2025年7月より、NTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスに社名を変更しました

Xtrepreneur Award

2026.01.07(Wed)

『レガシーで社会を変える』を体感する一日に
Forbes JAPAN Xtrepreneur Gathering #2

OPEN HUBとForbes JAPANが立ち上げた「Xtrepreneur AWARD」(以下、クロストレプレナーアワード)の2025年度受賞者やノミネート企業が一堂に会するイベント「Xtrepreneur Gathering #2 in OPEN HUB Park」が、11月5日に開催されました。事業の裏側にある苦労や工夫のほか、どのように新たな価値を生み出していったのかを共有。“レガシーで、社会を変える”手応えを確かめる一日となりました。

目次


    クロストレプレナーアワードの知見を共有する『場』

    OPEN HUB Parkには、56人を越える参加者が集いました。OPEN HUB代表の戸松正剛は、開会のあいさつで、イベント開催の狙いを説明しました。

    「クロストレプレナーアワードは今年度で3回目。毎回、素晴らしい案件が出てきています。今日は、その内容を共有し合い相互にコミュニケーションする『場』にしたいと考えています。貴重な機会ですのでぜひ楽しんでください」

    戸松正剛|NTTドコモビジネス株式会社 統合マーケティング部長、事業共創プログラム「OPEN HUB for Smart World」代表
    NTTグループ各社にて、主にマーケティング/新規事業開発に従事。米国留学(MBA)を経て、NTTグループファンド出資のスタートアップの成長/Exit支援、Jリーグ他プロスポーツ業界とのアライアンスなどを手掛ける。2021年OPEN HUB for Smart Worldを設立、代表に就任。現在は、統合マーケティング部長として、ABM、デジタルマーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセス、セールスイネーブルメント、会員コミュニティーなど、B2Bマーケティング全般を統括

    続いて、Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香氏が登壇し、イノベーションを生み出す上で重要な役割について説明しました。

    「イノベーションは、結びつくはずもないもの同士が結びつくことで生まれます。そのまさかの組み合わせ、点と点をつないでいくのに欠かせないのが、ポリネーター的役割の存在です。あちこちにアンテナを広げて、一番いいもの同士を引き合わせていく。そんなヒントになるよう、今日の学びを持ち帰ってもらいたいと思います」

    谷本有香|Forbes JAPAN Web編集長
    証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年に米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターとして従事。現在、経済系シンポジウムのモデレーター、政府系スタートアップコンテストやオープンイノベーション大賞の審査員、企業役員・アドバイザーとしても活動している。2016年2月より『フォーブスジャパン』に参画。2020年6月1日より現職

    続くトークセッションでは、ソーシャルビジネス賞の「CHOCOPEN」と、サーキュラーエコノミー賞の「宅配PASSTO」の関係者が、社会実装のリアルと、共創をビジネスとして成立させるための視点を語りました。

    社会課題を「善意」と「ビジネス」で解決『CHOCOPEN』

    【ソーシャルビジネス賞受賞】

    (左から)
    早尾栄|三菱鉛筆株式会社 執行役員 サステナビリティ推進室長
    銅冶勇人|株式会社DOYA CEO / 特定非営利活動法人CLOUDY 代表理事

    アフリカ・ガーナの路端に廃棄され続けているカカオの殻。放置すれば、土壌の生態系悪化や、腐敗に伴う蚊の増殖・マラリア蔓延といった衛生面での課題につながります。この“ゴミ”を原料にして鉛筆を製造し、雇用創出と、ガーナの子どもたちへの教育支援につなげているのが「CHOCOPENプロジェクト」です。

    発端は、アフリカで教育や雇用創出に取り組むDOYA CEOの銅冶氏が、カカオ農園で耳にした「チョコレートを食べたことがない」という現地の人の声でした。ガーナのカカオ生産量は年間80万トン。その75%はカカオの殻で、街中にゴミとして放置されているといいます。銅冶氏は、社会支援のあるべき姿について自身の考えを説明しました。

    「理屈抜きの“善意”では課題を解決することはできません。先進国の支援活動が、現地の雇用を奪ってしまう場合もあります。教育・雇用・商品の製造を通じ、地域経済が循環するビジネスを現地の目線で考え、実装していくことが重要です」

    銅冶氏から提案を受けた三菱鉛筆は、おがくずを使った鉛筆製造の経験があったことからプロジェクトに参画。同社の早尾氏は、3年がかりで商品化した苦労について説明しました。

    「カカオの殻を粉末にして、鉛筆を作りました。カカオはアオイ科に属し、オクラの仲間です。そのため水に濡れるとネバつきます。実際に試作した際には、曲がりや落下による折れの問題が発生しました。これらの課題を解決し、曲がりにくく折れにくい、さらにポケットシャープナーで削れる程度の硬さに仕上げる“味付け”を完成させるまでに、合計で3年を要しました。身近な工業製品である鉛筆には、まだまだ可能性があると感じています」

    現在、カカオの殻を使った鉛筆は、人の手に頼って製造している部分も多い状態ですが、今後は生産能力を増強し、欧米など販売エリアを拡大することも視野に入れています。銅冶氏は、「5〜10年のスパンでプロジェクトを見据えている」とした上で、カカオの殻の粉末を使った服飾用ボタンの試作や、現地の若者と一緒に“ゴミから何が作れるか”を探求するクリエイティブアカデミー構想の実現にも取り組んでいると説明しました。

    小さな共創が次の共創を生む『宅配PASSTO』

    【サーキュラーエコノミー賞受賞】

    (左から)
    大音まり絵|株式会社ECOMMIT 事業開発部 ゼネラルマネージャー
    永松冬青|LINEヤフー株式会社 サステナビリティ事業開発ディビジョンリード

    「宅配PASSTO」は、家庭に眠る不要品(都市資源)を無料で回収・再流通させるサービスです。ユーザーは、LINEヤフーが運営する「サストモ」LINE公式アカウントを通じて不要品の回収を申し込み、自宅から発送するだけ。回収された品は、ECOMMITの資源循環プロセス(回収、選別、再流通)を通じて、リユース・リサイクルされます。

    ECOMMITは、全国に8拠点の循環センターや物流拠点を運営しており、循環サイクルの運営、トレーサビリティ、データ化までをワンストップで提供。売る・捨てるよりも簡単で気持ちのいい「パストする」という資源循環アクションをサービス化し、商業施設やアパレル企業と連携して、年間1.2万トンの資源循環を実現しています。

    一方のサストモは、さまざまな企業と連携して、未来に関心を持つ540万人以上もの人にサステナビリティに関するニュースやアイデアを届ける国内有数メディアです。

    両社は2024年9月〜10月にサービスのトライアルを実施。1カ月半で予想を超える3500人以上が参加し、44トンの都市資源が集まりました。社会のニーズや資源循環の可能性が確認できたことから、2025年3月3日に全国展開(離島・北海道・沖縄を除く)をスタートしています。

    LINEヤフーの永松氏は、なぜECOMMITと共創したのかという質問に対して、将来的な事業の広がりへの期待を説明しました。

    「サストモは新規事業プロジェクトですので、サステナビリティという社会的な意義だけでなく、ビジネスとして成立するかどうかもしっかり見極めています。資源循環は市場成長が期待できる分野。そのため、ECOMMITとの事業共創を進めてきました」

    両社の元には、さまざまな業界の企業から相談が寄せられていると言います。ECOMMITの大音氏は、事業拡大に向けた意気込みを語りました。

    「今、多くのメーカーは、生産者責任として、使い終わった自分たちの製品や梱包資材を回収することが求められています。そこで、メーカーの皆さまが集めたいものを社会から集めていく仕組みをつくりたい。ECOMMITのオペレーション力と、サストモの発信力、メーカーの熱量を掛け合わせて、資源循環の市場を拡大させていきます」

    文化、環境、テクノロジーなど多様な5案件

    プロジェクトピッチでは、カルチャーインパクト賞の「集英社マンガアートヘリテージ 〜文化継承と真正性を支える新たなアートプロジェクト〜」のほか5案件の代表者が登壇し、さまざまな共創のあり方を提示しました。

    原画をアートに昇華『集英社マンガアートヘリテージ』
    〜文化継承と真正性を支える新たなアートプロジェクト〜
    【カルチャーインパクト賞】

    施井泰平|スタートバーン株式会社 代表取締役

    「集英社マンガアートヘリテージ」は、マンガの原画をアート作品として高付加価値化し、後世に受け継ぐプロジェクトです。経年劣化によって失われてしまう色彩などの魅力を高精細に再現し、作品の発行元や作家、限定エディション情報をブロックチェーン技術によって証明します。

    作品の制作では、世界トップクラスの色彩技術を持つエプソンが、自社の工場内に専用の工房をつくり、スペシャリストを総動員して数カ月をかけ原画の色を高精細に再現。その他、紙の材質や印刷機、額縁に至るまで、あらゆる職人の技術が生かされました。

    実際の作品は、麻布台ヒルズにあるSHUEISHA MANGA-ART HERITAGEギャラリーのほか、サンフランシスコのデ・ヤング美術館で展示中です。日本のマンガ作品が海外の美術館で展示されるのは初めてのこと。人の技術がつながることで、マンガの魅力が世界に発信されています。

    高校生が発案 知財でドライブ『エネルフィッシュ』

    佐藤元一|株式会社シモジマ ビジネスディベロップメント部

    株式会社シモジマは、包装資材の製造・販売を手掛ける専門商社です。ある日、会社に高校生から相談が寄せられました。世界で最も苦い成分・デナトニウムが入ったレジ袋を開発できないかというものでした。

    背景にあったのが「海洋プラスチック」問題です。プラスチックごみが、河川などを通じて海に流れ込んで漂流・沈殿する問題が深刻化しています。高校生のアイデアは、全国3600校が出場するビジネスグランプリで準グランプリに選ばれるなど、大きな注目を集めました。

    エネルフィッシュは、意匠・商標を登録し、レジ袋に商標を印刷することで収益化。最近では、奈良公園の鹿がレジ袋を食べて死んでしまう対策として、鹿の胃液で溶けるレジ袋も開発しました。プラスチックが自然の中で分解されるのには400〜600年もの時間がかかります。ゴミを増やさない活動が求められています。

    「見えない不調」を可視化し企業変革へつなげる『Menorista.』
    (DE&I対応型ヘルスリテラシー研修と更年期当事者の不調改善伴走支援プログラム)

    大槻朋子|パラマウントベッド株式会社 経営企画本部 バリュークリエイトグループ マネージャー

    パラマウントベッドは、電動ベッドメーカーであり、長年にわたり睡眠研究にも積極的に取り組んでいます。現在は、研究の知見を活かし、女性の睡眠にフォーカスしたサービス開発を進めています。

    「DE&I対応型ヘルスリテラシー研修と更年期当事者の不調改善伴走支援プログラム」は、「働く更年期女性の心身のゆらぎ」と「企業の人材戦略」をつなぐ法人向けサービスです。現在は「Menorista.」という名称でブランド化しました。

    なぜ女性なのかには、2つの理由があります。1つは、日本人女性の睡眠時間が世界の中で最も短いこと。この50年間で、日本人女性の平均睡眠時間は約1時間短くなりました。これには、何らかの社会的な変化が影響していると考えられます。もう1つの理由が、睡眠時間の減少が、女性ホルモンや生体リズムに影響を及ぼす可能性があるためです。

    そこで、福島県のNPO法人・陽と人と共創し、睡眠時のデータ取得に加え、「会話検証」という手法を取り入れました。「見えない不調」を可視化し、企業全体の理解促進と制度改革につなげる取り組みを進めています。

    クレジット取引で森林整備を促進『森林価値創造プラットフォーム(森かち)』

    藤浪俊企|NTTドコモビジネス株式会社 ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートインダストリー推進室 担当課長

    NTTドコモビジネスと住友林業は、森林由来のカーボンクレジット創出から審査、取引までを支援する「森林価値創造プラットフォーム」(通称、森かち)をサービス化しました。

    多くの企業がカーボンニュートラルに取り組んでいますが、業界によっては排出量をゼロにすることが極めて困難な場合があります。そこで用いられるのが、企業や団体がCO2排出量を削減、もしくは吸収した分を取引可能にする、カーボンクレジットという仕組みです。

    森林由来のクレジットは一般的に高品質と言われますが、クレジット市場における創出・取引の割合はまだ少ない上、国内の森林資源の多くは樹齢50年を超え、CO2吸収量の低下が懸念されています。森林整備が遅れれば、生物多様性保全や土砂災害防止といった森林の多面的機能の低下にもつながります。

    そこで、カーボンクレジットの収益を森林整備に充て、木材の資源循環を生み出して地域経済を活性化。人的交流イベントと組み合わせた地域創生にもつなげていきます。

    遠隔コミュニケーションを円滑化『IOWN APNと3DHapticsを活用した視覚・聴覚・触力覚のリアルタイム伝送』

    莊司哲史|NTTドコモビジネス株式会社 イノベーションセンター IOWN推進室 担当課長

    少子高齢化に伴い、医療従事者や専門的な知識・経験を必要とする技術者の不足が、社会全体の大きな課題となっています。特に、遠い離島や地方では深刻で、大規模災害が発生した能登半島地域では、復旧活動にも影響を及ぼしています。

    映像や音声を使ったリモートによるコミュニケーション方法もありますが、言語の壁や、正確な情報の伝達が難しいなど、課題もあります。そこで、村田製作所、ミライセンスと共に、次世代ネットワークIOWN APNの超低遅延性と3DHaptics技術の振動デバイスを活用し、視覚・聴覚・触力覚を遅延なく伝送することで、相手の手の「動き」を遠隔で誘導する取り組みを世界で初めて実施しました。

    この技術を使えば、足踏み運動や前屈といった体操の誘導もスムーズに実現できます。人口減少問題や障がい者向けの雇用創出につながるように取り組んでいきます。

    クロストレプレナーのカギは「レガシーのアップデート」

    イベントの最後、参加者から集めた「印象に残ったキーワード」を手がかりに、戸松と谷本氏が、価値を生み出すということについて意見を交わしました。

    2人は、スクリーンに並んだキーワードの中から「価値」に着目。谷本氏は、「新しい時代に合わせて、既存のものに価値を与えていくには、価値を見極める目利き力が重要です」と述べました。

    戸松は、「クロストレプレナーアワードには、『レガシーで、社会を変える』というサブタイトルがあります。レガシーってちょっと古臭いイメージがありますが、カカオの殻や漫画の原画のようなものこそが、価値転換によって社会を変えていく可能性があるんじゃないかと思います。今日共有し合ったアイデアをさらに価値化できるよう、磨き上げていってください」と参加者に呼びかけました。

    ネットワーキングでは、参加者同士が名刺交換をする姿や、IOWN APN×3D Haptics「FURELIA」のデモを体験する姿が見られ、会場は終始活気に満ちていました。小さな一歩の積み重ねが、新しい共創につながっていく――。そんな手応えを感じるイベントとなりました。

    Xtrepreneur AWARD特設サイトはこちらから

    ■今年度授賞式の様子を動画で大公開中
    https://openhub.ntt.com/journal/15236.html

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