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2025.06.11(Wed)

共に走り、共に創る専門性Catalyst。共創の現場で奔走する「触媒者」たちの実像とは?

#共創 #スマートシティ #AI
NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)では、事業共創を加速させ、質を高めていくための導き手としてCatalystというポジションを設けています。2021年の始動以来、社内外合わせて約1,100名のCatalystを認定してきました。

そんな中、2024年には「専門性Catalyst」という新たなポジションが新設されました。NTT Comのアセットと課題を抱える企業とを有機的につなげる、より高度な問題解決能力を持つ存在です。現在、専門性Catalystは「生成AI」「マーケティングソリューション」「Smart City」「業界別IoT」「GX(グリーントランスフォーメーション)」の5つの部門から編成されています。これらは社会的にも重要な分野であり、新規事業を創出したいと考えている企業も多い領域です。

では、実際にはどのような人物が専門性Catalystを務めていて、どのような取り組みを行っているのでしょうか。本記事では、「生成AI」「GX」「マーケティング」の3つの領域の専門性Catalystに話を聞き、その人物像に迫りました。

この記事の要約

NTT Comのビジネス共創を加速させるOPEN HUBでは、2024年に「専門性Catalyst」という新たなポジションが設立されました。これは、NTT Comのアセットと課題を抱える企業とを有機的につなげ、高度な問題解決ができる存在です。

現在は「生成AI」「マーケティング」「Smart City」「業界別IoT」「GX」の5つの専門分野が編成されており、これらは社会的に重要で新規事業を創出したい企業も多い領域です。

記事では、3名の専門性Catalystの活動が紹介されています。マーケティング領域の島田氏は、金融・自治体領域でデータを活用して戦略づくりを支援し、GX領域の河村氏は稲作を通じたカーボンクレジットの創出を、生成AI領域の佐原氏は金融業のコンタクトセンターに生成AIとボイスボットを活用した自然な会話システムを提案しています。

専門性Catalystになったことで彼らは自己研鑽への意欲が高まり、資格取得や他領域との知識融合を目指すようになりました。専門性Catalystの役割として、従来のシステム導入に留まらない継続的な伴走支援の重要性も強調されています。

彼らは自らの役割を、"触媒"として武器と武器を掛け合わせて価値を最大化していく存在や、特別な武器や強みをいかして高度な課題解決ができる人、まだ認識されていない課題を設定しアプローチを提示できる存在と表現しており、社会に新しい価値を提供するビジネスパーソンのロールモデルを目指しています。

※この要約は生成AIをもとに作成しました。

目次


    立場が人をつくり、ビジネスを加速させる

    島田麻帆(以下、島田):まずは、私たちが専門性Catalystとしてどのような活動をしているかについてお話しします。私は、2023年夏からデジタル広告や市場調査といったお客さまのマーケティング活動の支援を担当しています。こうした経緯から、2025年4月にマーケティング領域の専門性Catalystに認定されました。

    主に金融と自治体の二軸で業務を担当しています。金融業界では、位置情報・決済などdポイント会員さまのデータを活用して保険商品のターゲット層を見つけ、効果的な広告や契約戦略を支援しています。自治体との事業では、ローミングデータで外国人観光客の動きを可視化し、観光施策を提案中です。いずれも、データを使って見えないニーズを発掘し、戦略づくりに役立てています。

    島田麻帆|NTT Com ビジネスソリューション本部 事業推進部 マーケティングインテグレーション推進室
    2023年よりデジタル広告、市場調査など顧客のマーケティング支援に従事。データ利活用領域では顧客管理基盤の構築から活用までを支援する。2024年夏より現職に参画し、NTTグループ企業との連携強化を推進。Marketing Catalyst

    河村光則(以下、河村):私の主な担当業務は、稲作を通じたカーボンクレジットの創出です。Jークレジット制度では、水稲栽培における「中干し期間」を延長することでメタンガスの排出を約30%削減する方法が認められています。この制度に基づいてカーボンクレジットの創出を進めるのが私の業務なのですが、これには生産者さまの協力が不可欠ですので、外部の農業関連の企業・団体と連携し、生産者へのアプローチを進めています。

    河村光則|NTT Comソリューションサービス部 デジタルイノベーション部門
    2024年より業務でGXを扱いはじめ、特に稲作由来のカーボンクレジットの創出・販売・流通を手掛けている。それまでは公共系、ISP顧客向け事業を担当。GX Catalyst

    佐原 徹(以下、佐原):私は2021年のOPEN HUBの始動時からCatalystとして活動していて、2024年の専門性Catalystの新設時に「生成AI」の専門性が認定されました。

    具体的な活動内容としては、主に金融業界の大手顧客のコンタクトセンター向けの営業を担当しています。大手金融業のコンタクトセンターでは、電話の自動ガイダンスを聞いても多くの人がすぐにオペレーターに接続してしまい、効率化が進んでいないという課題がありました。そこで、生成AIとボイスボットを活用して、自然な会話から用件を自動で理解し、適切な担当につなぐサービスを提案しています。

    最初は決して順調とは言えず、社内のさまざまな部門と力を合わせて、ゼロからソリューションをつくり上げ、実証実験にこぎつけました。その取り組みが実を結び、最終的には特許申請に至るほどの新しい価値を生み出すことができました。

    今では本番導入も目前。さらに次世代のボイスボット開発にも展開が広がっていて、「生成AIは企業変革を支える中核技術だ」という確かな手応えを感じています。

    佐原 徹|NTT Com第一ビジネスソリューション部 ビジネスデザイン部門
    金融業界向けの営業を担当。2022年ごろから業務で生成AIを扱いはじめ、現在はボイスボットやチャットボットなど生成AIによる業務代替ソリューションを提案。それまでは安否確認システムの開発に10年以上従事。Gen-AI Catalyst

    河村:専門性Catalystに認定されたことは、意識の面でも変化をもたらしたと感じています。私は、世の中に大きな影響を与える分野に従事したいと思い、自分から希望して2024年にGX分野の担当部署に異動しました。もともと環境問題に対する意欲は高かったのですが、「GXの専門性Catalyst」という肩書きを得たことで、より意識が高まった気がしています。環境に関するニュースをチェックしたり、勉強したりする機会が以前よりも増えました。

    島田:私も同様に、企業のマーケターの方がやられている実務に対する理解度を高めてこそ良い示唆出しができると思うので、頼れる存在になっていけるよう自己研鑽を積んでいきたいと思っています。そういった意識の芽生えから、マーケティング検定2級を取得しました。今後はウェブ解析士や統計検定にも挑戦したいと考えています。

    佐原:分かります。私も専門性Catalystに任命されたことで、生成AI分野への知見を高めるモチベーションが生まれ、生成AIパスポート※やファイナンシャルプランナー2級を取得しました。仕事の経験を積むことで自然と自分のレベルが上がっていく部分もありますが、生成AI領域の専門性Catalystになったことで、自分の能力を高めるための方法が具体化されたような気がしています。

    島田:それから、現在の専門領域以外の分野にも関心が出てきました。生成AIやCX、バーチャルヒューマンなど他分野の最新トレンドや事例を学び、それらを組み合わせて案件をスケールさせるノウハウを身につけていきたいです。

    というのも、NTT Comにはさまざまな領域の専門人材が在籍していることが大きなアセットであり、複数の領域を掛け合わせることで、今までなかなか解決できなかった難しい課題を解決できたり、新たな価値を創出できたりするのです。その掛け合わせ方を自分でイメージできるようになれば、生み出す事業の規模がさらに大きくなる。他の専門領域のCatalystとの情報交換もしていきたいと考えています。

    ※AIパスポート:AIに関する基礎知識、生成AIの簡易的な活用スキルを一般社団法人生成AI活用普及協会が認定する資格制度

    企業と並走する中で見えてきた課題と展望

    島田:特定の業界に特化するかたちで、企業と並走する活動を行っていると、その分野全体に対する解像度も上がり、課題や未来像も描けるようになりますよね。私が感じているのは、昨今、多くの事業の方向性が手段ばかりに目が向き、目的や全体像の共通認識が不足したまま進んでしまっているということ。私が理想としているのは、データ活用やAIといった最新テクノロジーを応用して顧客体験を高めるマーケティング5.0的な世界観を実現しつつ、お客さまが自走できるような支援を提供していくことです。その実現のためには、データやバーチャルといった要素に重きを置きつつ、本質的には「目的ドリブン」で進めることが重要だと考えています。

    例えば、自治体との事業では、実際に現地で観光担当者や体験提供者と直接対話を行い、ヒアリングや議論を通じて、目的とすべきことを明確にした上で提案を行います。そして、最終的には顧客体験の向上によって企業の事業価値やエンドユーザーさまの満足度を高め、より良い社会の実現を目指していきたいと考えています。

    河村:GXの分野は環境保護だけでなく経済成長との両立が重要です。現在取り組んでいるカーボンクレジット事業を推進していく中で、高齢化、人手不足といった日本の農業業界が抱える深刻な課題を痛感しました。そのような社会課題に対して、GXの視点から業界全体の根本的な変革を進められるか、日々考えています。

    例えば、農業分野はまだ紙文化が根強く残っているため、まずはデジタル化の推進が重要だと考えています。発展すれば、効率化やGX推進につながります。将来的には業界のデファクトスタンダードをつくるような取り組みを目指したいと思っています。

    佐原:私も、大きく分けて2つ実現したいことがあります。1つめは、ヒューマンレス・コンタクトセンターの実現。2つめが、心を動かすAIを開発することです。

    ヒューマンレス・コンタクトセンターについては、現在のAIは電話応対など一部の業務は担えますが、クレーム対応や資産運用のような複雑な業務は依然としてオペレーターが必要です。そのため無人化が進まず、人手不足や人件費が課題となっています。そこで、生成AIを活用してAIが対応できる業務領域を広げ、最終的には人の介在が不要なコンタクトセンターへ発展させていきたいです。

    2つめは、会話を通じてユーザーの感情や行動に影響を与えていく、心を動かすAIの開発です。例えば、AIのクレーム対応を通じて、お客さまが「自分に寄り添ってくれた」「理解してくれた」と感じることができたら、そのサービスのファンになってくれるかもしれません。あるいは、商品に興味を持った人がAIとの会話を通じて購入を決断するような行動変容を引き起こす世界を実現できるといいですよね。

    これからのビジネスパーソンのロールモデルとして

    佐原:専門性Catalystの重要な役割の1つとして、導入だけでなく伴走支援を継続的に行うということがあります。

    生成AIは、日本語の自由度が高くて便利な反面、「どう使えばいいか分からない」と戸惑うお客さまも多いんです。ですから、導入後の“伴走”がとても重要になっています。

    私たちは導入から3カ月ほど、お客さまと一緒に画面を見て「こんなふうに入力すると、こう動きますよ」と実演しながら使い方を共有しています。売って終わりではなく、実用レベルまで寄り添う。そういう支援が、これからのビジネスの当たり前になると思っています。

    島田:マーケティングの現場でも同じです。データ分析の環境は整えても、活用しきれないお客さまは少なくありません。NTT Comでは、商談データや社内ナレッジをまとめて営業活動の効率化に取り組んできました。ドコモでも、dアカウントのデータを活用して、コンシューマー向けサービスの質を上げてきた実績があります。

    失敗も多かったですが、それが今のノウハウにつながっています。だからこそ、お客さまの声に耳を傾け、寄り添いながら一緒に進んでいく。そんな伴走型のコンサルティングを、もっと広げていきたいと思っています。

    河村:GXに関しても、「何から始めればいいのか分からない」というお客さまがたくさんいます。私たちは、お客さまのGHG(温室効果ガス)排出量の把握・可視化から排出量の削減に至るまでどんな取り組みができるか、一緒に考えることを大切にしています。

    島田:皆さんのお話を聞きながら、専門性Catalystとはどのような存在であり、ビジネスシーンや社会においてどのような役割を担っていくポジションなのか、改めて捉え直すことができたように思います。

    専門性Catalystの役割はまさに“触媒”。異なる強みや技術を掛け合わせて、新たな価値を生み出すことです。NTT Comには多様な専門人材がいます。それぞれの武器を組み合わせることで、今まで解決できなかった課題にもアプローチできますし、社会に新しい価値を還元していけると信じています。

    佐原:人とは違う視点や強みを活かして、より高度な課題にチャレンジできる人。それが専門性Catalystだと思います。私は以前、安否確認システムの開発に10年以上携わっていました。生成AIに関わるようになったのは2022年からですが、複数のスキルを持っている中で、生成AIが自分の一番の専門分野だったのだと、このポジションを通じて気づきました。

    今日の話を聞いて思ったのは、Catalystは単なる“触媒”だけじゃなく、これからの時代のビジネスパーソンのロールモデルにもなれる存在だということです。

    河村:企業や社会がまだ明確に課題と捉えていない“もやもや”に対して、まず課題を言語化し、どう取り組むべきかの道筋を提示する。それがCatalystの重要な役割だと思っています。そうした動きが、新しい意思決定やビジネスモデルの創出を後押ししていくはずです。

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