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vol. 02

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共創を成功に導くOPEN HUBの「カタリスト」とは?

OPEN HUBには社会課題の探究から社会実装までをリードする「カタリスト」が多数参加しています。カタリスト とはどのような役割を担うのか、NTTコミュニケーションズの野呂田学、金智之と、OPEN HUB立ち上げに携わり、社外カタリストでもあるデザインファーム KESIKIの井上裕太氏にOPEN HUB Journal編集部が聞きました。

今、なぜビジネスに「カタリスト」が求められるのか?

――OPEN HUBでは、社会課題の探究から社会実装までをリードする、さまざまな分野の専門家「カタリスト」が所属しています。こうした役割が求められる背景には何がありますか。

井上氏:昨今さまざまな分野でIoTやデジタルツインが注目されていますが、これからは例えば街中に置かれたセンサーやカメラから集められた人流データから、実店舗での買い物やスマートモビリティなどの行動データ、さらにはウェアラブル端末などからの体調データまでを分析・活用することによって、企業やサービスがより人に近づいていく時代です。そうした時代では、1つのコンセプトを実現しようとするときに関わるテクノロジーやインターフェイスは加速度的に広がり、多層化していきます。

例えば、次世代のモビリティをつくろうとしたとき、そのコンセプトを実現するためには、ありとあらゆる技術や知見が必要になりますよね。「今回はこんなユーザーを見つめる必要があるね」「こんな技術が関わるかもしれない」「こんなビジネスモデルが必要だ」「だとしたらこんなプレーヤーを巻き込まなくてはいけないのではないか」と。プロジェクトにはこうした多様な内容をリードしてデザインできる人が必要で、その役割がまさに触媒としてのカタリストなのだと思います。

井上裕太|KESIKI Inc. Partner、OPEN HUB Catalyst/Advisor
マッキンゼーで日米欧における経営コンサルティングに従事後、独立。企業の経営改革や「WIRED」誌特派員として北米取材などを手掛けた。その後、スタートアップスタジオのquantum設立に参画。事業開発および投資を主導したほか、九州大学では客員准教授として産学官連携を担当。2020年、カルチャーデザインファームのKESIKIを創業。事業開発や組織変革案件を担う。グッドデザイン賞など国内外で審査委員も務める。

野呂田:OPEN HUBではコンセプト・イノベーションに向けてカタリストが支援する体制を整えていて、お客さまの課題や向き合うテーマに適したチームを組んだり、プロジェクトに適したアクティビティを設計したりすることができます。

野呂田 学|NTTコミュニケーションズ OPEN HUB Chief Catalyst/Program
2018年より前身のビジネス共創チーム(C4BASE DX Lander)の立ち上げから従事。食品物流業界において、ブロックチェーン活用によるサプライチェーントレーサビリティで食品ロス検討やメーカーとの新規サブスクビジネスの検討などを手掛けた。OPEN HUBでは、自らお客さまとのビジネス共創活動をリードしていくとともに、社内外の各カタリスト間をつなぎ合わせていき、カタリストチームを牽引していく。

金:これからの時代、プロダクト開発においてもソリューション開発においても、1社だけで行うのではなく、複数の企業が関わりながら新しい価値を生み出していくことが必要とされる場面も多くあります。しかし、とりわけ大企業では、社内に技術、営業、企画、オペレーションなどそれぞれに特化したプロフェッショナルがいたとしても、それぞれの強みを生かしながら、組織の壁を超えて密に連携していくのは大きなチャレンジとなっていた企業も多いのではないかと思います。社内の業務プロセスや人材の在り方含め、ビジネスモデルを変えていく必要があるという状況は、多くの企業に当てはまるでしょう。

業界を横断する知見を持ち、ユーザー視点でコンセプトを生み出しながらビジネスを推進していくカタリストは、そうした既存のビジネスの枠も変革していく存在とも言えるのではないでしょうか。多彩なプロフェッショナルが力を合わせることで、複数の企業が関わり合いながら新しい価値創出が期待できるのではないかと考えています。

金 智之|NTTコミュニケーションズ OPEN HUB Chief Catalyst/Program
NTTコミュニケーションズのインハウスデザインスタジオであるKOELに所属。九州芸術工科大学卒業後、2005年に入社し、音楽配信サービス、映像配信サービスなど数多くの新規事業開発に携わる。2011年、KOELの前身となるデザインチームを立ち上げ、UIからUX、経営理念まで幅広く手掛ける。OPEN HUBではプログラム開発中心に参画。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。

井上:今後はより一層、社会に目を向けていくことが大事ですよね。社会の流れを理解し、社会に問いかけ、社会と対話する。社会で起きていることを背景に社内組織の枠組みを超え、他社との連携を深めながらビジネスをつくっていく。OPEN HUBとカタリストは、社会との対話の基地のような存在を目指したいと考えています。

ビジネスプロデューサーからリサーチャー、デザイナーまで。多彩なOPEN HUBのカタリスト

――OPEN HUBのカタリストの役割を「新しいコンセプトを生み出すエキスパート」と定義しています。どのような分野のメンバーがそろっていますか。

野呂田:OPEN HUBのカタリストには、ビジネスプロデューサーやエンジニア、リサーチャー、UXデザイナー、UIデザイナー、ビジネスデザイナー、サービスコーディネーターなど多様な職種が含まれ、さまざまな視点を持ったメンバーがワンチームで取り組みます。

OPEN HUBカタリストメンバーより。

――金さんはデザインのカタリストとして参加しています。どのような役割を担うのでしょうか。

金:NTT Comに対し、技術ドリブンのイメージを抱く方もいるかもしれません。ですが、OPEN HUBではデザインチームが関わり、人間中心・ユーザー中心の視点を入れられるようにしています。また、UIデザイナー、UXデザイナー、デザインリサーチャー、ビジネスデザイナーなど、デザインスタジオ「KOELのメンバーが総動員されることで、スピード感をもって「アイデアをプロトタイプの形にして見せ、ユーザーからフィードバックをもらい、コンセプトの仮説を検証する」という一連のプログラムを実行できると考えています。
※NTT Comのインハウスデザインスタジオ。

例えば、現在フードテックの案件に取り組んでいるのですが、まずはそのプロジェクトの世界観やビジョン、サービスが提供する価値、ユーザーに与える変化などを1枚のチラシのような形でシンプルにまとめています。チラシのほか、動画やモノなどさまざまな形のプロトタイプを作ることで、顧客と提供価値がフィットするかを検証し、実際の開発の際に重要な部分だけを端的に伝えられるようになります。議論のベースになるマテリアルを作り、伝えていくことで、コンセプトの解像度を上げていく。ここにデザイナーの役割があると考えています。

OPEN HUBだからこそできること

――ここ数年で大企業各社に共創やオープンイノベーションの取り組みが広がりました。OPEN HUBならではの強みはどこにあると考えますか。

野呂田:NTT Comのこれまでの強みは、クライアントや現場ととことん向き合い、大規模プロジェクトをやり切る、という点にあったのではないかと思います。どんなものを作るかのイメージがある程度あった上で、コスト効率や時間軸を考えて、例えば“絶対に落ちないネットワーク”を構築することをどれだけ精緻にやれるか、といった実現力にチャレンジの力点がありました。

しかし、今後は「そもそも何が求められているか」も大事になってきますよね。探究的に考え、実験を繰り返しながらモノを作り、その試行を繰り返すというプロセスは、特に大企業では難しい場合も多かった。しかし、今の状況では取り組むべき課題が複雑な場合が多いため、新しいやり方を試行し続けていくしかない場面も多々あります。OPEN HUBは、その実践の場として機能させていきたいと考えています。

インタビューは東京と京都をつないで行われました。

井上:NTT Comがもともと持っている強みに、社会と向き合ってユーザーを理解し、探究的に実験を繰り返してプロトタイピングしてプロダクトを作る力、さらには多様なパートナーとのネットワークやNTTグループが持つユーザーリーチなどのアセットが組み合わされば、ほかの企業には成し得ないような社会変化が描けるのではないかとワクワクしますね。

――最後に、OPEN HUBに集う方々とどのような共創を目指しているかを教えてください。

金:仮説検証だけではなく、解くべき問いを探し、社会変化の「設計図」自体を一緒に考える取り組みができればいいなと思います。OPEN HUBには、デザインリサーチャーもいるので、このOPEN HUB Journalを通してリサーチ結果を世の中に提示し、同じ課題意識を持つ方々がプロジェクトに参加したくなるようなアプローチにも挑戦していきたいです。いきなり「社会的課題を解決しよう」ではなく、パートナー企業やお客さまと一緒に、何に取り組むべきか、からも考えていきたいですね。

野呂田:われわれの目指すビジネスの方向性や世界観を伝えた上で、共感してくださる方と並走しながら一緒にやっていくことが重要ではないかと思います。1社だけでは成し得ないことも多いので、その会社と向かうべき方向性が定まった段階で、同じ方向性を目指していけるような企業を集めていくことも大事でしょう。1社や2社ではできなかったことが、3社、4社と広がっていくことで実現可能性が広がっていくのではないでしょうか。OPEN HUBをそんな場にしていきたいですね。

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