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2022.12.21(Wed)

顧客接点が多様化する今、コンタクトセンターのCX向上に必要な観点とは

#OPEN HUB #CX/顧客体験
顧客接点(チャネル)が多様化していく中で、そのタッチポイントであるコンタクトセンター(コールセンター)の「CXの向上」を効果的に実現するには、どのようなアプローチが求められるのでしょうか。

そこで考えたいのが、チャネルを横断して、カスタマー・ジャーニー全体でCXを向上させることです。NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)では、その指針となる「デザインパターン」を作成して、お客さまのコンタクトセンターのCX向上やコスト効率化などに貢献しています。

今回はNTTレゾナントの深澤澄子氏からチャネルごとの改善例を紹介するとともに、チャネル横断でカスタマー・ジャーニーを改善するためのポイントをNTT Comの安田真太朗が解説します。

目次


    今、コンタクトセンターに起きている変化とは?

    ―まず、企業のコンタクトセンターに起きている変化や課題について教えてください。

    安田真太朗(以下、安田):スマートフォンの普及に伴って、電話以外のチャットやスマートフォン向けサイトが増加するなど、チャネルの多様化が進んでいます。コンタクトセンターでは、さまざまなチャネルでのコミュニケーション手段を用意してお客さまのニーズに応えようとしていますが、残念ながらかえってサービス品質が下がってしまうケースも散見されます。

    安田真太朗|NTT Com ビジネスソリューション本部 ソリューションサービス部

    その原因は「チャネル間の分断」にあります。1つのチャネルで解決できず別のチャネルでお問い合わせを行った場合に、応対するオペレーターが変わってしまったり、改めて同じ説明を求められたりすると、お客さまにご負担をおかけしてしまいます。また、チャネル間の分断によりデータも統合できていないため、的を射た分析ができず、顧客体験の改善ができていないケースも見られます。

    深澤澄子氏(以下、深澤氏):コンタクトセンターを運営する立場では、オペレーターの採用難が続いています。その中で、「なかなか電話がつながらない」「いつでも問い合わせができない」といったCXの低下が生じることなく、お客さまに満足していただけるサポートを提供できるかが問われている状況です。簡単なお問い合わせはお客さま自身で解決できるようにし、難しい内容はオペレーターが応対する体制が不可欠ですので、DXの取り組みは必須だといえます。

    深澤澄子氏|NTTレゾナント株式会社 パーソナルサービス事業部ND部門

    安田:おっしゃる通りで、自動応答とオペレーター応対の二極化は、ソリューションのサポートを受けて、今後さらに進んでいくだろうと予想しています。

    深澤氏:近年はスマートフォンの普及で、お客さまの環境が変わっています。これまで電話でお問い合わせをしていた方が、スマートフォンを活用して、電話ではなくWeb経由で時間に関係なくお問い合わせするケースも増えています。このような変化はコンタクトセンターのCXを見直す好機でもあります。

    NTTレゾナントの「顧客接点のデジタル改革」

    ―そこでNTTレゾナントが進めてきた「顧客接点のデジタル改革」とは、具体的にどのようなことでしょうか。

    深澤氏:弊社のOCNサービスを支える、総合受付センターのカスタマーズフロントと、テクニカルサポートセンターの2大コンタクトセンターを私どものチームで運営しています。

    私どもでは、お客さまの環境が様変わりし、求めることが変わりつつある中でも、いつでもどこでも困りごとを解決できるセンターであるために、デジタルと人が共存共栄する「AIコンタクトセンター」を目指し、3年ほど前からさまざまなデジタル施策を行ってきました。直近で行いました施策についてご紹介します。

    1つめは、高齢者層に配慮した音声ガイダンスとWebの再設計です。お客さま目線で音声ガイダンスを再設計するとともに、固定電話からでも携帯電話にSMSを送信できるように改修した結果、セルフ解決のためのWebサイトをご案内するSMSの送信率は30%アップの76%まで引き上げることに成功しました。また、Webサイトの選択肢を見直して離脱を防止することで、解決率が20%アップの70%となりました。

    ―「ネットは苦手」というイメージのある高齢者層でも、適切にご案内すればWebでのセルフ解決は可能なのですね。2つめの施策についても教えてください。

    深澤氏:電話というUIを生かした受付の自動化を行いました。訪問スタッフがお客さまのご自宅で設定サポートを行うサービスでは、Webでお申し込み可能なルートを実装したものの、自動受付利用率の低さが課題でした。そこで、お客さまへのヒアリング調査とその内容分析から、お客さまにとっての使いやすさを向上させるための取り組みを行ったのです。

    「新規設定だからWeb環境がないのではないか」「携帯がスマホではないかもしれない」「お問い合わせされるお客さまの年齢層が高いのではないか」といった仮説を立て、まずは電話というUIにおいてプッシュボタンで訪問希望日などを受付する方法を実装しました。音声ガイダンスで質問し、お客さまは該当の数字を押して回答するというものです。すると、自動受付利用率は10%から19%へと約2倍になりました。

    しかし、新たな課題もありました。名前や住所をヒアリングできませんし、押し間違いも発生しました。これでは結局、オペレーターからお客さまに電話してヒアリングすることになります。

    そこで次のステップでは、音声で受付しテキストマイニングする機能を実装しました。お客さまの発話でお名前や住所を認識するのです。チューニングを重ねた結果、自動受付率は当初の3倍となる32%に上昇しました。また、解決率はプッシュボタン受付から20%アップして70%に飛躍しました。

    ―大幅に数値が改善しましたね。

    深澤氏:お客さまが24時間365日、いつでも好きなタイミングで予約可能になったのは大きな成果です。とはいえ、まだまだ道半ばです。今後もお客さまへ新しい価値を提供するためのDXチャネルも、お客さまの声に耳を傾け、お客さまのリテラシーに配慮した改善を続けていきます。

    私どもの目指す、最高の顧客体験=“Smart Customer Experience”のために!!

    顧客理解の促進にはAIなどのソリューション活用が有効

    ―一方で、CXが向上しない原因として「チャネル間の分断」も考えられます。

    安田:CX向上には、NTTレゾナントのようにチャネルごとの改善を進めることと、チャネル横断での改善、すなわちカスタマー・ジャーニーの見直しを進めていくことの、両面の施策が必要です。

    カスタマー・ジャーニーから考えていくことで、CX向上につながるエフォートレス・エクスペリエンス、つまりお客さまにとって負担のない体験づくりが推進されます。

    そこで重要な要素は、顧客理解を深める取り組みの強化です。お客さまの体験や、体験に至るまでの一連の流れ、流れの中でのお客さまの感情をしっかり把握します。例えば「つながりにくい」「分かりづらい」「センターの営業時間が自分には合っていない」などです。

    ―すでに取り組んでいる、という事業者の方も多いかと思います。

    安田:そのはずですが、顧客理解を深める取り組みは継続的に行うことが必要ですし、日々の業務にプラスアルファで活動するのは、なかなか大変です。そこで顧客理解の重要性を改めて強調するとともに、AIなどのソリューションが生きる領域だということを、ぜひ知っていただければと思います。

    ―ソリューションの手助けで顧客理解がしやすくなるというわけですね。どのようなソリューションがあるのでしょうか。

    安田:「高度テキストマイニング」は、テキスト化された情報から分析・レコメンドを行います。NTT Comの場合、「COTOHA Insight Detector」をご提供しており、応対記録からコールリーズン分類・解決検討をサポートします。イレギュラーなお問い合わせの場合「その他」に分類しがちですが、提供機能の1つである「カテゴリ分類」では応対記録をAIで分析し、新たな分類を提案します。また、コールリーズンのルールが不明瞭だった場合には、細分化を提案し、分類の最適化をサポートします。このようなソリューションを活用することで、適切なコールリーズンを当てはめ、顧客理解につなげることができるのです。

    もう1つご紹介したいのが、音声・デジタルの各チャネルを統合する基盤「オムニチャネルプラットフォーム」です。NTT Comがご案内しているNICE CXoneでは、マスターコンタクトIDにより、チャネルをまたがっていても同一のお問い合わせとして管理でき、応対情報を適切に見える化することで、分析の効率を高め、顧客理解を深められます。

    2つのソリューションをご紹介しましたが、ほかにもCRMや音声認識などさまざまなソリューションがあり、顧客理解の促進に役立ちます。ただし、複数のソリューションを活用する場合に忘れてはならないことがあります。

    「デザインパターン」がCX向上を加速させる

    ―複数のソリューションを活用する場合、どのような注意点があるのでしょうか。

    安田:それぞれの仕組みが、単独ではなく、連携しあっていることが重要です。各ソリューションが単独でしか機能していない場合、利用範囲が限定されるだけではなく、その後に拡張する際、改めて機能を検証し直す作業が生じるなど、導入に向けた負担が大きくなってしまいます。これは、チャネル横断でのアプローチを停滞させる原因にもなりかねません。

    そこで大切なのが、システム連携を意識したコンタクトセンターの全体像をあらかじめデザインしておくことです。NTT Comでは、これまで社内外のコンタクトセンターでソリューションを導入・運用してきた知見をもとに、「CX向上」や「コスト効率化」など、さまざまなテーマで活用ソリューションとロードマップをまとめた「デザインパターン」をご用意しています。

    デザインパターンの利用には、「顧客理解を深める最適なソリューションをまとめて利用可能」「ソリューション間連携の検証負担を軽減することによる顧客理解の加速」「導入から運用まで、顧客理解を意識したトータルのサポート」という大きく3つのメリットがあります。

    CX向上のためにエフォートレスなコンタクトセンターをデザインする際には、ぜひNTT Comにご相談いただき、デザインパターンをご活用ください。

    深澤氏:お客さまに寄り添った最高の顧客体験、 Smart Customer Experienceの提供を目指すためには、各チャネルで分断されがちなデータの一元管理が欠かせませんね。

    NTTレゾナントでも、すべてのチャネルを一元管理できているわけではありません。AIコンタクトセンターを進化させることで、データにもとづいたCX向上の取り組みを継続的に行うとともに、オペレーターの働きやすさも高めていきたいと考えています。

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