2025年7月より、NTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスに社名を変更しました

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2025.11.14(Fri)

AIで進化する顧客接点――消費者と企業の課題を解決に導く「docomo business ANCAR™」が年内にスタート

NTTドコモビジネスは2025年9月16日、OPEN HUB Parkで、同年12月から開始予定の新しいコミュニケーションサービス「docomo business ANCAR™」に関するプレス説明会を開催しました。docomo business ANCAR™は、コンタクトセンターや営業所、店舗など、企業が持つさまざまな顧客接点をAIで進化させ、CX(顧客体験)の最大化やNPS(顧客推奨度)の改善、EX(従業員体験)の向上に導くコミュニケーションサービスです。説明会ではサービスの概要と開発に至った背景が紹介され、ユースケースのデモンストレーションを行いました。

目次


    事業成長と人材問題に直結するCXとEX向上のアプローチ

    プレス説明会では、NTTドコモビジネス 執行役員 プラットフォームサービス本部 コミュニケーション&アプリケーションサービス部長の高橋聡子(以下、高橋)が、docomo business ANCAR™について紹介しました。

    冒頭、高橋は企業がCXやEXを重要な経営指標として位置づける中で、人材確保の難しさや離職リスクの高まりによって、現場の負担が増している現状を指摘。さらに、顧客接点におけるAI活用はまだ発展途上であり、導入コストや効果の可視化に対する不安などがハードルになっていると説明した上で、docomo business ANCAR™開発の背景を語りました。

    高橋聡子│NTTドコモビジネス 執行役員 プラットフォームサービス本部 コミュニケーション&アプリケーションサービス部長

    高橋: AIの活用は社内業務では広がりつつありますが、社外向け─特に顧客接点での導入はまだ発展途上にあります。導入コストや効果の可視化に対する不安が壁になっているようです。

    また、顧客接点に関しても多くの企業がデジタル化を進めていますが、2024年度の調査では、顧客接点におけるコミュニケーション手段の第一位は「電話」でした。実に75%のお客さまが、コンタクトセンターへの問い合わせや担当者への連絡などで、従来通り会話によるコミュニケーションを活用しています。

    この電話によるコミュニケーションはNTTドコモビジネスの本業です。そこで我々は、通信サービスとAIの力を活用し、当社ならではのアプローチで企業の顧客接点を進化させる新しいコミュニケーションサービスとして「docomo business ANCAR™」を開発しました。

    CX/EX向上に寄与するAIネイティブな機能群

    ANCARという名称は、「AI Native Communication with Advanced Resilience」の頭文字を取ったもので、AIを活用したさまざまなコミュニケーションに関する機能群がSaaSとして用意されています。

    高橋:顧客接点におけるAIがコミュニケーションの一部として自然に当たり前に活用できるように、またAIによって災害や障害、人材課題への対応やカスタマーハラスメントなどの環境変化に対して、より迅速かつ効果的に対応できるようにすることで、お客さまを取り巻く課題を解決しつつCXの最大化やNPSの改善、EX向上にも貢献する―それがdocomo business ANCAR™のサービスコンセプトです。

    高橋:docomo business ANCAR™では多種多様な機能を一連のラインアップとして提供します。例えば、自然な発話を認識してAIが最適な窓口につなげる音声AI-IVRの「docomo business ANCAR™ Routing(以下、Routing)」や、チャットボット・ボイスボットにより24時間お客さま応対をする「docomo business ANCAR™ Chat(以下、Chat)」「docomo business ANCAR™ Voice(以下、Voice)」。また、通話録音からテキスト化、要約までを一連のフローとして実現する「docomo business ANCAR™ Rec (以下、Rec)」「docomo business ANCAR™ Convert(以下、Convert)」「docomo business ANCAR™ Summarize」などです。

    その他にも「docomo business ANCAR™ Insight」はお客さまの声を、「docomo business ANCAR™ Analyze」は顧客体験を可視化・分析し、企業の顧客体験における課題を明らかにする機能を有しています。全ての機能は「docomo business ANCAR™ Portal with AI」で管理でき、将来的にはAgentic AIによる総合的なオーケストレーションも視野に入れています。これらの機能を組み合わせることで、あらゆる価値を提供していくのが、docomo business ANCAR™の特徴です。

    docomo business ANCAR™がもたらす3つの効果

    docomo business ANCAR™は現在9つの機能で構成されていますが、高橋は同サービスがもたらす効果について、「CX最大化」「EXの向上」「顧客接点の強靭化」の3つに分類し説明しました。

    高橋:1つ目の効果は、CXの最大化を目的とした「最適なご案内と応対の自動化」、さらにお客さまが体験していることを明らかにする「顧客体験の可視化」です。実際の顧客体験は、コンタクトセンターのオペレーターの応対が始まる前から始まっています。たとえば、ご高齢の方などはスマートフォンのキーパッド操作に苦労したり、選び間違えてやり直したり、やっとつながったと思ったらまた保留されたりなど、苦慮されるお客さまも少なくありません。

    docomo business ANCAR™は通信サービスを提供している我々しか知りえない本当の顧客体験を明確にしつつ、AIがお客さまの用件を伺って最適な窓口へスムーズにご案内し、時間外やオペレーターが埋まっていた場合でも24時間の自動応答やチャットで応対することで、CXの最大化を図ることが可能です。

    高橋:2つ目の効果は、「カスタマーハラスメント対策」や「アフターコールワークの効率化」によるEXの向上です。カスタマーハラスメント対策は企業の顧客接点における大きな課題になっており、また多くの自治体で防止条例の検討・施行が進んでいます。そして、応対履歴の記録や営業日報の作成など、アフターコールワークの効率化は社員の生産性に直結する課題です。docomo business ANCAR™は通話内容の要約まで手軽にスピーディーに行えるだけでなく、お客さまの声をもとにしたVoC分析やマーケティングにも活用可能です。

    高橋:3つ目の効果は、顧客接点の強靭化です。日常的にdocomo business ANCAR™を活用することで、災害や障害時など有事の際にもAIが案内・応対を継続し、通話データも保存する強靭なBCP対策を実現します。センターや店舗などが被災した場合、電話応対に必要な社員や設備、回線が使用できなくなり、電話を転送しても迂回先のセンターに必要な設備が整っておらず適切な応対ができないというケースも想定されます。docomo business ANCAR™は全ての機能を通信キャリアの網の中で提供しているため、自社の拠点の設備や回線が止まっても別の拠点で同様のサービスを利用でき、「つながらない」を最小化することが可能です。

    「顧客接点強靭化」説明図

    通信キャリアが提供するサービスならではの特長

    続いて高橋は、通信キャリアであるNTTドコモビジネスだからこそ実現し得るサービスの3つの特長をアピールしました。

    高橋:1つ目は、SaaS型サービスとして提供することです。拠点へのサーバーなどの設備、ライセンスの導入や工事、SIが不要となり、初期投資と運用コストを大幅に削減できます。これにより、今まで投資面から諦めざるをえなかった小規模の事業所・店舗へのAI導入やカスハラ対策も、手軽に進めることができます。また、必要な機能だけを選んでご利用いただけることもメリットです。

    高橋:2つ目は、通信キャリアサービスとの連携です。顧客接点におけるAIの導入で頭を悩ませるのが通信サービスとのつなぎの部分ですが、docomo business ANCAR™にはその心配はありません。当社のフリーダイヤルやArcstar IP Voiceを利用していれば、特別な環境を準備せずともすぐに導入できます。

    RoutingやChat、Voiceが、フリーダイヤルと連携したAIにより最適な窓口への接続や自動応対を、RecとConvertが、Arcstar IP Voiceと連携したAIにより通話録音とそのテキスト化でカスハラ対策といった業務効率化を、手軽かつスピーディーに実現します。通信サービスと連携しているため、災害や障害など有事の際にもつながらない時間を最小化できます。尚、Rec、Convertは12月に提供開始予定です。

    高橋:3つ目は、通信キャリアが持つデータを活用して本当の顧客体験を可視化できることです。窓口での応対を開始するまでの間にも、お客さまはIVRの番号を間違えたり、番号の選択に時間がかかったり、結局つながらなかったりと、さまざまな事象を体験されています。それらは通信キャリア網の中で発生しているため、コンタクトセンターからは見えていません。docomo business ANCAR™では今まで見えなかった顧客体験を可視化し、課題を明確化します。

    また、市場シェア1位を誇るフリーダイヤル/ナビダイヤルの通信データを活用し、業界ごとのベンチマークを提供、自社の応対品質に関する企業の悩みにもお答えします(特許出願中) 。さらに、通話録音した応対内容を可視化・分析し、VoC分析やマーケティングにも活用することで、競争力の強化にも貢献できます。

    docomo business ANCAR™が実現する価値

    これらのサービス内容とコンセプト、特長を備えたdocomo business ANCAR™が具体的に誰に対してどのような価値を提供するのか、高橋は次のように説明します。

    高橋:docomo business ANCAR™が実現し、目指すものは、各企業の持つさまざまな顧客接点におけるCXの最大化、EXの向上および強靭化と、それを通じて事業の発展や生産性の向上に貢献することです。多くの企業が重要な経営指標に挙げているCXの最大化やNPSの改善、EXの向上を、NTTドコモビジネスならではのアプローチで実現します。

    docomo business ANCAR™によりさまざまな顧客接点で「AIを自然かつ当たり前に活用できる」ようになり、お客さまやエンドユーザーの手間を減らし、高齢者にも優しい利便性を提供しつつ、従業員に対しては業務上のストレスや負担を軽減し、管理者や経営層の方々にはコスト低減や課題の明確化、事業継続性の強化など経営に関わるお手伝いをします。

    docomo business ANCAR™ Routingのデモンストレーション

    説明会では、銀行の総合窓口にRoutingを導入した際の、サービス利用者とAIの2種類のやり取りのデモが行われました。利用者が窓口に電話をかけて、自動音声ガイダンスが対応します。

    「未払い料金があるのですぐに振り込んでくださいという電話が来て、裁判になると書いてあるのだけど、対応した方が良いのか」「娘に振り込みをしようとしたら、銀行のアプリにログインできない。急いでいるがどうすればいいのか」と、自然に用件を伝えるだけでAIが内容を理解・確認し、適切にセキュリティやインターネットバンキングの窓口につなぎました。

    さらなる価値提供に向け次なる打ち手も

    docomo business ANCAR™は今年の12月から一部機能の提供を開始し、2026年9月までに全機能が利用可能になる予定です。説明会の最後に高橋は、その先に見据えている2つの構想についても言及しました。

    高橋:1つ目は、さまざまなCCaaS(コンタクトセンター・アズ・ア・サービス)やSFA/CRM等のアプリケーションとの連携です。企業が導入しているSFAやCRM、コンタクトセンターの基盤と連携し、個々にパーソナライズされた最適な応対の実現やAIによる処理ができるようになります。

    2つ目はマルチキャリア対応です。まずは、フリーダイヤルやArcstar IP Voice、NTTドコモの携帯電話など、NTTドコモビジネスが提供するサービスをご利用の方向けにdocomo business ANCAR™を提供しますが、その後は、他社のキャリアサービスご利用の方向けにもサービスを拡大していく予定です。

    今後も当社では、docomo business ANCAR™を新たなコミュニケーションサービスの柱として、通信キャリアならではのAI活用によるCX、EXの向上を提案していきます。

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