2025年7月より、NTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスに社名を変更しました

Xtrepreneur Award

2026.05.08(Fri)

OPEN HUB Base 会員限定

地方から全国、そして世界へ。NEWGREEN×井関農機が示す地方ベンチャーとの共創の可能性

地域発のベンチャー企業がイノベーションを起こし、ビジネスとして成立させ、スケールさせるまでにどのようなステップが必要になるのでしょうか。特に参入障壁の高い農業におけるものづくりでは、効果を証明するための実証実験をくり返す必要があり、SaaSなどと違い販売やメンテナンスにも全国規模の拠点が求められます。

国も後押しする有機農法による米作りでは、化学肥料を使わない分、生い茂る雑草を取り除く作業が農業者の大きな負担になっています。この課題解決にロボット技術で挑み、国内で注目を集め、世界市場への展開と急速な成長を遂げているのが、株式会社NEWGREEN(以下、NEWGREEN)と井関農機株式会社(以下、井関農機)による共創プロジェクトです。元自動車エンジニアとしてロボットの開発に取り組み、NEWGREENの取締役副社長を務める中村哲也氏と、中村氏に事業化をオファーし共に同社を立ち上げた代表取締役 CEO 山中大介氏、さらに同社の共創パートナーとして資本業務提携を結ぶ井関農機の代表取締役社長(受賞時) 冨安司郎氏を迎え、地域発ベンチャーとの共創によるイノベーションの可能性についてお伺いしました。

万が一は起こりうる。リアルな危機感が、イノベーションの種になった

――まず、NEWGREEN、井関農機それぞれの事業内容についてお聞かせください。

山中氏:NEWGREENは「未来を拓く農業者に、次世代の農業モデルを。」をミッションとした、農業ソリューションを提供している会社です。アイガモロボをはじめ、水を張らない米作りの技術開発など、特に日本の米農家の皆さんに対して「よりラクに、より高付加価値の」稲作のための仕組みづくりを提供しています。

冨安氏:井関農機は1926年に「農家を過酷な労働から解放したい」を理念として愛媛県で創業した農業機械の総合専業メーカーです。お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供を通じて、豊かな社会の実現へ貢献することをパーパスとしており、「食」「農」「大地」にまつわる社会問題の解決に取り組み、事業を展開しています。

――「アイガモロボ」プロジェクトについて伺います。中村さんは日産自動車でエンジニアをしていたとのことですが、アイガモロボを開発した経緯について、お聞かせください。

中村氏:日産自動車では開発の取りまとめをしており、車に関わるすべての部品に携わっていました。自動車エンジニアとしてのキャリアを積む中、2011年に東日本大震災が発生しました。東京でも食料品が手に入りにくい状況が続く中で食糧供給について危機感を抱き、大型機械や化学肥料が使えない状況でも米や野菜を自給できるようになっておきたいと考え、土日に通いで有機農業を始めました。
有機農法はなんといっても除草作業が一番の重労働でした。ある時、地元農家の方から受けた『車を作る技術で、除草作業をなんとかできないか?』という相談を“安請け合い”したことがきっかけで、抑草ロボットを開発し始めました。 

中村 哲也 | 株式会社NEWGREEN 取締役副社長
1997年日産自動車に入社。同社在籍中に山梨県で稲作を開始、有志メンバーによる「アイガモロボ」制作プロジェクトを立ち上げる。19年NEWGREENを設立し、アイガモロボを開発。

――アイガモロボは、具体的に農業におけるどのような課題を解決するのでしょうか。

中村氏:日本の田んぼの99%は雑草対策に除草剤を使っています。雑草対策が一番手間とコストがかかり、できれば減らしていきたいと農業者の皆さんが要望されていらっしゃいましたが、これを解決できる手だてがありませんでした。
アイガモロボは、水田の泥を撹拌することで濁らせ、光を遮ることで雑草の光合成を抑制し成長を妨げます。さらに、雑草が稲よりも根を張る前に、スクリューで小さな雑草を抜きます。雑草は田植えの後に生えてくるため、除草のタイミングも理にかなっています。
「自動で動く」かつ「ソーラーエネルギーで動く」、つまり人手もエネルギーも要らない、さらに農薬を減らすことができます。実際に販売して、農家の方からは「除草作業を軽減できた」、さらには「全くしなくてよくなった」という声もいただいております。

――除草だけでなく、ジャンボタニシによる食害の抑制にも効果があると聞きました。このような効果はどのようにして見つけたのでしょうか。

中村氏:とにかく田んぼにずっといて、観察し、気づいたことを調べ続けました。農家の方からも話を伺い、「子供を田んぼで遊ばせる」「アイガモを放つ」など雑草抑制に効果があるとされていた方法に、「水が濁ることで雑草が生えにくくなる」というメカニズムが共通していることを発見し、その状態を再現できるロボットを開発しました。
ジャンボタニシについても同様で、ジャンボタニシが嫌がる環境を分析しました。一つめは単純にブラシで叩く。二つめは「音」。ジャンボタニシが嫌う周波数帯を見つけ、第二世代のアイガモロボ(アイガモロボ2)からはこの周波数の音を出せるようにしました。
三つめは土壌の環境で、ブラシで水田を攪拌すると、土壌に酸素が入り、微生物帯が変わります。この過程でジャンボタニシが嫌がる物質が増えることで、動きを抑制します。
直接的に駆除するのではなく、動きが鈍る環境を整えることで、ジャンボタニシによる食害を防ぐ仕組みを作りました。

日産自動車のエンジニアから農業ロボットのベンチャーへ、大手農機具メーカーとの運命の出会い

会員限定記事
この記事は OPEN HUB BASE 会員限定です。
会員登録すると、続きをご覧いただけます。
この記事の領域について当社に期待することをお聞かせください【必須】
必須項目です。
その他ご意見ご要望があればお聞かせください
この記事の評価をお聞かせください
低評価 高評価
【必須】
必須項目です。
【必須】
必須項目です。
セイ【必須】
必須項目です。
メイ【必須】
必須項目です。
メールアドレス【必須】
必須項目です。
会社名【必須】
必須項目です。
職種
役職
電話番号【必須】
必須項目です。
【必須】
必須項目です。

NTTドコモビジネスのプライバシーポリシーに同意し、
記入内容が正しいことについて確認しました