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2025.09.26(Fri)

放置は大きなリスクに…今すぐ見直すべきデジタル時代の「IT資産管理」のあり方

コスト削減やコンプライアンス対応、セキュリティ強化などさまざまな側面から企業経営において極めて重要な要素となっているIT資産管理。今回はオンラインセミナー「"持っているだけ"から"活かす"へ:無駄を省き、価値を引き出すIT資産管理の最適化アプローチとは」にて語られた有識者4人の見解を交えながら、IT資産管理のポイントをダイジェストでお届けします。

目次


    日本のIT資産管理は「未成熟」

    ビジネスがデジタル技術に大きく依存する現在において、IT資産は企業経営に大きな影響を与えるようになっています。現代のIT資産管理は、単に資産を把握・管理するだけでは不十分。ハードウェアやソフトウェア、SaaS、クラウドといった多様な資産の構成情報や相互関係を常に最新に保ち、全体最適を図ることが求められています。

    そうした状況の中、「日本のIT資産管理はまだ成熟しておらず、4つの視点から最適化を進めることが望まれます」と指摘するのが、IT資産管理の専業コンサルティング企業のアエルプランニングにて代表取締役を務める甲田展子氏です。甲田氏は、IT資産管理の動向を振り返りながら、最適化手法の最前線を紹介しました。

    甲田展子氏|アエルプランニング 代表取締役

    甲田氏: IT資産を最適化するためには大きく3つのテーマがあります。1つめは「何を目標に最適化するのか、どのように最適化を測定するのか」。2つめは「IT資産を最適化する管理対象とデータはどうあるべきか」。3つめは「IT資産を最適化するための4つの視点とは何か」です。

    1つめの「何を目標に最適化するのか、どのように最適化を測定するのか」は、IT資産管理におけるゴール設定の方法と評価指標(KPI)に関する取り組みです。PC、モバイルデバイス、システム、クラウド、アプリなどの管理対象別に、ガバナンス、コスト、セキュリティ、コンプライアンスなどの最適化をKPIで計測しながら実施していきます。

    2つめの「IT資産を最適化する管理対象とデータ」は、IT資産を管理する構成管理データベース(CMDB)を構築する取り組みです。CMDBは、すべての資産情報を一元的に管理するデータベースであり、IT資産全体を最適に維持管理するとともに、問題が起きた時の識別や特定、多次元的な切り口での情報分析などに活用できます。

    3つめの「IT資産を最適化するための4つの視点」は、「ハードウェア」「ソフトウェア」「システム」「業務」のことであり、それぞれでポイントを押さえた取り組みが必要になります。

    甲田氏は、実際に取り組みを進める際のポイントや注意点、知識ゼロからでもわかるように丁寧に解説。最後に、IT資産管理の未来像にも触れながら、こうアドバイスします。

    甲田氏: IT資産管理にまつわるさまざまなデータをツールが自動的に収集し、CMDBで整合性をとっていきます。そこではAIを活用でき、また手順化された業務プロセスは再構築され、定形業務の多くをRPA※に移行できます。さらに、インソース、コソース、フルアウトソースなど組織に適した運用業務体制を作っていくことが重要です。

    ※RPA:人の手によって行われていた定型業務をソフトウェアロボットが代行し、自動化する技術のこと

    ITインフラからソフトウェア/SaaSまで、IT資産を効率良く最適化するアプローチ

    次に、ServiceNow Japanのソリューション営業統括本部 テクノロジーワークフロー営業本部 磯野淳氏と、スペシャリストSC本部 テクノロジーワークフロー部の沢崎加乃氏が登壇。ServiceNowが提供するサービスの特徴や、ITサービス最適化に向けたCMDB構築やSaaS管理の方法を解説しました。

    ServiceNowは、企業のさまざまなデータを収集して一元的に管理するCMDBを有し、ITサービス管理をはじめとする多彩な業務アプリケーションを提供するグローバルベンダーです。

    磯野淳氏|ServiceNow Japan合同会社 ソリューション営業統括本部 テクノロジーワークフロー営業本部 本部長

    磯野氏: ServiceNowはサービスのラインアップとして、ITサービス管理の「ITSM」やソフトウェア資産管理やSaaS管理を行うソフトウェア資産管理の「SAM」、システム運用に必要な情報を管理するIT構成管理の「ITOM」などがあります。特徴的なのは、CMDBを中心にこれらを含む多彩なサービス群が連携できるという点です。

    磯野氏によると、企業におけるソフトウェアやSaaSなどの資産管理はさまざまな課題に直面していると言います。

    磯野氏:例えば、気づかない間にソフトウェアのサポート期限が切れてしまったり、ライセンス違反で多額の追加費用を請求されたりするケースです。また、不要なライセンスが残り続けることで無駄な費用を支払っていたり、ソフトウェアの種類や量が増え管理工数が増加し続けていたりする場合もあります。こうしたリスクやコスト・工数を低減していくためには、EOL情報の自動での紐づけ、契約数と実インストール数の自動把握、利用実態の把握と適切な対応、ライフサイクル管理の一元化といった取り組みが非常に重要なポイントになります。

    こうした最適化を効率良く実施できるのがServiceNowです。先述した製品の1つであるITOMでは、PCやモバイルデバイス、OT機器、ソフトウェア、サーバ、ネットワーク、クラウドインフラ(IaaS/PaaS)の情報を収集し、CMDBに格納します。システムを構成するアイテムやアイテム同士の依存関係、障害発生時の影響範囲などを可視化します。さらにSaaSについても、さまざまなSaaSと連携し、資産の状態を一元管理し最適化を実現します。

    続いて登壇した沢崎氏は、実際にどのようにSaaSを管理するのかをデモで示し、こう訴えました。

    沢崎氏:SaaS管理のダッシュボードから、使用しているSaaSの合計金額や使用していないSaaSのライセンス、対応のための推奨事項などを簡単に把握できます。ユーザーの使用状況から安価なライセンスに変更したり、推奨事項に沿って対策を施していくことで、ライセンスコストや対応工数、リスクを低減させていくことができます。

    沢崎加乃氏|ServiceNow Japan合同会社 スペシャリストSC本部 テクノロジーワークフロー部 シニアアソリューションコンサルタント

    ロードマップ作成と情報の自動収集。2つの事例でIT資産管理を最適化

    IT資産の最適化を進める際には、ゴール設定やロードマップ作成、KPIによる見える化、ソリューション導入、CMDB構築、運用のための体制作りなどに取り組みます。そこで新たな課題や悩みに直面するケースも増えますが、そのサポートをNTTドコモビジネスが行っています。ソリューションサービス部の森口愛莉咲は、2つの事例を紹介しました。

    森口 愛莉咲 |NTTドコモビジネス ソリューションサービス部

    1つめは、IT資産管理のロードマップ作成を支援した事例です。この企業では、セキュリティインシデント発生時に影響範囲を特定できなかったり、現場の課題や高負荷な稼働を解決したいが、何から取り組むべきなのか整理できないといった課題を抱えていました。

    森口氏:約2ヵ月で全5回のワークショップを行い、現状の確認やIT資産管理の全体像の可視化、課題の抽出・分析整理、全体スケジュールの検討を実施しました。その結果、信頼できる情報を一元的なデータベース上で管理していくことが急務であり、IT資産管理ツールの刷新だけではなく、その枠組みそのものの見直し、体制や管理対象、ルール制定を含め整理していく必要があることがわかりました。そこで、関連部署への影響を考慮し、スモールスタートで取り組みました。

    このケースでは、CMDBの導入から管理対象の拡大、ITSMの本格導入、グローバル展開といった4つのステップからなるロードマップを作成し、段階的に取り組みを進めたといいます。

    2つめは、保守対象となる機器情報の自動収集と情報提供を行った事例です。この企業では、複数のネットワーク機器ベンダーがいることで保守対象が曖昧な状態になっていました。また、ベンダーごとに保守ツールが乱立し、ベンダー同士の情報連携が難しく問い合わせ対応に遅延が生じていました。

    森口氏:そこで、各拠点の機器情報を定期的に自動取得し、その情報をお客さまに共有できる仕組みを提供しました。その結果、保守対象のネットワーク機器構成情報の把握割合が6割から9割になり、ツールを統合したことで、情報連携が進み、問い合わせ対応の品質が向上しました。また、回線の新設/廃止の申し込みや進捗状況をポータル上からタイムリーに確認できるようになっています。

    こうしたサポートは、NTTドコモビジネス、ServiceNow、アエルプランニングの3社が連携して提供することもできます。本記事でご紹介した内容の詳細については、オンラインセミナー本編でご視聴いただけます。IT環境が複雑化する昨今において、IT資産管理のあり方を見直すヒントとしてぜひご活用ください。

    EVENT
    “持っているだけ”から“活かす”へ:無駄を省き、価値を引き出すIT資産管理の最適化アプローチとは
    IT資産の適切な管理は、コスト削減、コンプライアンス対応、セキュリティ強化といった観点から、企業経営において極めて重要な要素となっています。 特に近年は、単にハードウェアやソフトウェアの在庫を把握するだけでなく、SaaSやクラウド環境を含めた多様なIT資産の構成情報や相互関係を常に最新の状態で維持し、企業全体の最適化を図ることが求められています。 本ウェビナーでは、IT資産の「見える化」から「最適化」、さらには「価値創出」へとつながる実践的アプローチを専門家と共にお届けします。 第一部では、株式会社アエルプランニング 甲田氏より、IT資産管理の最新トレンドやロードマップをご紹介。 第二部では、ServiceNow Japan合同会社 磯野氏・沢崎氏が、ソフトウェア/SaaS資産管理の最適化におけるServiceNowの機能紹介をデモンストレーションを交え詳しく解説します。 最後に第三部では、NTTドコモビジネスによる資産管理における信頼データの構築と活用事例をご説明します。 構築にとどまらず、課題解決に向けたソリューションの提供を通じて、資産管理領域における総合的なパートナーとしての取り組みをご紹介します。ぜひご視聴ください。 ▼このような方におすすめです▼ IT資産管理の最新トレンドを知りたい方 資産情報はあるが効果的に活用できていない方 運用の手間を減らしつつ、経営や業務に役立てたい担当者
    IT資産の適切な管理は、コスト削減、コンプライアンス対応、セキュリティ強化といった観点から、企業経営において極めて重要な要素となっています。 特に近年は、単にハードウェアやソフトウェアの在庫を把握するだけでなく、SaaSやクラウド環境を含めた多様なIT資産の構成情報や相互関係を常に最新の状態で維持し、企業全体の最適化を図ることが求められています。 本ウェビナーでは、IT資産の「見える化」から「最適化」、さらには「価値創出」へとつながる実践的アプローチを専門家と共にお届けします。 第一部では、株式会社アエルプランニング 甲田氏より、IT資産管理の最新トレンドやロードマップをご紹介。 第二部では、ServiceNow Japan合同会社 磯野氏・沢崎氏が、ソフトウェア/SaaS資産管理の最適化におけるServiceNowの機能紹介をデモンストレーションを交え詳しく解説します。 最後に第三部では、NTTドコモビジネスによる資産管理における信頼データの構築と活用事例をご説明します。 構築にとどまらず、課題解決に向けたソリューションの提供を通じて、資産管理領域における総合的なパートナーとしての取り組みをご紹介します。ぜひご視聴ください。 ▼このような方におすすめです▼ IT資産管理の最新トレンドを知りたい方 資産情報はあるが効果的に活用できていない方 運用の手間を減らしつつ、経営や業務に役立てたい担当者