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Generative AI: The Game-Changer in Society

2025.10.10(Fri)

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「ゲームチェンジ・ラッシュ」への対策とは?
企業と個人、それぞれの生成AIビジネス生存戦略

数年前よりビジネスや社会に一気に普及した生成AI。そんな生成AIの進化がさらに加速しています。OpenAIは、複雑な問いに対して段階的に思考することで深い洞察を可能にするReasoningモデル(推論モデル)が強化された「ChatGPT o3」を2025年4月に公開、大きな話題を呼んだのも束の間、8月にはより進化した「GPT-5」を発表しました。Anthropicも、5月の「Claude Opus 4」公開からわずか3カ月足らずで「Claude Opus 4.1」をリリース。複雑かつ膨大なコードのリファクタリングを実行するなど、より高度で精度の高いアウトプットが注目を集めています。

基盤モデルの飛躍的な進化が短期間で頻発する「ゲームチェンジ・ラッシュ」が大きな社会トレンドとなる一方、国内企業の生成AI活用を見ると、加速する生成AIの進化に追随できておらず、そのポテンシャルをまだまだ活かせていない状況にあります。生成AIの進化はビジネスにどのような影響を与えるのか、そして企業は進化の速い生成AIとどのように向き合っていくべきか。生成AIビジネスを推進するAlgomatic 代表取締役CEOの大野峻典氏、NTTドコモビジネスのエバンジェリスト、林雅之が語り合いました。

この記事の要約

日本企業の生成AI活用は欧米に比べ遅れており、導入済み企業は2〜4割にとどまる。背景には投資対効果への懸念や業務プロセス・データ基盤の未整備があり、現状は実証実験レベルにとどまる例が多い。一方で個人レベルの利用は広がり、全社的活用との乖離が顕著だ。さらに技術進化が目覚ましく、半年で状況が変わる「ゲームチェンジ・ラッシュ」への対応も課題となる。

大切なのはAIの仕組みを理解して進化を見通す力であり、AIを「脳」に見立て、手足や環境を整えることに大きな商機があると指摘される。雇用への影響も過渡期の産業変化と捉え、成果を得るにはデータのサイロ化解消やワークフロー再設計が不可欠で、現場理解・AI理解・権限の3要素が成功の鍵とされる。個人には「まず使いアウトプットを積み重ねる」姿勢が求められる。今後は労働力不足や製造業、IP産業など日本の課題や強みに根差した応用が有望で、海外展開も期待される。

※この要約は生成AIで作成しました。


ボトルネックはどこに? 企業の生成AI活用が進まない理由

――『令和6年版 情報通信白書』の企業向けアンケートによると、日本企業で「生成AIを活用する方針を定めている」と回答した企業は42.7%だったそうです。一方、米国・ドイツ・中国企業の場合、同じ質問で約8割以上が「活用する方針を定めている」としており、大きな差があることが浮き彫りになりました。現在の日本企業において、生成AIの普及はどのような状況にあるとお考えでしょうか。

大野峻典氏(以下、大野氏):率直にいえば、やはり「普及が進んでいる」とはいえません。私たちAlgomaticでも、エンタープライズ向けにAIを事業の業務変革や組織づくりに組み込む支援をしていますが、実際はまだ「AIありきの新しいオペレーションを試している段階」で、しっかりと運用に乗っている企業は少ない印象です。

生成AIの技術進化は、確かにこの2〜3年で一気に進みました。とはいえ、すぐに「便利になったので、今日からAIを使ってください」とはいかない。というのも、AIを前提にすると業務フローそのものが変わり、新たにシステム導入や教育が必要になるためです。技術の進化に対してできることはまだたくさんあるけれど、やりきれてはいないな、というところですね。

大野峻典|株式会社Algomatic 代表取締役CEO
東京大学工学部卒。松尾研究室(現:松尾・岩澤研究室)で機械学習を専攻、深層学習を用いた研究プロジェクトに従事。Indeedにて新規事業のソフトウェア開発・プロダクトマネジメント、機械学習基盤の開発を行う。2018年、機械学習・深層学習を用いたソリューション開発を行う株式会社Algoageを創業。2020年、DMMグループへM&Aによりジョイン。2023年、生成AI特化の事業を同時多発的に立ち上げるスタートアップスタジオ、株式会社Algomaticを設立。また並行して、さまざまなメディアにも出演。最新の生成AIトレンドや企業展望などにおけるインサイトを発信しており、深い技術理解に根差した生成AIビジネスへのスコープに注目が集まっている

ただ、これは時間の問題で、企業はやる気がないわけではありません。「生成AIを導入すべきかまだ迷っている」企業自体は多く、迷っている理由の大多数は「ROI(投資対効果)が見えない」というものです。今後1〜2年で各業界から成功事例が出てくるはずで、「この業界では、このように生成AIを導入して成果が出た」というケースが積み重なれば、ROIへの懸念も払拭され、普及は一気に進むと見ています。

――林さんはどうご覧になりますか?

林雅之(以下、林):先ほどの情報通信白書しかり、実際のデータを見ても、導入はまだこれからだと思います。先日発表された東京商工リサーチが公表した調査では、生成AIを導入している企業は全体の25.2%。大企業でも43%程度で、中小企業は23.4%にとどまるという状況にあることがわかりました。現状では、実証実験レベルの導入が中心で、全社的に本格運用されている例はまだ少ないと思います。

また、そういった段階でしばしばハードルとなるのが、「そもそもデータやシステムを標準化できておらず、まだ生成AIを効果的に導入できる段階に達していない」というケースです。私自身も以前、データマネジメントの仕事をしていましたが、企業内で組織のサイロ化が起きているケースも多く、データを集めて全社的なワークフローにフィットする形でAIを活用するのは、意外と難しいのです。大野さんが指摘しているように、業務プロセス自体を変えていく必要もあります。そのように全体から考えていかないと、やはりなかなか普及は進まないでしょう。

林雅之|NTTドコモビジネス エバンジェリスト
クラウドやデータ活用のマーケティング担当等を経て、現在はイノベーションセンターIOWN推進室に所属。次世代通信基盤・IOWNのマーケティングに従事しながら、IOWNのキーテクノロジー「光電融合技術」や、AI連携による分散型ネットワーク構築といった未来のテクノロジーのリサーチなども兼務している。国際大学GLOCOM客員研究員。クラウドサービスにまつわる著書を手掛けるほか、DXや生成AIなどを中心に、先進デジタル技術にまつわるビジネス記事も多数執筆している

その一方で、個人的な業務タスクにおいては、誰もが意欲やスキルに応じて生成AIを活用できる状況にあり、部分的な業務効率化が進んでいます。アプリケーションのつくり方がわからなくても、自分で簡単なゲームをつくって遊んでみるという人も増えてきました。個人レベルでの局所的な活用が先行して進み、組織全体としての活用度合いとの乖離が深まりつつあるというのが、企業における生成AI活用のリアルな姿だと思います。

加速する「ゲームチェンジ・ラッシュ」。対応の鍵は技術理解にあり?

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