2024.11.15(Fri)
Carbon Neutrality
2023.12.22(Fri)
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#38
―まずは、今回のプロジェクトにお二人がどのようなかたちで携わられているのか、教えていただけますか。
浅野萌氏(以下・浅野氏):私が所属しているMMKは、2014年に三井物産グループとメタルワングループの建設鋼材事業と製鋼原料事業が統合して生まれた、鉄の専門商社です。
私は元々統合前の三井物産メタルズ・三井物産スチールで鉄スクラップや合金鉄などの製鋼原料を取り扱う部署で営業事務をしていました。主に電炉メーカー・高炉メーカーへの納入・売買事務業務、解体工事案件・工場から発生する鉄スクラップにおける物流・売買事務業務に、10年以上携わってきました。
2023年4月に地域総合職に職掌転換したことで部署が異動になり、現在は環境・循環ビジネス推進部に所属し、今までの営業事務で培った経験を活かし、今回の共創プロジェクトに参画させていただいています。
三浦章絵(以下・三浦):私はNTT ComにおいてGXソリューションを企画開発提供するグループに所属しており、その中でもサーキュラーエコノミーの実現に関わる事業開発を担当しています。そこでMMKさまとのプロジェクトにも参画させていただいており、日々奮闘しています。また、前職では製造業向けのオンライン機械部品調達サービスでのユーザー支援を行い、お客さまにアップロードいただいた3D-CADデータがうまく読み込めずエラーになった際の原因調査などを担当していました。その経験もあって、NTT Comでは製造業向けのマッチングプラットフォームの構想などに携わってきました。
―両社が手掛けるのが、今回の「金属スクラップ・建設廃材資源循環プラットフォーム」のプロジェクトです。その対象となる鉄鋼業において、CO2排出などの環境課題はそもそもどのような状況だったのでしょうか?
浅野氏:前提として、まず日本における産業別のCO2排出量が最も多いのは製造業で、全体の約1/3を占めるとされます。その製造業の中でも最もCO2排出量の比率が高いのが鉄鋼業で、製造業のうちの1/3を占めてきました。一方で、2020年10月に日本政府が「カーボンニュートラルの実現」を目指して、2050年までに温室効果ガスの排出を全体でゼロにすると宣言したのは周知のとおりです。
そうした環境のなかで、鉄スクラップを活用した電炉(※)法は、循環型の製造プロセスの要となる上にCO2の排出量も抑制されるため、注目が高まりました。また、企業が実施したCO2排出削減量を製品に配分する「グリーンスチール」という言葉がここ数年で一般的になってきました。業界全体の潮目が変わったのをひしひしと感じています。
※ 電炉:建設現場や加工工場から回収された鉄スクラップを、電気炉で溶かして製鋼する手法や設備のことを指す。鉄スクラップを主原料とするため、環境負荷軽減の観点において重要な役割を担っている
―なるほど。CO2排出量が大きな産業だけに、DXでその削減の推進と、サーキュラーエコノミーを実現することで大きなインパクトが得られる。そう考えてNTT Comとの共創が始まったわけですね。
三浦:そうですね。先ほど申し上げたように、我々は各領域においてサーキュラーエコノミーに関する検討を行っています。なかでも「産業の米」といわれるほど、日本の産業発展に不可欠な鉄の領域は、その対象として外せないものでした。
そんな折に、鉄スクラップ取扱量において業界トップシェアであるMMKさまをご紹介いただき、「弊社のICT技術を生かしてお手伝いできないか」と足並みを揃えた検討が始まったのです。検討フェーズで、MMKさまやそのお取引先さまなどにヒアリングする中で、金属・鉄スクラップの回収業務における課題が顕著であることがわかりました。
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