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2026.03.04(Wed)
#89
この記事の要約
ワタミは、クラウド活用やデータ利活用の拡大に伴い、通信量増加による帯域不足や運用負荷の課題を解決するため、NTTドコモビジネスのセキュリティ統合型NaaS「docomo business RINK®」を導入した。従来はデータセンターを経由していたクラウド向け通信を各拠点から直接インターネットへ分散させる仕組みにより、ネットワーク混雑を解消するとともに、データセンターの廃止によるコスト削減も実現した。また、導入にあたってはセキュリティ強化を重視し、ネットワークとセキュリティを一体管理できる仕組みを採用。社内外の通信状況や端末の挙動を一元的に監視できるため、サイバー攻撃や障害への迅速な対応が可能となり、事業継続計画(BCP)の観点でも大きな効果を得ている。さらに構築期には、ワタミとNTTドコモビジネスソリューションズのプロジェクトメンバーが一体となり、既存システム更改に合わせたタイトなスケジュールに挑戦。NaaSならではの迅速な導入性を活かしながら、800店舗超への大規模導入を実質約2カ月で実現した。こうした短期間での導入は、関係者による集中的な対応と両社の緊密な協力によって成し遂げられた。導入後はネットワークやセキュリティ状況をWeb上で一元管理できるようになり、運用負荷も大幅に軽減。ワタミは今後、サブウェイ事業や新規出店への展開、AI活用を見据えたIT環境の強化を進める方針であり、NaaSをその中核インフラとして位置付けている。
※この要約は生成AIをもとに作成しました。
目次
――はじめに、今回のセキュリティ統合型NaaS(Network as a Service)「docomo business RINK®」導入の経緯を教えてください。
上野昌宏氏(以下、上野氏):私が2025年2月にIT統括本部長としてワタミに入社した当時、まだネットワーク環境刷新の計画はありませんでした。ですが、クラウドサービスの活用が必須となるこれからの時代で、ワタミグループの800を超える店舗運営における通信環境の効率化や可用性向上を考えたときに、現状のSD-WAN(Software Defined-Wide Area Network:拠点間の通信やクラウドへの接続など複数の回線をソフトウェアで集中制御・管理するネットワーク技術)の閉域網のままでよいのかという疑問が浮かび、ネットワーク環境の新しい可能性を探り始めたのです。

そもそもワタミは、本社とコールセンターなどの社員で1,400人、店舗従業員として14,000人を抱える企業ですが、そうした人員規模の割にネットワーク帯域が狭く、本社で200Mbps、コールセンターや主要店舗で50Mbpsほどでした。
ビジネスにおけるデータ利活用が進む中、近年はプロモーションやバックオフィス関連のトラフィックが集中する月末や月初のタイミングなどで帯域不足の警告も出ており、増加するオンライン会議においては「映像をオフにして音声のみで対応する」といった工夫も要していました。
今後、乱立していたグループウェアの一元化など、社員・従業員個々のIT環境を拡充させる全社的なIT戦略を策定する中で、ネットワーク帯域の抜本的な強化の必要性を感じていたわけです。
角田恒(以下、角田):これはワタミさんに限った話ではないのですが、コロナ禍以降、急速にWeb会議が普及したこともあり、社員一人ひとりの通信量が増大しています。すると、社内のすべての通信が1カ所のデータセンターや社内サーバーに集中するような従来のネットワークシステムでは、帯域不足を招くボトルネックが生じてしまうケースが非常に増えてきています。
そこで今回、帯域の上限を1Gbpsに引き上げるだけでなく、通信の内容やデータ量に応じて各拠点から直接インターネットに通信を流すことが可能な「特定通信ブレイクアウト」という機能を実装したdocomo business RINK®をご提案することで、通信を分散させて混雑リスクそのものを解消していく方向でネットワーク環境の刷新を進めました。


佐藤勝美氏(以下、佐藤氏):オンプレミスのネットワーク環境からNaaSへと移行したことは、帯域不足の解消だけでなくコスト面でも大きな成果がありました。その内容は主に2つあり、1つはデータセンターを廃止できたこと。2つ目がこの特定通信ブレイクアウトをNaaSで安価に活用できたことです。
というのも、従来のオンプレミスのネットワーク環境でも、一部の高品質なルーターであれば特定通信ブレイクアウトの機能は備わっていました。ですが、800以上の店舗でそうした設備を導入・運用していくとなると、膨大なコスト負荷になってしまいます。docomo business RINK®は、そうしたコストをかけずに分散ネットワーク環境を実現できる点も大きな魅力でしたね。

角田:佐藤さんが述べられたように、特定通信ブレイクアウトは、技術としてはここ10年くらいですでに一般化しています。ですが、通信キャリアがNaaSとして提供するのはdocomo business RINK®が初めてではないでしょうか。今までそうしたサービスが出てこなかったのは、通信経路が増えるほどにセキュリティマネジメントも複雑化してしまうことと無関係ではないと思います。
近年は、クラウドサービスの活用やエンドポイント(ネットワークに接続されるPCやスマートフォン、サーバーなどの末端のデバイス)の多様化も相まって、分散型のネットワーク環境をセキュアに実現するのはより難しくなっている一方で、企業を狙うサイバー攻撃は年々進化・増加しており、サイバーセキュリティの重要性も日増しに高まっていますからね。
上野氏:まさにその通りで、ネットワーク環境を刷新する上で帯域不足の解消と並んで、あるいはそれ以上に重視していたのがセキュリティ対策でした。私は現職以前も、複数の外食チェーンでIT戦略やDXを担当してきましたが、その経験からいえば、サイバー攻撃を100%防ぐにはインターネットから閉ざした完全な閉域網をつくるしかない。でもそれは非現実的です。
だからこそ、強固なセキュリティ基盤の上で、その状況を常時モニタリングできる仕組みを備えて、トラブルが起きてもすぐに対応することでビジネスを継続できるよう、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を重視してネットワークセキュリティを構築することが非常に大切になってきます。

具体的には、どこから侵入したのか、どこを止めればよいのか、どのように復旧すべきかといった情報を迅速に把握できる仕組みがあると、すごく安心だと感じています。
成瀬慎美(以下、成瀬):その点、docomo business RINK®は、セキュリティ統合型のネットワークサービスとなっています。ブレイクアウトさせた通信や、PCやスマホ、サーバーなどEDR(Endpoint Detection and Response)で検知するふるまいも含めて、社内ネットワークにおけるすべての通信の入口・出口をWebポータル上で確認できます。
従来であれば、ネットワークとセキュリティはそれぞれに環境を構築して運用していくものでしたが、近年はともにシステムが複雑化し、導入・運用の負荷が高まってきました。そうした負荷を劇的に軽減し、これからのデータ利活用・AI時代において効果的なネットワーク/セキュリティインフラとして機能するdocomo business RINK®は、BCPの観点でもあらゆるビジネスに貢献できると考えています。




佐藤氏:実はつい先日も、土日に「ネットワークが停止している」というアラートが届き、内容を確認すると、館内の計画停止によるものでした。つまりこれまでも同様の事象は起こっていたはずですが、我々はそれを検知できていなかった可能性があります。
そうした、自分たちで把握できていない部分も含めてしっかりサポートしてもらう体験も経て、改めて最新のセキュリティ対策の素晴らしさを実感しています。
成瀬:近年のサイバー攻撃の特徴として、土日など防御が手薄なタイミングを狙って、ゆっくりと時間をかけて侵入を試みる傾向があります。土日もしっかりと検知してアナウンスできる仕組みを整えておくのは重要ですね。
角田:また、大企業ばかりが標的にされているかと思いきや、上場していない企業などがランダムに狙われるケースも非常に増えています。ちょうどセキュリティの導入を検討中にシステムに入られてランサムウェア被害に遭い、復旧に2週間以上かかってしまったという話などをよく聞きます。
docomo business RINK®は、帯域確保型のプランやベストエフォートタイプのプランなど、業態や企業規模に応じたアクセス回線を使用でき、かつワイヤレスアクセスの場合は現地の工事は不要でスピーディーに導入できる点も、さまざまな規模の企業からニーズが高まっている理由のひとつです。
――スピーディーといえば、今回のワタミグループ800以上の店舗へのdocomo business RINK®導入は、実質約2カ月で完遂したと伺いました。
佐藤氏:他の企業にも提案をもらいながら計画を検討しているときには、6カ月、早くとも4カ月はかかるという見込みが大半でした。妥当な見積もりだったと思いますが、IT環境刷新プロジェクトについては別件の勤怠システム更改も連動しており、そちらが終わる2026年2月頭から、店舗のネットワーク保守期限である2026年3月末日までの2カ月で対応してもらえると理想的、という弊社の事情があったのです。
加えて、100店ほどあるフランチャイズ店舗への情報共有をスムーズに進められておらず、切り替え着手直前でさらに2週間ほど遅れが出てしまった。NTTドコモビジネスソリューションズさんにはそういった想定外の事態への対応も含めて、スケジュール面でも大きく尽力してもらい、大変助かりました。
成瀬:もともとdocomo business RINK®がオンデマンドサービスであるというところで、スケジュール見直しの都度、柔軟かつ迅速に対応できました。ワイヤレスでも開通が可能なので、まず有線開通を試みて認証がうまくいかない拠点が出てきたときは、通常業務に支障のない通信状態を無線で担保して進めることができましたね。
従来であれば、そういったサービスオーダーの変更を受けた際は、内容に応じた社内でのさまざまなエスカレーションを経て、対応に5〜6営業日ほどかかってもおかしくありませんでした。現場で即座に無線に切り替えることができる点は、店舗や業態ごとにさまざまな事情を抱えるこうした大規模なネットワーク切り替えプロジェクトでとても有効に機能したと感じます。

佐藤氏:いざプロジェクトが始まってみると、店舗に来てもらったときにネットワーク機器の構成が想定と違うことが判明したり、それによって生じるネットワーク切り替えトラブルのリスクを回避するために再訪問が必要になったり、さらには重要拠点の見極めが足りずに訪問店舗が増えてしまったりなど、本当にいろいろなことがありましたね。
上野氏:一番大変だったのが、データセンターからクラウドへの切り替え、つまりもともと契約していたネットワークから新しいネットワークへの切り替え工程です。当初は一般的な切り替え方法で、全店舗を一括で自動的に切り替えられると考えていたのですが、もともと契約していたネットワークの機能的な制約などでそれが難しいことが判明し、結局、800店舗分すべて手作業での切り替え対応が必要になってしまいました。
角田:ワタミさんのパートナー企業にもご協力いただいて、新しいネットワークを開通できたらチャットを飛ばしてネットワークを切り替えてもらって、という対応を1店舗ずつ、地道にさせてもらいました。さまざまなトラブルを乗り越えて期間内で完遂できたのは、プロジェクトに携わるメンバーが一丸となれてこそでしたので、ワタミさんや関係者の方々のご協力に本当に感謝しています。

――実際に導入されてみて、どのような効果を感じていますか?
佐藤氏:やはりまず大きいのは、ネットワークの状況やセキュリティ稼働などをWebポータルで一括管理できる簡便さですね。どこのルーターでいつ何が起きているか、というのがリアルタイムですべてわかる。
これまでも監視システムはありましたが、稼働状況を示すグラフを自分で見にいって、このような動き方はもしかするとネットワークダウンかもしれない、と見当をつけて確認する、いわば「自分で見つけにいかなくてはならない」難しさがありました。
NaaSを導入して、1つの画面ですべて見ることができるツールの素晴らしさを実感し、本当に助かっています。
上野氏:今回のプロジェクト成功を経て、企業としてのIT戦略も広がってきました。
ワタミは2024年にファストフード店・サブウェイの日本事業買収を発表して以降、店舗数を増やしており、現在200店舗を超えていますが、サブウェイではまだ別のネットワークを使っているので、今回導入したdocomo business RINK®へ統合する方向で検討しています。
さらに10年後には1,000店舗に拡大する計画を進めていて、すると今後は新店開設も増えてくるわけですが、店舗の入る建物によって最適なネットワーク構築のやり方も変わってくると思います。また、コンタクトセンターの革新も進めていけたらというところで、NTTドコモビジネスソリューションズさんにはぜひそうしたIT戦略の全体構想から伴走してもらえたらという期待を抱いていますね。

成瀬:今回のプロジェクトも、IT戦略のパートナーとして弊社に期待を寄せてもらい、一枚岩となれたからこそ成功できたと考えています。
弊社は2025年7月の大規模な組織再編を経て、NTTドコモグループとしてパートナー企業に提供できる価値の最大化を目指しており、今後は通信事業の枠組みを超えてよりさまざまな領域での協業・共創をご提案していきたいです。
上野氏:ワタミは事業会社で、ITを進めていくには必ずIT企業やSIerの協力が必要です。そして、そのパートナー企業の品質が、そのまま私たちのITの品質にもなってくる。だからこそITにおけるパートナー選びは非常に重要ですし、ともに戦略を構想していくことが大事だと思います。
今はIT環境の整備を進めている段階ですが、今後はAIを含めた先進的なビジネス体制を構築していきたい。今回の最新NaaS導入プロジェクトを起点に、先鋭的なテクノロジー企業として長期的なパートナーシップを育んでいけるとうれしいです。
角田:NTTドコモビジネスソリューションズとしても、AIを今後のネットワーク進化における非常に重要なファクターと位置付け、従来のICTインフラでは対応が難しい新たなニーズに対応する「AI-Centric ICTプラットフォーム®」を展開していきます。docomo business RINK®も、その流れの中でさまざまな機能をアップデートしていく想定です。今後もぜひご期待ください。本日はありがとうございました。
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