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Hello! OPEN HUB

2023.03.15(Wed)

共に課題を探し、共創を生む
“対話”にヒントを求めるメディア/コミュニティーの現在地

#OPEN HUB #共創
より良い未来を実現するための新たなコンセプトをつくり、社会実装を目指す事業共創の場であるOPEN HUB for Smart World。2022年2月にフルオープンしてから1年が経ちました。設立から現在までの足跡と今後の展望を、社会課題の解決に向けた事業のタネを見つめるためのコミュニティー「OPEN HUB Base」の運営を担う柴田知昭と、ウェブメディア「OPEN HUB Journal」の運営を担う矢三由佳理が語ります。

目次


    Smart Worldに向けたタイムリーで実践的な情報が求められている

    ーOPEN HUBが一周年を迎えました。改めてOPEN HUBのコンセプトや活動について教えていただけますか。

    矢三由佳理(以下、矢三): OPEN HUBの活動の軸になるのは、事業共創を促すための情報発信と、コミュニティーの創出です。そして、社会課題に向き合いソリューションを生み出すには、新しい仲間を募ることも大事だと考えました。

    前者の機能を備えるプラットフォームとして立ち上げたのが、ウェブメディア「OPEN HUB Journal(以下、JOURNAL)」です。Smart World※ に関する世の中のトレンドや最先端テクノロジーの動向、OPEN HUBから生まれた共創事例などを記事化して発信しています。これまでに、月に8から9本のペースで、累計100本以上(2023年2月8日時点)のコンテンツをお届けしてきました。

    また、後者を実現する場所としてつくったのが「OPEN HUB Base(以下、BASE)」というコミュニティーです。社会課題の解決に向けて新しい事業コンセプトの創出と社会実装を目指す方々を、所属企業や立場を問わず受け入れ、累計80回以上(2023年2月8日時点)のセミナーを開催してきました。

    もともとNTT コミュニケーションズ(以下、NTT Com)が運営していたビジネス共創のための前身コミュニティー「C4BASE」を基盤としてつくったため、BASEの会員数は当初から3,500人程いましたが、いまでは1万5,000人を超えています。
    ※Smart World:社会課題の発見と解決や、多種多様なデータの利活用や新技術、新システムを通じた社会産業DXの実現を目指す取り組み

    矢三由佳理|OPEN HUB Chief Catalyst/Media_Community

    柴田知昭(以下、柴田):それらのプロジェクトをスタートしてみて感じたのは、メディアにしてもセミナーにしても、抽象度の高いコンセプチュアルな話よりも、アイデアを創出するために、よりプラクティカル(実用的)な情報が求められているということでした。

    JOURNALとBASEでは、人・技・場の視点を重視していますが、それら1つひとつの項目において、読者にとって、あるいはお客さまにとってどのような情報が伝えられているか、常に考えながら取り組んできた1年間だったと思います。

    柴田知昭|NTTコミュニケーションズ OPEN HUB Chief Catalyst/Media_Community

    ーOPEN HUBは「メタバース」や「フードイノベーション」「ウェルビーイング」などの旬なトピックをテーマにした「特集」という枠組みの中で、記事コンテンツやイベントを制作、発信してきました。特集を企画するにあたって意識していることはありますか?

    矢三:一番に意識したのは“タイミング”です。それを見極めるためには、共創を生み出そうとする我々の視点だけでもダメですし、世の中のトレンドを追いかけるだけでもダメなのです。その両方が交わる部分にこそニーズがあり、最適なタイミングがあります。どんどん幅を広げていくNTT Comのサービスやソリューションといったアセットに対して、世の中のトレンドがちょうど合わさる時を見計らって特集テーマを企画してきました。

    過去の特集のメインビジュアル

    たとえば、2023年の4月には改正道路交通法が施行されますが、これは配送ロボットの導入を後押しするものです。我々のアセットの代表例でもあるロボティクス技術の情報を提供するのに最適なタイミングになるので、OPEN HUBでもそれに合わせたコンテンツ制作が走り始めています。

    柴田:“掛け合わせ”も意識しました。たとえば「メタバース」というキーワードを取り上げる場合でも、ウェルビーイングやロボティクス、共生といったトレンドを掛け合わせてみる。そこから生まれる気づきこそ、OPEN HUB独自の視点だと考え、こだわってきたのです。

    また、掛け合わせるのはトレンドだけではありません。特別な才能とのコラボレーションも、我々に新たな気づきを与えてくれます。

    2022年11月には、アニメーション監督の細田守氏をお迎えしてウェビナー「僕らはメタバースに夢を見る」を開催しました。2022年のバズワードでもある「メタバース」に加え、細田守さんの知名度が合わさったことで、およそ8,000人の方にご視聴いただけました。

    「僕らはメタバースに夢を見る」開催時の様子

    このようなヒットコンテンツを送り出せたことは大きな励みになりましたし、JOURNALの特集とウェビナーやワークショップなどのイベントを連動させて、OPEN HUBという統一したブランドをつくり上げてこられたことはひとつの成果だと考えています。

    哲学者・斎藤幸平氏をはじめとした有識者を招いて行ったウェビナー「人新世のグリーントランスフォーメーション ~GXで企業はどう変わるべきか~」

    その一方で、発信が一方通行になってはいないかと悩むときもありました。JOURNALやウェビナーだけでは、読者や参加者の反応が分からないのです。我々は情報をギブするだけではなく、共創を生み出すマッチングプラットフォームであるべきだと考えています。双方向性のあるコミュニケーションを促すために、2022年の夏からは新型コロナウイルス感染症の感染状況も見ながら、徐々にリアル開催のイベントを増やしていきました。

    Circular Initiatives & Partners 代表の安居昭博氏を講師に迎えたOPEN HUB会員向けのサーキュラーエコノミー勉強会

    リアルイベントの開催は、直接参加者とコミュニケーションを取ることができます。我々の提供する情報や場に価値を感じてもらえているのだという実感につながりましたね。2023年も週1回程度のイベント開催を予定しています。

    体験が共創を加速する。「OPEN HUB Park」がプロジェクトにもたらした効果

    ーそうしたイベントの拠点にもなったのが「OPEN HUB Park(以下、Park)」です。あらためてParkはどういった目的で生まれたのでしょうか。

    柴田:Parkは「OPEN HUB」の中心的な活動拠点としてつくられました。リアルとリモート、そしてバーチャルの垣根を越えた新しいオフィスをコンセプトとしていて、第35回 日経ニューオフィス賞でも、クリエイティブ・オフィス賞を受賞しています。

    OPEN HUB Park
    Park内にある収録スタジオ。OPEN HUBが主催するウェビナーの多くがここで行われる

    訪れたお客さまと各分野に精通した専門家集団である「カタリスト」とのコミュニケーションスペースとして使われるほか、最先端のICT技術に触れていただいたり、実証実験を行ったりすることも可能です。

    お客さまが求めているのは情報だけではなく、その情報をいかにビジネスに変えていくかというノウハウ、あるいはお客さまのアセットとの組み合わせ方なんです。より具体的なビジネスの話ができる場としてParkの存在はOPEN HUBにとって不可欠でした。

    矢三:NTTグループが掲げる「IOWN®(Innovative Optical and Wireless Network)」※ などの構想も、皆さんに興味を持っていただけるのですが、オンライン上の情報だけで理解いただくには少し難しい内容です。ですが、実際に体験してみることで驚きを得られるとともに理解が深まるのです。IOWNに限らず、メタバースなどそのほかの先進技術についても、共創の事例をより具体的に実感をもって知りたいというお客さまが大勢います。それを提供することこそが、OPEN HUBという存在に求められている価値なのです。
    ※IOWN®:詳しくは「IOWN®入門―限界を迎えるデータトラフィック、解消の要を担う新しい通信基盤とは」を参照

    ーJOURNAL、BASE、Parkといった複合的な取り組みを通じて、実際に共創へとつながる事例は生まれてきているのでしょうか?

    矢三:JOURNALの記事を見ていただいたり、BASEのウェビナーにご参加いただいたりしたお客さまから、「一度Parkに行ってみたい」とお問い合わせいただくことが増えてきました。うれしいのは、これまでNTT Comとの接点がなかったような業界・企業からもお声がけいただけることです。Parkに来ていただいたお客さまには、その方の求める情報を提供できる最適なカタリストをアサインして、共創に向けた話し合いを進めています。

    柴田:もちろん具体的な案件に発展する出会いばかりではありません。OPEN HUBの取り組みに興味・関心を持っていただいていて、とりあえず相談だけでもしてみたいという方々の話に耳を傾けてみると、「一緒に考えてほしい」という声が多い。つまり課題の解像度を一緒に上げていくフェーズが必要であることに気づいたのです。

    そうした声をもとに、特定のテーマについて深掘りするためのサークル「DIALOG」をつくり、社内外の当事者・有識者でディスカッションする取り組みを始めました。

    お客さまは我々のアセットだけでなく、顧客層の厚さと幅広さを評価してくださっています。個人やひとつの会社の中で考えている内容だけでは、着眼点が狭くなりがちだと多くの方が気づき始めています。組織の枠を超えて、みんなで一緒に議論し体験することで、思いもしない発想が生まれたり、新しい知識が得られたりするのです。DIALOGの参加者には、未来について楽しく議論することが結果的にビジネスにつながるのだという気配を感じてもらえているのではないでしょうか。

    そして、事業化に向けて具体的に取り組みたい方には、OPEN HUBの提供する事業コンセプト創出のためのオリジナルプログラム「PLAY」によって、社会実装に一緒に取り組んでいます。実際にこれまでもPLAYを利用した共創事例が多数生まれてきています。

    参考記事:「課題を見つけて、一緒に考える。共創の仕掛け「OPEN HUB Play」とは何か?」(https://openhub.ntt.com/journal/4870.html

    こうした活動がJOURNALやBASEの企画においても参考になります。これまではどういった情報が求められているのかをこちらから探っているような感覚がありました。しかし、今後はお客さまからもたらされたインプットをベースにして、OPEN HUBの取り組みに賛同する方たちが求める情報や機会を、より解像度を上げて 提供していけるようになるでしょう。

    授業からゼミへ。コミュニティーの質を変えるときが来た

    ーこれまでの活動から得た学びを踏まえ、今後どのようなことを計画しているか教えてください。

    矢三:この3月には、OPEN HUBのWEBサイトのリニューアルを予定しています。従来は記事コンテンツやイベント情報ごとにページが分かれていたのですが、今回のリニューアルでは、記事を読んでいる方、あるいはウェビナーを見ている方が関心を持つであろう情報をレコメンドしたり、蓄積されたコンテンツからユーザーが目的別にコンテンツと出会えたりするかたちに仕様を変更します。

    将来的には、情報収集目的の人から、具体的にビジネスを起こしたいと考えている人まで、検討フェーズによって異なるニーズに対し、閲覧履歴などを利用したパーソナライゼーションで、一人ひとりにカスタマイズした情報を届けられる仕組みも導入していきたいですね。

    柴田:JOURNALという名がついている通り、新聞のような使われ方をされるのが理想です。特定の記事をピンポイントで読むだけでなく、ウェビナーの情報やイベントの情報を混在させることで、ユーザーにとって思いがけない発見のある場になることを期待しています。

    また、ウェブサイトのリニューアルとは別に、新たに取り組んでいることが2つあります。1つめは、空間や距離の制約を超えた環境として「OPEN HUB Virtual Park(以下、Virtual Park)」を3月9日に開設しました。リアルとバーチャルの垣根を取り払うというコンセプトのもとで立ち上がったParkですが、バーチャルの部分をより強化するべく、メタバース空間にParkと同じ機能を持ったデジタルツインをつくろうとしています。コミュニティー会員同士の対話が可能になるほか、カタリストとの議論も継続的に実施できるようになります。

    これまで以上に物理的な制約を超えたコミュニケーションを実現するとともに、メタバース空間を物理法則にとらわれない実験場として活用することが主な狙いです。

    Virtual Park

    2つめは、デジタルヒューマン技術を使った「デジタルカタリスト CONN」の誕生です。「デジタルカタリスト CONN」は、東映株式会社の東映ツークン研究所のデジタルヒューマン技術で生成し、NTTの人間情報研究所のモーションや音声を加える技術を掛け合わせることで誕生しました。Park内での来訪者へのご案内など、これまで社員が担ってきた業務を行います。我々自身が新たな働き方改革に取り組むとともに、顧客接点としてのデジタルヒューマンの可能性を検証していきます。

    デジタルカタリスト CONN

    ーなるほど。最後に、2年目に突入したOPEN HUBをどのように発展させたいか、お二人の思いを教えてください。

    矢三: JOURNALをOPEN HUBの“ハブ”にしていきたいと考えています。ここで出される情報の量や質が、BASEのコミュニティーや、ParkやPLAYにおける実際のコラボレーションにつながっていく起点になるはずです。最初にOPEN HUBに訪れた人との接点が“点”で終わらないよう、OPEN HUBの思いや取り組みが伝わる仕組みをつくっていきたいですね。

    柴田:そのためには、これまで以上にお客さまを知ることが重要だと思います。これまでは、新しい概念や技術を認知してもらうことを目的として発信してきましたが、お客さまをより深く理解することで、情報の先にある体感や共感につながるコンテンツを届けていきたいのです。そうすることで、我々がギブするだけでなく、お客さまからも気づきを得られる真のマッチングプラットフォームが築けると思っています。コミュニティーのあり方を授業からゼミへと昇華させるイメージです。その関係性が共創を生み出す土台となります。3年後、OPEN HUBは日本最大のビジネスマッチングプラットフォームになっていると確信しています。

    *「IOWN®」は、日本電信電話株式会社の商標または登録商標です。