2024.11.15(Fri)
DIVE to METAVERSE
2023.03.08(Wed)
#20
目次
未来を切り開く新しい分野として注目を集めるメタバース。仮想空間を舞台に、自分の分身としてのアバターを通じて他者とコミュニケーションできることから、エンターテインメント、経済活動、教育といったさまざまな分野における発展に寄与できるものとして、多方面から期待が寄せられています。
一方で、興味はあっても実際に利用経験があるという方は、日本ではまだまだ少ないのが実情でしょう。体験するためのヘッドセットやコントローラー類が比較的高価で、利用するにあたっては言語の障壁があることなどがその要因として挙げられます。
そこで、まずはメタバースに実際に触れてみよう――。そうした趣旨のもと、OPEN HUB Parkを舞台に開催された体験会には多くの参加者が来場。カタリストたちのガイダンスを受けながら、実際にアバターをつくり、仮想空間上で交流を楽しむまで一連の流れを体験しました。
「メタバースがバズワード化していて、目にしない、耳にしない日はないと思います。でもそれが、具体的に自分たちのビジネス、あるいは個人的な暮らしとどう関わってくるのか、そしてどう関わらせるべきなのかイメージが湧かないという人が多いようです。今日は実際に、皆さんで一緒に体験しながら、まずは触れてみる、始めてみるというところから、メタバースの世界に触れていきましょう」
OPEN HUBのカタリストでこの日の講師を務める山根の挨拶から始まった、この日のメタバース体験会。3つのテーブルに分かれて座った参加者たちの総数は20名を超えました。老若男女から成るバラエティー豊かな顔ぶれが、メタバースに対する世の中の関心の高さを物語っているように見えます。
大型モニターを使ってのレクチャーでは「将来的に、メタバースの経済圏は現実世界を上回ると予想する人もいて、期待値は日増しに大きくなっている」というような説明もあり、参加者たちのメモを取る様子にも熱が入ります。
そして、山根は参加者へこのようなメッセージを送ります。
「自分たちはメタバースを使って、いったい何ができるのか。各々のビジネスにおける立場から、広げるべき可能性と果たせる役割を考えてみてください。現状はまだまだ手探りの状態。プラットフォームやソフトを用意する側も、利用する側も未成熟であると言わざるを得ません。そこに新規に参入するにあたって、自分たちがメタバースでやるべきこと、逆にやるべきではないこと、その根本的なことも考える必要があるでしょう」
またメタバースビジネスの戦略を考える上で、このようなアドバイスもお伝えしました。
「インフラやツールの進化と普及が進むまでは、まだこの先5年、10年と時間がかかることが予想されます。取り組みを始める際は、ビジネス戦略においても中長期的なロードマップが描けるように意識すると良いでしょう。どんなプラットフォームで実験すべきか、法的整備が今後整っていくかなど、関連する最新情報や情勢にも注視してください」
講義後、参加者たちは自らのスマートフォンやパソコンを使ったメタバース体験へと移ります。
「実体験なくして、メタバースビジネスは語れない」という山根の声に、熱心に質問を投げかける参加者たち。体験前のテーブルごとの自己紹介では、製造業、小売業、サービス業、開発業など、業界が多岐に及ぶことが分かります。
メタバースに対しては、個人的に興味・関心を抱いているだけでなく、参加者が所属する企業からも「社を代表して、今日の体験会で学んできてほしい」といった期待がかけられていることもうかがえました。
指導はVRヘッドセットとコントローラーの使い方、そしてデバイスの差によるメリット・デメリット、現状メジャーとなっている複数のプラットフォームの特徴などについても触れながら、参加者たちはまずNTTグループが開発したプラットフォームである「DOOR」を体験しました。
各々がQRコードを読み込んで、3次元コンピューターグラフィックスの仮想空間をのぞく。「これがメタバース空間か」と、会場のあちらこちらから感嘆の声が上がりました。
大いに盛り上がったのは「READY PLAYER ME」を用いたアバターづくりの体験。スマートフォンやパソコンを使い、色、服装などを思い思いに選びながら、いつの間にか打ち解けた参加者同士でアバターを見せ合ったり、笑い合ったり。「男女すべてのユーザーのうち、多くが女性のアバターを選ぶ」という説明には、変身願望の話でまたひとしきり話が弾みました。
「現実の自分とは違う誰かになれる」という点においても、メタバースは多くの人々から期待をかけられているようです。しかも、ただ1つのアバターに変身できるだけでなく、参加するプラットフォームごとに複数の自分の個性をもち、それぞれの世界で交流し、活動することができる――そうした説明に、誰もが夢を膨らませていたようでした。
「男性を女性の見た目に変えることはできるが、現状のインフラとシステムでは、オンタイムで声まで変えるのは難しい」など、それぞれのアバターを形にしながら、詳細の話にますます興味を深めていく参加者たち。この次に体験した「Spatial」というプラットフォームでは、自分のアバターでその世界に入ることは、やがて複数の世界で生きることの入り口になると感じたのではないでしょうか。
また実際にVRゴーグルを装着してVR空間内の会議を体験する「Workrooms」では、最初ペアリングなどに手間取ったものの、VRミーティングルームに入室できた際は、驚きの反応を見せていました。そして、ヘッドマウントディスプレイに映っている映像に合わせて、さまざまなアクションを取っています。初めてのVRミーティングルームに慣れようと、手探りの状態のようです。実際に初めてVRゴーグルをつけると、ほとんどの方はそうなるでしょう。
しかし、慣れてくるとVRゴーグルのスピーカーから聞こえる声に言葉を返してコミュニケーションを取ったり、手を自由自在に動かせたりするようになります。VRミーティングルーム内にはPCやホワイトボードがあり、それらに触れたり書き込んだりできるようになった様子がうかがえます。ついに、VRの世界に没入できたようです。アバターがあることで身振り手振りが伝わりやすく、ZoomやTeamsでは体験できない臨場感を会議で体感できます。
VRゴーグルつけた参加者同士がメタバース空間で出会い、会話を交わしてハイタッチした瞬間が、座学と体験を通じて学びを得た体験会のハイライトのように見えました。実際にVRの世界を体験して感じた「Wow!」の驚きが人を前進させるのではないでしょうか。
この日、知識ではなく体験としてメタバースに触れた参加者たちは、体験会が始まったころとは違い“自分ごと”としてメタバースの未来を語り合うようになっていました。
「遠く離れたところにいる家族や友人たちと、メタバース空間で集まりたい」
「住んでいるマンションがペット不可だから、メタバース空間でペットを飼ってみたい」
「いっそ自分が動物になってみたい」
「亡くなった親をアバターにして、メタバースの世界で再会したい」
「理想的なメタバース空間で、ゆっくり読書を楽しみたい」
「当社は小売ビジネスを展開しています。長期的に見て、小売りの世界でどのように活用されるか考えるきっかけになりました」
「ビジネス活用は半信半疑だったが、百聞は一見に如かずだった。メタバースのビジネス活用のアイデアが出てきそう」
さまざまな可能性に、うなずき合ったり、讃嘆の声が沸き起こったりしながら、発想が豊かになっている様子がうかがえます。またビジネスの面では、メタバース空間に置いたパソコンを実世界のパソコンに連動させて、世界各国に散らばる仲間たちと一緒に仕事ができる可能性などが語り合われました。
参加者の1人は、体験会をこう振り返ります。
「小売店舗の運営をしています。ポイント事業以外でのお客さまとの接点がなかったので、何かファンづくりやコミュニティーづくりに役立てられそうなヒントはないかと思い、参加しました。メタバースはまだハードルが高いと思っていたので、今日のように登録のところからアバターづくり、デバイスの使い方まで丁寧に指導してくれる会はとてもありがたいと思いました。今後の進化に期待しながら、参入の機会を探りたいと思います」
創造力次第で無限の可能性を秘めたメタバースの世界。OPEN HUBはこれからも、その扉を開く助力となることを目指して、さまざまな取り組みを企画していきます。
OPEN HUB Baseでは、11月16日(水)にメタバース&IOWN体験会を開催予定です。
内容の詳細、参加申し込みは下記よりお願い致します。
https://openhub.ntt.com/event/4670.html
OPEN HUB
Issue
DIVE to METAVERSE
ビジネス“プレイヤー”
のためのメタバース