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vol. 08

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“これから”を想像できる力が、共創を実現する OPEN HUB Catalyst File #05 藤元健太郎

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ビジネスチャンスを見通すための卓越したナレッジと予測力をもとに、DXを切り口としたさまざまな研究事業やコンサルティング事業に取り組むD4DR。その代表を務める藤元健太郎さんに、「リアリティのある未来」を描くことの重要性を語ってもらいました。

【OPEN HUB Catalyst File】
課題の探究から社会実装までをリードする、さまざまな分野の専門家である、OPEN HUBの「カタリスト」。一人ひとりの活動や想いを通して、社会に提供できる価値について伺います。

リアリティのある未来を「気づき力」で描いていく

——まずは藤元さんが代表を務めるD4DRの事業について教えていただけますか。

大きく分けて3つの領域に取り組んでいます。1つめはイノベーション戦略支援。新規事業や未来シナリオ、長期計画をつくるためのコンサルティングをしています。2つめはリサーチ・実行支援で、例えばSNSを分析したり、行動データを分析してマーケティングにつなげるベーシックなリサーチを手掛けています。3つめの領域は、組織構築や人材育成支援です。DXを通じてイノベーションを起こしていくというときに、最後の壁となるのはやはり人なので、避けて通れない重要な課題であると考えます。組織の一人ひとりに気づきを与えたり、エンパワーメントしたり、行動変容を起こすことにつながるような援助を行なっています。

——D4DRが行っている人材育成のプログラムでは、どのようなことを重視しているのでしょうか。

例えば、DXの推進に必要な人材は必ずしもプログラムが書ける人ということではないんです。重要なのは自分で問いを立て、アンテナを立てて未来を考えることができる洞察力やメタ認知能力、つまり「気づき力」です。

D4DRの研修プログラムでは、未来に向けての150の仮説と15の未来市場を設定した「未来コンセプトペディア」というものをベースに考えていきます。各自が興味を持っているものを人に伝え、自分の中での理由づけと理解を深めながら、他の人の考え方に触れてメタ的な感覚を養う。そこからチームを組んで、社会課題に対する新しい仮説をつくるセッションを重ねます。

未来コンセプトペディア

ある会社の役員全員に向けて実施したことがあるのですが、予想以上に盛り上がりましたね。「役員クラスの人たちがちゃんと未来を考えていないと話にならないよね」ということを実感として持ち帰ってもらえたようです。

——若い世代を対象にした研修プログラムも行ってきたかと思います。そこでの手応えはいかがでしたか。

いまの若い社員と年長者では意識の差というものが顕著で、未来に対する考え方が同じ会社の中でも世代によって異なることが浮き彫りになることがあります。

例えば、死生観や家族の在り方に関する考え方は、世代によって全然違う。大学で実施したプログラムで実感したのは、Z世代は家族やグループという単位ではなく個人という単位を強く意識しているということ。結婚に対するこだわりも希薄です。

そのため、家族という単位、概念に基づいたビジネスをしている企業には、これから注意した方がいいと警告しています。家族連れとか、家族団欒といったワードは20年先には劇的に意味が変わっているのだろうと思います。個人の人生を支えるコミュニティは必ずしも家族ではなくなってくるのかもしれない。そうしたリアリティのある未来というものを、我々は常に情報をアップデートしながら考えていかなくてはなりません。そして、そこで描いた「そうあってほしい」未来から、必要なテクノロジーやビジネスを逆算的に思考していくことが重要なのです。

全体最適化を実現するために

——様々な企業と「そうあってほしい」未来を考え、その実現に向けて挑戦してきたと思います。これまで手掛けた挑戦の中で代表的な事例を教えて下さい。

OPEN HUBの前身の2020ビジネス創造研究会の時に取り組んだのは、産業向けのVRシステムの開発です。NEC系列の会社が持っている二面の巨大なディスプレイで空間を再現する技術を応用して、ヘッドマウントディスプレイがなくても没入感が体感できる三面スクリーンをつくりました。これまでに、長崎県島原の炭鉱のVR化や博多どんたくの中継、博多と東京のホテルをつないだイベントなどを行ってきました。

——「そうあってほしい」未来を実現するために、OPEN HUBのような場所はどのような意味を持ちますか?

企業のDX化の取り組みですが、多くの日本企業において、部分最適は進んでいても全体最適が遅れています。店舗の無人化を実現して人件費を削減できたけれど、果たして会社として強くなったのか?と問われると、それは分からない――というのが、日本企業の現状かもしれません。業務の効率化やサプライチェーン全体での最適化、顧客体験の改善までを達成してはじめて競争力が向上するわけですが、そのレベルまでやれている企業はまだまだ少ないです。

D4DRも企業に対して個別にDX支援やエンパワーメントといったことはできるけれども、一定範囲のステークホルダーを巻き込んだ最適化を推し進めるためには、企業間を横断するOPEN HUBのような場が必要になってきます。

例えば、すぐにスケールしないサービスやアクションがあったとして、それが大企業のESG投資のために必要なものになるかもしれない。あるいは、サーキュラーエコノミーを実現させるためにやるべきものかもしれない。そうした「可能性の種」を取りこぼさないよう、企業同士がオープンに話し合いながらマッチングし、共創を生みだしていくためのプラットフォームづくりこそが、OPEN HUBに託された重要な役割なのではないでしょうか。

OPEN HUBには、2,600社8,000名(2022年4月1日時点)の会員数を抱える「OPEN HUB Base」というコミュニティーがあります。分野を問わず大企業からベンチャー企業までが集い、社会や産業におけるDXを実現するための新たな事業コンセプトやビジネスを生み出す場になっています。 D4DRが行ってきたDX支援や人材育成の経験がお役に立つと思いますので、「可能性の種」が芽を出し実を結ぶまでを、カタリストとして一緒にサポート出来ればと思っています。

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