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2025.07.18(Fri)
この記事の要約
三菱電機は2024年5月、価値共創のための新たなデジタル基盤「Serendie®」を発表。ハードウェア中心の従来型ビジネスからの転換を図り、製品から得られるデータを活用した新たなソリューション提供を目指しています。
その一環として、2024年3月に「Serendie Street Yokohama(横浜ダイヤビルディング)」、2025年1月には「Serendie Street Yokohama(横浜アイマークプレイス)」を開設。約500名のDX人材を集結させ、顧客との共創やデータ活用サービスの開発を進める計画です。
一方、NTT ComのOPEN HUBは、未完成のプロダクトを展示し、議論を促進することで共創を生み出しています。また、「Catalyst」と呼ばれる推進者を900人近く認定し、コミュニティを形成。共創ビジネスの成功には、CXOクラスの早期関与や、共創でしか得られない価値次元の転換が重要だとしています。
両社とも、組織の可視化や人材のスキル・知見の見える化を通じて、部門間のサイロ化を防ぎ、セレンディピティ(偶発的な出会い)を促進する取り組みを進めています。
※この要約は生成AIをもとに作成しました
——まずは、三菱電機の新たなデジタル基盤「Serendie® (セレンディ)」について教えていただけますか。
竹田昌弘氏(以下、竹田氏):「Serendie®」は、三菱電機が2024年5月に発表した、価値共創のための新たなデジタル基盤です。偶発的な出会いを意味する「Serendipity(セレンディピティ)」と「Digital Engineering(デジタル・エンジニアリング)」を組み合わせた造語であり、三菱電機内の複数の事業部門が、お互いの知識や技術、お客さまに対する理解を共有し、さらに社外のパートナーも巻き込んで新しいソリューションを提供していくという意志が込められています。
この取り組みの背景には、100年以上にわたって続いてきた従来のハードウェア中心のビジネスだけでは、今後は立ち行かなくなるだろうという危機感があります。製品をつくって終わりではなく、お客さまに納めた製品から得られるデータの分析を通じて見えてきた、課題やニーズに応えられるようなソリューションを提供することで、お客さまに価値を還元していく。これまでは、「循環型デジタル・エンジニアリング企業」への変革という打ちだしでこの構想の実現に取り組んできたのですが、この取り組みを外部の方にも知っていただき、共創につなげていくために、今回「Serendie®」というブランドを付け、基盤を整備した次第です。

——具体的に、どのようなソリューションの提供が可能になるのでしょうか。
竹田氏:「Serendie®」を活用したサービスの具体例として、「鉄道事業に関わるエネルギーの最適利用や鉄道アセットの最適配置・運用に向けたデータ分析サービス」があります。
電車は減速する際に生まれる余剰エネルギーを「回生電力」に変えて再利用しています。回生電力は車両の空調・照明などに利用することもできるのですが、ある鉄道会社さまでは年間数億円分もの回生電力が使われずに失われてしまっていたほどでした。
そこで本サービスでは、「Serendie®」を活用して車両・変電所・駅の電力使用量や列車運行状況等のデータを組み合わせて分析し、余剰な回生電力を見える化して、駅舎補助電源装置の適切な配置場所や、駅の混雑度・運行ダイヤ・運行状況に応じた鉄道アセットの最適な運用方法を提案しています。

——なるほど。「Serendie®」を活用した共創を推進するために、今後はオープンイノベーション拠点の開設・運営にも力を入れていくそうですね。
竹田氏:はい。第1の拠点として、2024年3月にオープンした「Serendie Street Yokohama(横浜ダイヤビルディング)」をオープンし、2025年1月には、お客さまとの共創を進める活動拠点として、「Serendie Street Yokohama(横浜アイマークプレイス)」を開設し、合計で約500名のDX人財が集結して、お客さまとの共創、データ活用したサービスの開発を進めます。
また、北米や欧州、アジアなど、海外拠点も順次開設していきたいと考えています。

——最先端技術を活用したオープンイノベーション拠点という文脈において、2022年2月にオープンしたNTT Comの「OPEN HUB」は、まさに先行事例と言えるのではないかと思います。戸松さんは、どのような課題感のもと、OPEN HUBを立ち上げたのでしょうか。
戸松正剛(以下、戸松):これまで、NTT Comの事業基盤は、ネットワークやクラウド、データセンター、音声基盤といった、水平的でリカーリングなサービス事業にありました。しかし、GAFAMをはじめとするパブリッククラウドの普及により、インフラ基盤がどんどん平準化していく中で、従来型のサービスだけでは立ち行かなくなってきているという危機感がありました。
また、1社だけの力では、社会のクリティカルな課題にリーチできないというもどかしさもありました。弊社の持っているホリゾンタルなサービスに、まさに三菱電機さんの持っているようなバーティカルなアセットを掛け合わせ、これまでリーチできていなかった課題に一緒に取り組んでいくという発想が、今後継続的に顧客価値を生み出していく上でも必要だと思ったのです。

——共創を促進する上で、「OPEN HUB Park」や「Serendie Street」のような場をつくることには、どのような意義があると思いますか。
竹田氏:リアルな場は、私たちのコンセプトの中核を成す「セレンディピティ」を起こす上で非常に重要です。丸の内にある私たちの本社ビルでは部署ごとにフロアが分かれており、同じ建物で働いてはいるものの、年間を通して一度も話したことのない社員が大勢いるという状況がありました。しかしこれではセレンディピティや共創は起きません。
そこで、いまつくっている横浜の新オフィスでは、フロア内の壁や垣根をなくし、7つある事業本部の社員たちが同じ仕事場や会議室、カフェを使えるよう、DXイノベーションセンター中心に設計を進めています。
こうした取り組みは、この秋から始まったばかりなのですが、たとえば、ネットワークに関する課題が起きた際に、従来ならば解決に1~2カ月かかっていたところ、他部署の社員と連携してたった3時間で解決に至るなど、すでにポジティブな変化が起き始めています。今後は、「Serendie Street」の本格運用を通じて、こうした事例をさらに増やしていきたいと考えています。
戸松:私たちも、「部門間のサイロ化」という三菱電機さんと同じ課題を抱えていました。組織は放っておくとどんどん専門化、細分化する一方で、サイロとして老化が進んでしまいますから、やはり誰かがどこかのタイミングで、変化を起こしにいかなければなりません。ただ、大企業の場合、組織のカルチャーはそう簡単には変わらないため、物理的にセレンディピティを起こすハード面からのアプローチは非常に重要です。
もうひとつ、私たちが大切にしているのが、「コンセプト・イノベーション」という考え方です。私たちの場合は、データドリブンで社会課題を解決できるような世界観を実現すべく、「OPEN HUB for Smart World」を事業共創プログラムとして進めているのですが、抽象的なコンセプトだけが先行してしまうと、社員や顧客が抱くイメージがバラバラになってしまいかねません。だからこそ、コンセプトをビジュアライズし、体現する場所としての「OPEN HUB Park」が必要だったのです。
OPEN HUB
THEME
Co-Create the Future
#共創