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2024.04.20(Sat)
――欧州を中心に、グローバルではサプライチェーン全体の排出量であるScope3の可視化が重視されています。その背景について、白井教授の考えをお聞かせください。
白井さゆり氏(以下、白井氏):一つは、2023年6月にISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が策定した「IFRS S2」の影響です。これは、企業が気候変動に関する情報を財務報告と一貫した形で開示するための国際会計基準であり、Scope1・2・3すべてのGHG排出量の開示を要求しています。
一定規模の上場企業では、Scope1・2を含む気候関連情報の開示対応が進んでいます。Scope1は自社の排出、Scope2は電力使用など間接的な排出です。データが整っている日本において、開示はそれほど難しくありません。しかし、Scope3となると話は別です。原材料の調達、機械の稼働から、製品が販売された後の使用段階まで、上流・下流のすべてが含まれます。例えば自動車メーカーであれば、ユーザーが車を運転している期間の排出も対象です。当然、この把握と開示は非常に大変な作業です。
それでもScope3の開示を義務化する理由は、見せかけの排出量削減を防ぐことにあります。例えば、Scope3の開示が義務でなければ、GHG排出量が多い部門を子会社化したり、外部化したりしてしまう。そうすれば、見かけ上は自社のGHG排出量を減らしたように見せられます。しかし、サプライチェーン全体のGHG排出量であるScope3の開示が義務になれば、そうはいきません。抜け道を防ぐためにも、Scope3の可視化と開示義務は極めて重要なものだと考えます。

――「IFRS S2」は企業にどのようなことを求めているのか、分かりやすく教えていただけますか?
白井氏:投資における気候変動のリスクは明白です。もし、気候変動への取り組みが遅れた企業に投資すると、返済不能に陥るリスクもあります。だからこそ、投資家はより環境意識が高く、サステナブルな企業を選別したい。しかし、現状は比較するためのデータや情報が不足しています。そこで、できる限り世界で共通の基準を作り、横並びで比較できるようにするのが、IFRS S2の目的です。

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