Co-Create the Future

2021.10.20(Wed)

共創とは?求められている背景と3つの種類、得られる効果

#Smart World #OPEN HUB #共創
共創とは、企業と利害関係者が協働しながら新しい価値を創造していくことを意味します。自社のみでプロジェクトを進める場合とは異なる効果を得られることが大きなメリットです。なぜ、今の時代に共創が求められているのでしょうか。必要とされるようになった背景や期待できる効果などを確かめておきましょう。本記事では、共創の意味や求められている理由、主な種類、得られる効果などについてご紹介します。

目次


    共創の基礎知識

    まずは、共創の意味や注目される理由をチェックしていきましょう。こちらでは、共創の基礎知識をご紹介します。

    ●共創とは?*1
    共創とは、企業があらゆる利害関係者(ステークホルダー)と協働しながら事業を行い、新たな価値を創造することを意味する言葉です。英語では「co-creation」と表現します。ステークホルダーには関連企業、自治体、消費者、パートナー企業などが含まれます。

    共創の目的は多岐にわたります。主に、ビジネスモデルの変革や既存商品・サービスの改善、新商品・サービスの開発などを目的として取り組むケースが多く見られます。

    現在では、さまざまな共創プログラムが展開されています。自治体の共創プログラムの例として代表的なのが広島県で登場した「ひろしまサンドボックス」です。県全体でDXを推進するため、県内外の企業や人材と協力しながら課題解決を進めています。

    ●共創が求められている背景
    マーケットが成熟したことで、一つの企業が自社内で消費者のニーズにマッチした商品やサービスを生み出し続けることが難しくなってきています。また、異業種企業の参入により、一度確立した競争優位性が短期間で失われる事例も増えています。こうした現状で企業が生き残るには、変化する消費者の価値観やライフスタイルを常に把握し、多角的な視点で事業開発を行う必要があると言えるでしょう。そのために多くのステークホルダーと対話を通じて連携し、新たな価値の創造に役立つ共創が注目されているのです。

    合わせて読みたい:
    DX時代の「共創」に必要な、データとガバナンスのあり方

    ●オープンイノベーションと共創の違い*2
    オープンイノベーションとは、社内の経営資源を社外の知見や技術と組み合わせることで、新たなイノベーションを生み出すことです。イノベーションの創出に重点を置いた考え方で、共創を実現するための一つの方法と言えます。

    対して、共創はオープンイノベーションよりも広義の概念です。ステークホルダーとの協働により新たな価値を生み出そうとする取り組み全般を指します。

    また、共創と似た言葉に「協業」「協創」もあります。協業とは企業同士が利益追求のために協力することです。協創とは、協力し合う主体同士がそれぞれの価値観や個性を認め合いながら、課題解決に向けての力を生み出す仕組みを指します。

    *1-1 https://dxhakusho.com/881/
    *1-2 https://hiroshima-sandbox.jp/
    *1-3 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/aratanamiryoku/sandbox.html

    *2-1 https://creww.me/tips/collaboration
    *2-2 https://www.city.adachi.tokyo.jp/sesaku/kyoso.html

    共創の種類

    共創はステークホルダー同士の関係性によって、大きく3つのタイプに分けることができます。こちらでは、3種類それぞれの特徴を解説します。

    ●提携タイプ
    プロジェクトを推進するにあたり、自社に不足している資源を他社との協力で確保するタイプです。資源には、人材や技術、研究開発費、アイデア、販売網などが含まれます。提携タイプの共創では、企業の規模や業界の違いなどによる上下関係を付けず、対等なパートナーとして協力し合える環境を整えることが大切です。

    ●共有タイプ
    企業がコンソーシアムやコミュニティーを形成し、課題の解決に向けて議論を深めていくタイプです。共通のテーマや目的意識を持った複数の組織(企業、政府、地方自治体、研究機関など)や専門家が参加します。

    共有タイプでは、同じ問題点について異なる視点から意見を交わすことで、新たな価値やアイデアを生み出せる可能性があります。特定の組織に依存したコミュニティーにするのはなく、各団体がリーダーシップを発揮して能動的に取り組むことが重要です。

    ●双方向タイプ
    企業と消費者が、対等な立場でコミュニケーションを取り合うことでビジネスモデルの構築や商品・サービスの開発に役立てていくタイプです。SNSが普及したことで、消費者からのフィードバックを企業が受け取りやすくなっており、双方向タイプの共創を実現しやすくなっています。

    共創の実践により期待できる効果*3

    共創を実践することによって、自社のみの事業では得られない多くの効果がもたらされることが期待できます。こちらでは、共創によって得られる効果についてご紹介します。

    ●新たな顧客層やファンの獲得
    共創を通じて異なる視点を持った企業や消費者と連携することで、市場の変化を敏感に読み取れるようになります。これにより、ニーズにマッチした商品やサービスを提供し続けていくことが可能となるため、新規顧客の確保につながり、売上アップを期待できる点がメリットです。また、双方向タイプの共創を実現できれば、商品やサービスについて消費者に愛着を持ってもらいやすくなり、長期的なファンの獲得を見込めるでしょう。

    ●不足しているリソースの補完
    共創によって、ボトルネックとなっていたリソース不足を解消できます。今まで実行できていなかったアイデアの実現の可能性を高められるようになるでしょう。たとえば、海外での顧客基盤を持つ企業との共創による販路拡大や、自社にない技術を持つ組織との共創による新商品の開発などがあげられます。一から供給網を構築したり、技術開発を行ったりするケースと比べて、コストや時間を削減できることが強みと言えます。

    ●シナジー効果の獲得
    共創によって複数の関係者が協力し合うことで、シナジー効果を期待できます。特に、生産シナジーや販売シナジーなどの獲得が見込めます。

    生産シナジーとは、生産に必要な設備や情報などを共同利用して得られる効果です。たとえば、複数の企業が一括で仕入れを行うことによって仕入れ量が増え、価格交渉の余地が生まれることで、コスト削減につなげることができるようになります。複数企業の物流業務を一つに統合することで在庫管理を効率化し、工場の稼働率向上を狙うことも可能です。

    販売シナジーとは、生産設備や流通経路、販売組織などを共有して得られる効果です。M&Aによって短期間でブランド力を高め、販売効果を得ることも販売シナジーと言えます。

    ●新規事業の創出
    共創によって自社のみでは得られなかった視点を獲得できるようになります。これまでにはないビジネスアイデアが生まれ、新規事業の創出につながることが期待できます。自社のみの場合と比べて多くのリソースを確保できることも、新規事業の展開を後押しとなるでしょう。

    ●人材育成の効率化
    パートナーから自社にはないノウハウを学ぶ機会が得られることも、共創のメリットです。マーケティング戦略の立て方やアイデア創出のコツなど、幅広い場面で有用なノウハウを獲得できます。そのため、人材育成の観点からも共創の効果は大きいと言えます。

    合わせて読みたい:
    これからのビジネス共創に「コンセプト・イノベーション」が必要な理由

    *3-1 https://tomoruba.eiicon.net/articles/co-creation-merit-demerit
    *3-2 https://www.bizreach.jp/column/ctrt-no49/
    *3-3 https://fundbook.co.jp/synergy/
    *3-4 https://sony-startup-acceleration-program.com/article666.html#header2
    *3-5 https://squareup.com/jp/ja/townsquare/what-is-a-co-marketing

    共創は企業の競争力を高める有効な手段

    目まぐるしく移り変わるビジネス環境の中では、自社の力のみで競争優位性を保つのは難しくなっていると言えます。時代の流れに合わせた生き残りのための戦略を打ち出すことが必要であり、そうした流れの中で、共創はビジネスにおける重要な手法となり得ます。ステークホルダーとの連携で企業競争力を高めると、イノベーションを起こすことにつなげられるでしょう。

    NTTコミュニケーションズの「OPEN HUB for Smart World」(以下、OPEN HUB)も共創プログラムの一つです。お客さまやパートナーの皆さまと一体となり、新しい事業コンセプトの創出や社会実装を目指しています。OPEN HUBでは、「カタリスト」と呼ばれる社内外の専門家が、企業の皆さまとともにオリジナルプログラムを実践したり、NTTグループと企業の皆さまの技術・知見をつないだりすることで共創を目指しています。また、さまざまな企業で活躍する人のためのコミュニティー「OPEN HUB Base」も運営しており、新しいビジネスの創出やDXの成功に必要なビジョンやアイデア、悩みを共有することもできます。

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