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2024.04.20(Sat)
目次
国内の映像モニタリング市場では、防犯や品質管理、従業員の安全確保などを目的に、約600万台の監視カメラが稼働しているとされています。生成AIによる映像解析の可能性が広がる今、蓄積される映像データは企業や社会が活用できる大きな資産であると言えるでしょう。ただ、この約8割にあたる480万台のカメラはネットワークに接続されておらず、データ活用はほとんど進んでいません。有事の際に現地へ出向いてSDカードを回収し、人が時間をかけて映像を確認するといったアナログな運用も残っています。

膨大なデータソースがありながら横断的な活用が進まないのはなぜなのか。その背景には、映像データの活用を阻む「3つの壁」があります。
実装方法の壁
工場や小売店舗といった現場には、カメラが設置されていますが、多くは10年以上前の古いタイプです。これらを一斉に最新機種へ入れ替えるのは現実的ではなく、段階的に更新していかなければなりません。ただ、古いカメラと新しいカメラをまとめてAIシステムに統合するには大規模な改修も必要となるため、利用開始までに時間がかかってしまいます。
セキュリティの壁
カメラやIoT機器は、サーバーのように重厚なセキュリティ対策を施しにくいため、サイバー攻撃の踏み台にされ、情報が漏洩するリスクを抱えています。「カメラをネットワークへ接続すること自体が不安だ」と感じているお客さまも多くいらっしゃるのが現状です。
コストの壁
24時間撮影する大容量の映像をクラウドへ送るには、通信コストが必要です。特にモバイル回線の場合は通信費がかさみ、「費用対効果が合わないのではないか」と考えるお客さまもいらっしゃいます。こうしたコストへの懸念が、映像データの利活用がなかなか進まない要因となっています。
例えば、コンビニなどの小売店舗の管理では、「この店舗の売上を最大化するための改善案を提示してください」とAIに指示(プロンプトを入力)すると、AIが映像を解析し、「商品配置に問題がある」「デッドスペースがある」「レジ横の商品構成が適切ではない」「ティッシュではなくチョコレートなどを置いた方がよい」など、改善策を提案してくれます。
このように、映像AI は、映像の文脈を理解し具体的な解決策や改善案を示すレベルまで進化しています。こうした映像AIを活用し、お客さまが保有する映像データを価値へと変えていくことをコンセプトに開発したのが「docomo business SIGN VPaaS」です。

特長① 古いカメラも含めた映像資産をそのままAI活用できる
「docomo business SIGN VPaaS」はカメラの設置から、安全なネットワーク構築、映像データの送信・蓄積、AI分析による映像活用まで、ネットワークサービスとして一元的に提供します。古いカメラの映像データも専用のカメラゲートウェイを接続させることでAI分析できるように変換。古いカメラと新しいカメラが混在する環境でも、拠点・用途を横断した映像データの検索やAI分析を可能にします。
特長② エッジ×クラウドで通信コストを最適化
映像データは、定期的なスナップショットに加えて、エッジ側で人や車両の動き、物品の搬出入など、変化が起きたシーンを判別し、分析に必要なデータを中心にクラウドに送信・蓄積し通信量を削減します。その際、「人物が30人以上いる場面」「誰もいない場面」「人が転倒した場面」など、AIが自動でタグ付けも実施することで、コストと性能の両立を実現します。
特長③ ネットワークまで含めてセキュリティを担保
サイバー攻撃の手法は次々とアップデートされるため、絶対に侵入されないとは言い切れません。万が一、デバイスが悪性通信に侵害されても、各デバイスの通信網を「docomo business SIGNTM」や「docomo business RINK®」にすることで、ネットワーク側で悪性通信を検知し、お客さまにて遮断いただくことで、システム全体への影響も最小限にとどめます。

近日提供予定のAIエージェント型UIは、小売業向けなど、各分野に特有の業務への活用を想定し、手間なく映像を分析できるようにした機能です。必要な情報をレポート化してグラフで表示したり、棚空きによる機会損失を推定したり、業務改善に向けたアクション案を提示したりします。改めて分析ツールやAPIを構築しなくても、映像から得られる情報をもとにして業務改善案などを提案してくれます。
例えば、小売業で複数店舗を統括するマネージャーは、各店舗で蓄積された映像データを横断的に分析し、商品棚の欠品傾向やフェイスの変化、顧客導線などを可視化できます。AIは過去の売上データや映像解析結果をもとに、欠品による機会損失や売場ごとの課題を定量的に分析し、店舗運営の改善に活用できます。

さらに、「売上向上のための改善案を提示して」とプロンプトを入力すると、AIが単一店舗の映像を解析するだけでなく、複数店舗・過去も含めて蓄積された映像データを横断的に分析し、売上の高い店舗と低い店舗の違いや、成果につながる売場づくりのパターンを抽出。改善策の提示から効果検証までを継続的に支援します。
小売業における店舗運営の高度化に加え、製造業では生産ラインや作業現場の映像データを分析し、生産性向上やシフト配置の最適化を支援します。また物流業では、ドライブレコーダー映像を蓄積・分析することで、安全運行状況の把握や運行品質の改善に活用できます。今後も、業界ごとの業務課題に応じた分析・可視化機能を拡充していく予定です。

docomo business SIGN VPaaSでは、「JC-STAR」などの情報セキュリティ基準を満たしたAIカメラ(Verkada Japan、NTTイノベーティブデバイス)やエッジデバイス(EDGEMATRIX、アムニモ)の各メーカーとの連携、クラウドストレージ連携(Wasabi Technologies、NTT DATA)、さらには、製造・物流業向けに知能ロボットコントローラを手がけるMujinとの業務提携など、パートナー連携によるサービスの強化も図っています。対応デバイスや多様なプレイヤーとの協業を今後も拡大させていく予定です。
本サービスは、AIを前提にネットワーク・クラウド・データ基盤を統合するNTTドコモビジネスの次世代インフラ構想「AI-Centric ICT プラットフォーム®」の映像データ基盤として位置付けています。
現在は人が映像データを活用して業務改善を行うことを想定していますが、将来的にはロボットやAIエージェントが映像データを活用して判断・行動する世界も見据えています。さらには、蓄積された映像データや現場の状況をAIが分析し、その結果をロボットなどのフィジカルAIへ連携することで、より高度な自律運用や業務効率化を支援していきます。
防犯や監視のための記録として扱われてきた映像データは、業務改善や意思決定を支える「資産」へと変わりつつあります。「docomo business SIGN VPaaS」は、その活用基盤として、さまざまな産業のDXを支えていきます。
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