *解決すべき社会課題:リモートワーク環境に格差が存在
    *関連するSDGsのゴール:「8 働きがいも経済成長も」「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」

    参考:https://www.ntt.com/about-us/csr/solution/solution01.html

    ●空調消費電力を半減! 新冷媒を用いた世界初の冷却システム
    世界的に気候変動への対策が進んでいますが、先進国では社会のICT化にともない、データセンターの消費電力が増加傾向にあります。NTT Comでは消費電力の削減へ向けて、多くの割合を占める空調使用電力に着目しました。世界初のノンフロン冷媒による冷却システムを開発して、データセンターの空調消費電力を1/3~1/2まで削減。製品化した冷却システムを幅広い施設へ導入することで、地球環境への負担低減に貢献しています。

    *解決すべき社会課題:データセンターの消費電力削減が急務
    *関連するSDGsのゴール:「11 住み続けられるまちづくりを」「13 気候変動に具体的な対策を」「17 パートナーシップで目標を達成しよう」

    参考:https://www.ntt.com/about-us/csr/solution/solution03.html

    ●サーキュラーエコノミーをICTの活用でサポートする再生資源循環プラットフォーム
    持続可能な社会の実現に際して、サーキュラーエコノミー(循環経済)が注目されています。NTT Comは、双日、レコテック、日商エレクトロニクスと連携して、「再生資源循環プラットフォーム」の実証実験を行いました。社会にある再生資源の流れを「見える化」して、資源を取り引きする企業のマッチングを行い、効率的な循環を促します。NTT Comは再生資源データの収集・蓄積・分析に携わり、事業化を目指して貢献しています。

    *解決すべき社会課題:資源の限界を超えた消費からの脱却が急務
    *関連するSDGsのゴール:「12 つくる責任つかう責任」「14 海の豊かさを守ろう」「17 パートナーシップで目標を達成しよう」

    参考:https://www.ntt.com/about-us/csr/solution/solution04.html

    社会課題の解決には企業の取り組みが不可欠!

    今回紹介した国内外の社会課題を解決するには、各国の政府や企業が積極的に対策を講じる必要があります。SDGsにおいても、開発途上国から先進国まで全ての国で、全ての人が普遍的に取り組むことが重視されています。社会課題の解決へ向けて大きな一歩を踏み出すには、企業による取り組みが不可欠です。持続可能な社会を作るために、まずは自社にできることから検討してみてはいかがでしょうか。

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