2025年7月より、NTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスに社名を変更しました

Carbon Neutrality

2026.02.06(Fri)

脱炭素を「守り」から「攻め」へ。Catalystと共に挑むGXの転換点

かつてはCSRの一環として捉えられてきた企業の環境対応。しかし、社会全体でカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速する中、企業には単なる環境貢献の枠を超え、ビジネス変革を含むGX(グリーン・トランスフォーメーション)が求められています。しかし、コストや現場との合意形成など、さまざまな壁にぶつかっている企業も少なくありません。

環境への対応をコストではなく、競争力を生み出すビジネスへと昇華させていくためには、何が必要なのでしょうか。

NTTドコモビジネスで共創ビジネスを推進する人材である「Catalyst」の中でも、GX領域を専門とする「GX Catalyst」として活躍する増田孝司、「Catalyst」による事業共創を推進する鈴木琢也に加え、再生可能エネルギー事業を扱うNTTアノードエナジーの小笠原慎氏の3名が、企業のGX推進の現在地と今後について語りました。

目次


    環境対応はPRから、経営戦略へ

    —— GXという言葉が定着しつつありますが、企業にとってGXは今なぜ重要なのでしょうか?

    増田孝司(以下、増田):近年、企業における環境対応の位置づけは大きく変わってきています。GXが重要になっているのは、環境対応が企業の競争力や事業継続を左右する経営課題になってきたからです。従来はCSRの一環として、社会貢献活動や環境配慮の取り組みを対外的に発信するケースが中心でした。いわば企業価値を補強するための取り組みとして捉えられていた面があります。

    一方で今は、環境対応そのものが重要な経営課題になっています。気候変動に起因する自然災害による事業継続リスクに加えて、炭素税などの制度対応による財務インパクト、さらに「脱炭素への取り組み」を取引条件とするサプライチェーンの要請も強まっています。GXへの対応は、企業の競争力や持続性を左右するテーマになりつつあります。

    増田 孝司|NTTドコモビジネス株式会社 ソリューションサービス部 デジタルイノベーション部門
    コンサルティングファームにて環境・エネルギー領域のコンサルを経験した後現職。GX領域の営業推進・ソリューション企画を担い、NTTグループ各社との連携強化を推進。Business Producer / GX Catalyst

    小笠原慎(以下、小笠原):私が所属するNTTアノードエナジーは、NTTグループ全体のスマートエネルギー戦略を加速するために2019年に設立され、2022年にNTTファシリティーズの電力事業を統合しリソースを強化し、再エネの発電から供給までを一気通貫でつなぐ事業を展開しています。

    日々多くのお客様と接する中で感じるのは、GXというキャッチーな言葉が生まれたことで、企業が環境対応を「経済活動」として取り組むようになってきたということです。単に「環境にやさしい」というだけでは、脱炭素の取り組みは長続きしません。経済活動として成立し、持続可能なビジネスモデルになって初めて、本当の意味での変革が実現すると考えています。

    鈴木琢也(以下、鈴木):私はCatalyst事務局として、NTTドコモビジネスの各営業組織から相談を受けて、「専門性Catalyst」につなぎ、プロジェクト全体をコーディネートする役割を担っています。

    GXは特定の業界に限ったテーマではありません。最近はあらゆる業種の企業様からGXに関するご相談をいただく機会が増えました。数年前から存在したキーワードではありますが、一過性の流行ではなく、本格的なビジネスとして社会に浸透し始めているのを実感しています。

    「守り」から「攻め」の武器に変える、NTTグループのGXソリューション

    ——NTTグループは企業のGX推進に向けて、どのようなソリューションを提供していますか?

    増田:NTTドコモビジネスでは、GXを4つのステップで整理しています。
    「可視化」「削減」「補完」「開示」の4つです。

    まず「可視化」では、CO2排出量を起点に現状を把握します。次に「削減」では、見えてきた課題に対して排出量を実際に減らすためのソリューションを提供します。「補完」では、自社の取り組みだけでは削減しきれない分を、カーボンクレジットや非化石証書などで補います。そして「開示」では、国や自治体、グローバル市場に向けた情報開示や、環境報告書の作成などを支援します。

    この「可視化→削減→補完→開示」をワンストップで支援できるのが、NTTドコモビジネスの強みです。

    お客様によって「可視化はできているけれど削減の進め方が分からない」「補完の選択肢を整理したい」「開示対応まで手が回らない」など、課題のフェーズはさまざまです。お客様の状況を見極めたうえで、最適なアプローチを提案しています。

    —— NTTアノードエナジーが提供するソリューションは4つのステップのどこにあたるのでしょうか?

    小笠原:当社は「削減」「補完」のフェーズで、再エネの供給を通じてお客様のGX推進を支援しています。代表的なサービスが「オフサイトPPA」です

    「オフサイトPPA」は、お客様の敷地外に太陽光や風力の発電所を設置し、送配電網を介して電力と環境価値をセットでお届けするサービスです。

    本来は自社の敷地内に発電設備を置く「オンサイトPPA」や自家消費の形がベストですが、実際には耐震性や敷地面積の制約で発電設備を設置できないケースが多いんです。そこで、NTTアノードエナジーが大規模な再エネ電源をまとめて保有し、コーディネートしてお届けするのが「オフサイトPPA」です。

    その中で「バーチャルPPA」は、既存の電力契約は変えずに、再エネ発電所と長期の契約を結び、実電力は受け取らずに環境価値を得る仕組みです。

    これにより、現在の電力契約を変えられない事情があるお客様でも、「バーチャルPPA」を活用すれば再エネ100%を実現できるようになります。

    小笠原 慎|NTTアノードエナジー株式会社 営業本部 ソリューション営業部 法人営業担当
    2024年よりオフサイトPPAを中心とした法人顧客のカーボンニュートラル営業を実施。それまではデータセンター設備営業、マンション電力供給の設備更改工事を担当。

    —— NTTドコモビジネスとNTTアノードエナジーは、どのように連携しているのですか?

    増田:例えば、お客様がCO2排出量を削減したいという場合には、オフサイトPPAを活用して再エネ電力への切り替えをご提案します。それでも削減しきれない分については、非化石証書などで補う。こうした形で、お客様の課題や状況に応じて、グループのソリューションを組み合わせて提案しています。

    鈴木:今、注力しているのが、データセンターへの再エネ提供ですね。データセンターは24時間電力を使い続けるため、ここの再エネ化に手をつけなければ、カーボンニュートラル達成は厳しくなります。

    最近はNTTドコモビジネスのデータセンターに入居されるお客様から「グリーンな電力を使いたい」というご要望をいただくことが増えています。そこで、NTTアノードエナジーの非化石証書を組み合わせて提供できる仕組みを整えました。これはNTTグループで共同開発した商品といえます。

    小笠原: 特に海外の大手テック企業などは、日本国内でデータセンターを利用する際にも「100%再エネでなければ借りない」という非常に高い基準を突きつけてきています。その規模は国内企業とは桁が一つ違うほどです。

    今後、AI需要の爆発にともなってデータセンターの電力消費量はさらに増大していきます。その基盤をいかにグリーン化していくかは、もはや一企業の問題ではなく、日本の産業競争力を左右する国家レベルの課題といっても過言ではありません。

    「専門性Catalyst×GX」で新たなビジネスを創出する

    ——多様なソリューションがある中で、それらを組み合わせてお客様と共に最適な形をコーディネートするCatalystの役割がさらに重要になっていきそうですね。

    鈴木:そうですね。Catalystは単なる「物売り」ではありません。「可視化ソリューションがあるのでいかがですか」というアプローチではなく、お客様が今どのフェーズにいて、どこで困っているのかをまず把握する。そのうえで、「このソリューションを導入すれば収益化できますよ」「既存サービスに新たな付加価値を生み出せますよ」というところまで踏み込んで提案していきます。

    お客様の課題を起点に、社会課題の解決と新しいビジネスの創出を一緒に考えるのがCatalystの役割。増田はNTTドコモビジネスでGX領域の専門性Catalystを担当する一人です。増田のような人材は今後、あらゆる場面で求められていくでしょう。

    鈴木 琢也|NTTドコモビジネス株式会社 統合マーケティング部 セールスマーケティング部門
    OPEN HUBにおいてCatalystによる「PLAY」プログラムを活用した事業共創の推進全般の統括を担当。
    Business Producer

    増田:最近では「GX人材」という言葉もよく聞きますが、私はGXを誰か一部の専門職だけが抱えるテーマにしないことが大事だと思っています。例えばCO2排出量算定でいえば、考え方自体は「活動量×排出係数」というシンプルな整理ができますが、実際の現場ではデータの集め方や精度の担保、運用への落とし込みまで含めて考える必要があります。

    だからこそ、私自身も含めて、データセンターやICT、セキュリティといった各分野の専門性を持つ人材がGXを共通言語として捉えられる状態をつくっていくことが重要だと感じています。そうすることで、「既存サービス×GX」という新しい価値が現場から生まれやすくなると思っています。

    —— NTTグループならではの強みとは何でしょうか?

    増田:NTTグループならではの強みは、GXを「構想」だけで終わらせず、現場で実行できる形に落とし込めるところだと思います。GXって、戦略や計画を描くこと以上に、「現場で回る形にする」ことが一番難しいところだと思います。

    その点、NTTグループは構想だけではなく、実装や運用まで見据えながら、可視化から削減、補完、開示までを一気通貫で支援できるのが強みです。たとえば排出量の可視化から、省エネや設備・運用の改善による削減、カーボンクレジットや非化石証書などを活用した補完、そして開示対応まで、必要な要素を整理して組み合わせながら支援できます。

    さらに、データセンターやネットワークといった社会インフラを実際に運用してきた知見があるので、制度対応や理想論だけではなく、実務として回る形に設計できる点も強みです。自社だけで完結しない領域は、NTTアノードエナジーをはじめとするグループのソリューションと組み合わせて提案できます。こうした実行力が、NTTグループの価値だと考えています。

    小笠原:NTTブランドの信頼性も大きいですね。大規模なPPAは15〜20年の長期契約になります。お客様からすれば「20年後もこのパートナーは約束を守ってくれるのか」という信頼性が不可欠です。その点で、NTTドコモビジネスが長年培ってきたお客様との深い信頼関係は、長期契約を前提としたGXソリューションにおいて大きなアドバンテージになっています。

    また、NTTグループでは「NTT G×Inno(ジーノ)」というブランドのもと、グループ各社のGXソリューションを一覧化しています。当社が直接提供できないソリューションでも、グループとして対応できる幅の広さがあり、お客様のニーズに対して「できません」と言わずに済むのはグループ連携の強みだと感じます。

    GXは「全企業がやらなければいけないフェーズ」へ

    ——今後、GXが特に求められる業界や領域はどこでしょうか? また、GX推進に取り組む企業へのメッセージをお願いします。

    増田:まずは製造業ですね。CO2排出量が大きい業界なので、GXの取り組みが経営に与える影響も大きくなります。電力会社も同様で、化石燃料由来の電力をどうグリーン化していくかは重要なテーマです。

    もう1つは、不動産・投資領域です。ESG投資の流れもあり、投資家やステークホルダーから環境配慮に対する要求は強まっています。単なる省エネにとどまらず、中長期のアセット価値や企業価値の観点でGXに取り組む動きが広がっていると見ています。

    鈴木:AIの急速な進化に伴い、データセンターの電力消費は今後さらに拡大していきます。AIによる業務効率化が進む一方で、その裏側では膨大な電力を消費している。「足元の電力はどうなっているのか」という視点は、今後ますます重要になるでしょう。

    制度面でも、排出量取引制度が本格化し、GXは「一部の先進的な企業の取り組み」から「すべての企業が避けて通れないフェーズ」になってきました。当たり前の前提としてGXを意識しながら、いかにビジネスを広げていくかが問われています。

    NTTドコモビジネスに対して「通信やスマホの会社」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、GXという領域においては、グループ全体の膨大なリソースと専門知を結集できる体制を整えています。どんな課題でも、まずは私たちCatalystにご相談ください。

    小笠原:正直なところ、制度設計やルール作りの面で日本は欧州に一歩後れを取っているのが現状です。20〜30年前、日本は省エネ技術で世界をリードしていましたが、今は欧州が自分たちに有利な「制度の仕組み」を先に作り、世界標準として展開しています。

    ですが、日本には戦略を描くだけで終わらず、現場で着実に設備を動かし、泥臭く運用しながら確実な実利を生み出していく「実行力」という揺るぎない強みがあります。GXの広まりという新たな変革期に、持ち前の「実行力」を発揮することで、日本は再び世界で輝きを取り戻すことができるはずです。GXを機に、世界で勝てるサービスを日本から生み出すためのパートナーになりたいと考えています。

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