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2024.10.02(Wed)
Co-Create the Future
2025.05.20(Tue)
この記事の要約
Value Add Femtech Community(VAFC)とメディカル・フェムテック・コンソーシアム(MFC)が初の合同イベントを開催しました。NTTコミュニケーションズのスマートワールドビジネス責任者・福田亜希子氏の開会挨拶で始まり、VAFCは創設から2年で参加企業が12社から49社に増加したと報告されました。
続いてMFC常務理事の青木勇気氏がフェムテック業界に関する政治・行政の動向について講演。フェムテックは女性活躍に貢献するだけでなく経済成長が見込める市場であると強調しました。
第2部のパネルディスカッションは「女性活躍」と「新規事業開発」の2テーマで行われました。第1セッションでは太田冴氏(MFC事務局)、廣岡絵美氏(LiLi代表取締役)、辻愛美氏(PwCコンサルティング)、平田文香氏(日立ソリューションズ)、秋山瑛子氏(NTT Com)が登壇し、女性活躍推進の課題について議論しました。
第2セッションでは林真依氏(PwCコンサルティング)、皆川朋子氏(Femtech Community Japan代表理事)、二宮未摩子氏(TRULY)、平野陽子氏(大広フェムテック・フェムケアラボ)、古賀弘子氏(伊藤忠商事)が登壇し、フェムテック新規事業開発の課題と成功の鍵について議論しました。
イベント終了後には「わたしの温度®」の体験会も実施され、参加者に女性の体温変化を記録するサービスが紹介されました。
※この要約は生成AIをもとに作成しました。
目次
第1部は、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)スマートワールドビジネス部の責任者である福田亜希子の開会あいさつからスタート。
「VAFCの創設から2年がたち、参加企業は創設当初の12社から49社にまで増加しました。コミュニティー参加企業との協業も生まれていて、『事業創造のためのコミュニティーにする』という創設目的を着実に果たしつつあります。次のフェーズに進むべく、来年以降はこのコミュニティーから生まれた共創ビジネスをもっと深めるための取り組みをしていきたいと考えています。本日のイベントが、フェムテック業界を盛り上げ、女性が働きやすい社会の実現につながる機会になると幸いです」
次に、フェムテック業界を巡る政治・行政の動向をテーマに、メディカル・フェムテック・コンソーシアム(以下、MFC)常務理事の青木勇気氏による講演が行われました。
MFCは、フェムテック製品の医学的な評価のあり方を検討し、フェムテック製品の適正な普及に貢献していくために、産婦人科医が中心となって設立した団体です。Femtech振興議員連盟や関係省庁との連携を通じて、国の政策立案に参画する等の活動も積極的に行っています。
「フェムテックは女性活躍に貢献するだけでなく、それ自体に経済成長が見込める市場です。その市場を創造していくことは、これからの経済政策の大きな柱になる可能性を秘めています。
当議連は女性とパートナーの生活の質向上と日本経済発展への貢献を目的に政策提言活動を行っています。MFCはこの議連の活動を伴走的に支援しています。
議連は『生理』『不妊治療・妊活』『更年期』を3本柱として課題解決のための政策提言を行ってきました。その成果として、2021年には『経済財政運営と改革の基本方針』(骨太の方針)にフェムテックが記載され、政策優先度が上がる重要な進展がありました。女性特有の健康課題に関する正しい知識の普及と、フェムテック市場の現状や働く女性の実態を踏まえた国レベルでの取り組みが、より良い政策実現と女性が働きやすく生きやすい環境づくりにつながると考えています。
2021年には議連の提言を受け、フェムテック製品の薬機法上の位置付けや評価を検討するワーキンググループを設置しました。『経血吸収ショーツ』の品質評価や広告表現の取りまとめ、新フェムテック機器のクラス分類や一般的名称の検討など、生活者が安心して製品を活用できる取り組みを進めています。また経済産業省とも連携を強化し、フェムテックを活用した女性の健康課題解決に向けた実証事業や政策について意見交換を行っています。
私たちは女性とそのパートナーの生活の質が向上し、より豊かな人生を送れるようになることを願っています。また、それにより日本の経済が発展することを目指し、これからも政策提言に向けた活動を行っていきます」(青木氏)
第2部のパネルディスカッションは「女性活躍」と「新規事業開発」の2つのテーマで進行し、企業の管理職や経営者として活躍する女性4人が登壇。制度に対して感じる課題や、女性のキャリア形成について経験談を交えて赤裸々に語りました。
パネリストたちが共通して強調したのは、女性活躍推進の取り組みが画一的であり、個々人の多様性に十分対応できていない点です。「女性ならではの悩み」とひとくくりにされがちですが、生理症状1つをとっても頭痛や腰痛、メンタル面の不調など千差万別であり、キャリアに対する志向も世代や個人の価値観によって大きく異なります。にもかかわらず、現状では「女性活躍=出世・管理職」という単一の価値観が前提となっており、多様な生き方・働き方を尊重する視点が不足しています。
企業側の課題としては、フレックスタイム制や在宅勤務など制度面の整備は進みつつあるものの、重要な提案や緊急対応が必要な現場では依然として男性中心の長時間労働文化が根強く残っている実態が指摘されました。人事担当者が「女性向けの施策を積極的に推進すると男性社員から不公平感や批判が出るのではないか」と懸念し、保守的な姿勢をとりがちになってしまうことや、「フェムテックや月経という女性向けの施策をなぜ会社としてやるべきなのか」という意見が社内から出ることもある現状も浮き彫りになりました。日立ソリューションズの平田氏は「既存の施策は男性従業員を優遇しようとしたわけではなく、そもそも働き手の大半が男性だったから、おのずと男性に対応した施策になっていました。であれば、女性が増えて働き手の層が変化したならば、施策を考え直すことは必然のことです」と指摘します。
管理職の立場からは、自身がバリバリ働いてきたロールモデルが、かえって部下に「自分にはあのような働き方はできない」という不安を与えているのではないかという懸念も語られました。NTT Comの秋山は「私自身は、がむしゃらに働いて管理職にたどり着いた経緯があります。しかし最近になって、『自分は秋山さんのような働き方はできない』と部下を不安にさせているのではないか、と感じるようになってきました」と語り、多様な働き方が求められる時代には、管理職自身も自らの仕事と家庭との関わり方を見直す必要性があることを訴えました。
パネリストたちが強調したのは、こうした課題は女性だけの問題ではなく、パートナーや子供、孫など、巡り巡って自分の大切な人に返ってくる社会全体の課題だということ。
日ごろから就職活動中の学生とも頻繁に接しているLiLi代表取締役の廣岡氏は「キャリア形成に具体的なビジョンを持つ学生が増える一方で、健康について配慮している人がほとんどいないことに課題を感じている」と話し、年齢に応じた体の変化や、健康管理などのリテラシーについて「学校でのヘルスケア教育と実際の女性の体に生じる不調や変化の間に乖離(かいり)があるのではないか」と指摘します。
正しい認識のもとに形成する働き方の実現は、すべての人の生活の質向上につながるものです。その上で、人生100年時代における働き方の変化を見据え、単なる女性活躍の枠を超えた「性別によらず誰もが自分らしく生き生きと働ける社会」の実現を目指すべきではないでしょうか。そのためには、制度面の整備だけでなく、企業文化や働き方そのものの根本的な変革が不可欠です。既存の施策が男性従業員を優遇しようとしたわけではなく、これまで働き手の大半が男性だったために自然と男性に適した制度になっていたという歴史的経緯を理解した上で、働き手の層が多様化した現在、施策そのものの再考の正当性を広く認識させる必要があります。
パネリストたちは「女性活躍」という言葉がまだ社会に必要とされている現状を冷静に認識しつつも、将来的にはそうした言葉自体が不要になるほど多様性が当たり前となる社会の実現が究極の目標であると語りました。そのためには、意識の高い一部の人々だけでなく社会全体で取り組むべき課題として認識を広げ、あらゆる立場の人々が共に考え行動していくことの重要性が強調されました。
続くパネルディスカッションでは「フェムテック新規事業開発における課題の共有や乗り越え方」をテーマに、業界の先駆者たちによる実践的な議論が展開されました。議論は事業の立ち上げ方にとどまらず、事業の持続可能な成長に焦点を合わせた内容となりました。
フェムテック領域における新規事業が成功する、鍵は2つあります。1つめは意思決定者の理解を得ること。パネリストたちの経験から浮かび上がったのは、「社会的意義」と「収益性」の両面からアプローチすることの重要性です。特に経営層やベンチャーキャピタル(以下、VC)に対しては、市場状況を示すファクトベースの論理的説明と明確な収益計画の提示が必須となります。
大企業内での決裁とVCからの資金調達では求められる視点が異なり、前者では既存事業とのシナジーと確実な収益化計画が重視される一方、後者ではグローバル視点での成長市場であることの証明と、ハイリターンの可能性が重要視されます。
新規事業成功のもう1つの鍵は、適切な仲間集めと組織文化の構築です。初期段階では少数精鋭の気の合うコアメンバーでスタートし、小回りの利く体制で足元を固めていくアプローチが効果的とされています。
事業拡大フェーズでは、明確なビジョンとその社会的必要性を訴求することで社内外の理解者を増やしていく戦略が重要です。Femtech Community Japan代表理事の皆川氏は、「フェムテック元年と呼ばれた2019年ごろと比べて、現在は『誰も否定しない雰囲気』が醸成されている」としつつ、「依然として理解促進のために丁寧な説明が必要な場面はある」と言います。男性経営層に訴えかける場合は、数字などのファクトでビジネスのメリットを伝えつつ「『妻の生理周期は知っていますか?』『娘さんやお孫さんが社会に出て働く時に、どんな世の中になっていてほしいですか』といった言葉で語りかけてみるといいかもしれません」と経験則を語ってくれました。
フェムテック領域の拡大には、スタートアップと大企業の効果的な連携が不可欠です。両者のスタート地点の違い——スタートアップは「自身の経験した課題」から、大企業は「既存リソースの活用」から始まる——を相互に理解し、それぞれの強みを生かした補完関係の構築が重要です。
特に女性の健康課題は多種多様であるため、その幅広いニーズを把握した上で、利益を生み出すサステナブルなビジネスモデルに落とし込み、大企業にとっても理解しやすいロードマップを示すことが共創を加速させる鍵となります。
伊藤忠商事の古賀氏は、当初フェムテック事業に懐疑的だった社内の声が次第に「自社がこの領域に取り組んでいることを誇りに思う」という認識に変わってきたことから「世の中が変わってきているという手応えを感じた」と語ります。こうした地道な意識変革の積み重ねが、フェムテック市場全体の成長を支える基盤となっています。
フェムテック領域はまだ発展途上であり、今後も企業規模やスタンスを超えた多様なプレーヤーの共創が不可欠です。技術や商品開発にとどまらず、社会における女性の健康課題への理解促進も含めた複合的なアプローチが求められています。
単なるビジネスチャンスとしてだけでなく、女性がより働きやすく生きやすい社会の実現という大きな目標に貢献する事業領域として、その社会的意義と市場価値の両立を目指す方向性が、このパネルディスカッションでは示されました。
イベント終了後には、希望者が「わたしの温度®」の体験会に参加しました。「わたしの温度®」は、女性特有の高温期と低温期の周期を把握できるサービスです。デバイスを取り付けた専用ナイトブラを着用して寝るだけで、アプリとデバイスが連動して基礎体温を記録できます。健康管理だけではなく、妊活やダイエット、年齢変化による日々の心身への付き合い方などのさまざまな目的をフォロー。女性が快適に過ごすことをサポートします。ご興味のある方は、ぜひこちらをご覧ください。
https://watashino-ondo.toppan-edge.co.jp/
今後もValue Add Femtech Communityでは、イベントやメディアを通じて、フェムテック領域の企業の輪をさらに広げていきます。ぜひ、今後の活動にご期待ください。
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