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2024.04.20(Sat)
――最初に、日本で自動運転が求められている背景について教えてください。
NTTドコモビジネス 塚本広樹(以下、塚本):日本では高齢化が進み、65歳以上の方が3割に迫る状況です。バスドライバーも、2020年には12.5万人ほどでしたが、2022年には約11.4万人まで減少。2030年には9.3万人まで減少するという推計もあり、地域交通システムは厳しい状況になるでしょう。都心部に住んでいると、車がなくても生活できる感覚がありますが、地方では違う風景が広がっています。ある程度の規模の地方都市でも、主要駅から少し離れると、移動に車が必要になる地域が多い。これらの構造的な背景が、自動運転に期待が集まる最大の理由だと考えています。
――自動運転の実証実験は日本各地で行われています。社会実装に関しては、どのフェーズにあるのでしょうか。
塚本:これまでは技術開発フェーズに、相当な時間を費やしてきました。ここからは、2028年をめどに社会実装をめざす移行期。社会受容性や運行モデルをどう設計すれば持続的に事業が成り立つかを考え、実行していくフェーズになります。
――社会実装に向けた課題は、どう捉えていますか。
塚本:日本の都市では、同じ市内でも、交通量や人流が多い中心部、生活道路や幹線道路が混ざった郊外、交通量も人流も少ない過疎地域など、多様な交通環境が存在しています。また、道路幅も海外と比べて非常に狭く、運転が難しい道路も多い。そういった地域ごとの特性を把握しつつ、安全性を担保する運用設計をつくり込むのは簡単ではありません。
NTTモビリティ 山下航太氏(以下、山下氏):他にも課題はあります。交通事業者の体制です。ヨーロッパなどでは、定路線バスは公共交通機関として都市ごとに1〜2社にまとまっていたり、自治体が都市運営に必要なコストと割り切って運営したりするケースが多いです。しかし日本の場合、都市ごとに複数の民間バス会社が並立して運行しています。タクシー会社に至ってはさらに小規模な事業者が多数存在します。このため、自動運転の導入・転換に必要なリソースを単独で担える事業者が少ないのが実情です。だからこそ、各社が個別に自動運転の仕組みをデザインするのではなく、車両調達や運行管理、遠隔監視といった自動運転に必要となる機能を「共通化・共用化」することによってコストを下げていく発想が不可欠になります。すでに検討開始している地域もありますが、まだ手が付けられていない領域は広いです。
――そうした複雑な社会課題や実装に向けたハードルを乗り越えるために、NTTドコモビジネスでは、「スマートシティ推進室」と「スマートモビリティ推進室」を統合し新体制を発足させました。この狙いについて教えていただけますか。
塚本:NTTドコモビジネスは、これまでもビルや街区開発におけるデジタル化、いわゆるスマートシティ事業を手掛けてきました。街には必ずタクシーやバス、コミューター(多人数が乗車できる送迎用の車)が存在しており、スマートシティづくりにおいて、モビリティをセットで考えることは極めて自然です。
一方、モビリティ単体で見ると、現状は自動運転を事業として収益化するのは簡単ではありません。正直、補助金や実証実験の予算といった先行投資に支えられている部分もあります。自動運転の社会実装を加速するには、移動サービス単体ではなく、MaaS、観光、医療といった街の機能と組み合わせて事業化し、収益性を高めることが重要です。そのために2つの組織を統合しました。

山下氏:私もスマートシティとモビリティの統合は必然だと考えています。NTTモビリティでは、車両そのものが収集する情報のほか、道路側や周辺環境に設置された信号、カメラ、センサー類から情報を吸い上げ、それを車両側にフィードバックすることで死角を減らし安全性を高める「路車協調」という取り組みを掲げています。この技術を実装するには、自動運転と都市インフラを連携させた街づくりが欠かせません。
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