プライバシー強化技術(PETs: Privacy-enhancing technologies)と称される新たな技術に今、世界的に関心が集まっています。プライバシー強化技術とは、データを安全に保護しながら、データの共有や利活用を可能にする技術の総称です。これにより、従来では難しかった個人情報や企業機密などの機微なデータの利活用ハードルが下がり、新たなデータドリブンのイノベーションが生まれることが期待されています。
NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)が提供している、”データを「守りながら活かす」”サービス「析秘(SeCIHI)- Secure Computation and Information Handling Interface)」も秘密計算というプライバシー強化技術をベースとしています。
析秘(SeCIHI)の技術者/事業開発メンバーである三品気吹(スマートヘルスケア推進室)、秘密計算を中心としたプライバシー強化技術の産業振興に取り組むビジネスデザイナー/デザインリサーチャーの塚原章裕(イノベーションセンター デザイン部門KOEL)、そしてプライバシー強化技術に関するグローバルトレンドやユースケース調査に協力した株式会社リ・パブリック共同代表の市川文子氏が、秘密計算を用いてプライバシー保護とデータコラボレーションを両立できるデータ利活用社会を実現していくための課題と展望について話し合いました。
データ利活用とプライバシーの両立を可能にするPETs
ーーなぜ、プライバシー強化技術(Privacy Enhancing Technologies、以下PETs)への関心が高まっているのでしょうか?
三品:デジタル化が進み、データを活用したサービス開発が至る所で進められています。一方で、データには個人情報や企業機密など機微なデータが含まれることもあり、データの扱いには慎重にならなければなりません。自分のデータがいつ取られ、どのように使われているのか不安に思われる方も増えていますし、個人情報保護法などプライバシー関連の法規制も守る必要があるからです。
そうした状況を踏まえて、「個人情報や企業機密を誰もが安心できる形で利活用するための技術」としてPETsが注目されています。
塚原:NTTとしても三品のようなPETsの専門人材を抱え、技術研究やトレンド調査を行っています。NTT Com自体が、データ利活用に必要なデータ連携基盤、ソリューション、各種データ分析サービス等を提供している企業であるためです。PETsに関する知見や強みを持つことは、お客さまや、広く社会の皆さまに、データビジネスを営む企業として信頼していただく上でも、とても大事なことだと考えています。
秘密計算とは何か
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