01
Co-Create the Future
2022.11.30(Wed)
目次
あらゆる分野のお客さまと“人×技×場”を掛け合わせ、“共創”によって、Smart Worldの実現を目指す事業共創プロジェクト「OPEN HUB for Smart World」。
「人」とは、「カタリスト」と名付けられた、各領域のスペシャリストのこと。NTTグループのみならず、社外の有識者・専門家など業界をリードするメンバーが400名以上、顔を並べています。「技」はNTTグループが有する最先端のICTインフラやテクノロジー。そして「場」とはOPEN HUBのメディアと、OPEN HUB Parkです。リアルでもバーチャルでも参加できる場づくりをしています。
共創を生み出す新たなワークプレイスとして、2022年2月にNTT Com本社内に誕生した「OPEN HUB Park」。あえて“リアルの場”とした理由は「創発をより活発にする」ためです。コロナ禍でオンラインミーティングが当たり前になり、直接顔を合わさずともコミュニケーションをしやすい世界が広がりました。一方で「雑談」や「脱線」、予想もしない方向に進む中で0から1を生むというような議論が起きづらくなりました。
このような現状を踏まえて、OPEN HUB Parkの戦略統括を担う平川と依藤はこう語ります。
「オフラインで顔を合わせて対話できる方が、互いの意見に触発されて、発想やイマジネーションも膨らませやすい。そういったリアルな場をつくり、お客さまにお越しいただいて共創を実現できればと考えています」(平川)
「あえて『リアルで会いたくなる場』に、そして『雑談や話題が広がりそうな場』として設計されています。オフィスではあまりないハンモックを設置したり、発想が豊かになるようにエリアに合わせた香りの演出をしたりしています」(依藤)
このOPEN HUB Parkのコンセプトや工夫などが評価を受け、2022年9月には「日経ニューオフィス賞」において「ニューオフィス推進賞<クリエイティブ・オフィス賞>」を受賞しました。
https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2022/0909.html
依藤によれば「約8カ月で約300社・1,500名以上もの方々にご来訪いただいた」そうで、想定以上の反響があったようです。
「『Park(公園)』という名が示すように、遊ぶように自由にアイデアを出し合う場所になるよう設計されています。そのためOPEN HUB Parkを訪れる方は、傍観者や評論家ではなく、NTT Comと共にプレイヤーとして参加していただけるよう設計されています」(平川)
お客さまがより参加しやすくなるように、OPEN HUB ParkではNTTグループが有するテクノロジーに少しでも触れていただけるよう、技術アセットの展示や体験の場を設けています。
OPEN HUB Parkにおける技術アセットの演出や体験設計を担う、デジタルエクスペリエンス担当の大橋はこう説明します。
「たとえば、弊社イノベーションセンターのIOWN® 推進プロジェクトメンバーが研究所と共に実現を目指している『IOWN®構想』。まだ体験できる場はほとんどありませんが、OPEN HUB Parkでは常に実証実験を行っているため、お越しいただければ、いつでも触れることができます」(大橋)
* IOWN®(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、最先端の光関連技術、および情報処理技術を使った大容量、低遅延、低消費電力の通信・コンピューティングインフラと、そのインフラ上で提供されるさまざまな新サービスの構想です。なお「IOWN®」は日本電信電話株式会社の商標または登録商標です。
OPEN HUB Parkでは次世代インフラとして期待される、いわばまだR&D領域のテクノロジーを、ユースケースとして実際に目の当たりにでき、触れることができます。
「例えば、このようにIOWN®構想を体感できるデモを活用すると大容量の動画がリアルタイムでどのように観られるか実際に体験できます。このようにまだ世に出ていない技術を体感できるということも OPEN HUB Park が持つ独自性の1つです」(大橋)
そう話しながら、大橋はOPEN HUB Park内にあるカメラの前で説明を続けます。この映像を非圧縮の大容量データのまま、武蔵野のデータセンターに送り、それをさらにOPEN HUB Park内に転送します。すると、目の前にはほぼ遅延のない映像が映し出されます。
超高画質の映像がスムーズに動く様子は、お客さまへ紹介するコンテンツのアレンジを担当する木村によれば「来訪者から歓声が上がる」そうです。
「『IOWN®構想の特長は大容量、低遅延、低消費電力』と言葉だけで伝えてもピンと来ない方がほとんどです。しかし、実際の技術をユースケースとして見せれば、一目でご理解いただけます。実際に触れて体感することで、お客さまそれぞれの事業領域に引き寄せて着想もしやすくなるでしょう」(木村)
ある程度、未完成の“やわらかい状態”の技術なので「議論の余白」があることもポイントです。
中でも来訪されたお客さまから反応がいいのは「ロボット」。NTTグループは、ロボットメーカーではありませんが、制御技術や周辺システムとの連携における関連技術を多く有しています。ロボットを介したデータ活用もその1つ。また、スマートシティやスマートモビリティなどの文脈で、ヒトとロボットが協働・共生できる社会の実現に向けたビジネス検討も増えております。
他にも、AGC社とNTTドコモが共同開発した「5Gガラスアンテナ」をビルのガラス面に設置していたり、欧州のデータ流通プラットフォーム『Gaia-X』に接続したテストベッド環境のように「GX(グリーントランスフォーメーション)」に関わる検証環境を提供していたり、メタバース空間を活用した「WX(ワークスタイルトランスフォーメーション)」を体験できたりと、さまざまな領域のコンテンツがあります。
人の脳は、多彩な五感を刺激したほうが活性化されるといわれます。OPEN HUB Parkで、やわらかな先端技術に触れることは、少し先の未来に触れることにほかなりません。OPEN HUB Parkではさまざまな技術を見て、触れ、感じることで、思いもよらぬひらめきをごく自然に創発できるよう場を設計しています。
OPEN HUB Parkには、OPEN HUBのコンセプトである “人×技×場” の掛け合わせによる創発を生み出す「きっかけづくり」を担うメンバーもいます。谷村もその1人です。
「ご来訪されるお客さまごとに、この場を使ってどのような議論をしていただくかを検討しています。NTTグループで研究している技術、メタバースやロボティクス、GXといった成長領域でのアセット、すでに他企業と進めている共創事例など、リアルの場だからこそ体感していただけるコンテンツを常に新鮮さをもってご用意できるように心掛けています。これらを個々のお客さまと目指すゴールに応じて毎回オーダーメイドで組み合わせて、リアルの場だからこそできる体験型のセッションを作り上げ議論を誘発することで、お客さまとの共創のきっかけを創出していきます」(谷村)
そのため、カタリストや営業担当者と共に、ご来訪内容をアレンジするためのミーティング回数を重ねて入念に準備。また、1回ご来訪いただいて終わりではなく、共創のテーマを変えての再来訪、芽生えたアイデアを深めるための継続ディスカッション、お客さまとNTT Comのアセットを持ち寄ってアイディエーションするためのワークショップの実施など、さまざまなバリエーションで何度もOPEN HUB Parkを使っていただけるように工夫しているといいます。
「お客さまとどんな社会課題を解決していきたいか、新たなビジネスをどう進めていきたいか、私どもNTT Comに何を期待されているかなど、お客さまごとに状況が異なります。それを1つひとつ丁寧にカタリストや関係者と議論し、リアルの場で過ごしていただく時間を有意義なものにしていきたいと考えています」(谷村)
また OPEN HUB Park に対する、NTT Com社員の関心も高いようです。OPEN HUB Parkの社内向けのプロモーションを担当している古久保はこう明かしました。
「社員もOPEN HUB Parkを訪れるのですが、その反応はとても良いですね。時間が足りなくなるくらい質問もいただき、事後アンケートでも具体的な利用シーンなども挙げていただいて、強い関心を持っていることがうかがえます。お客さまとのビジネスにOPEN HUB Parkを積極的に活用していこうという機運の高まりを日々感じています」(古久保)
そうした営みの結果、OPEN HUB Parkからすでにいろいろな共創の取り組みが始まっています。
その一例が流通小売企業さまとの共創です。すでに通信インフラなどで、NTTグループとは長いパートナーシップを組んできており、OPEN HUB Parkを起点としていろいろな取り組みをしているといいます。NTT Comでこの流通小売企業さまを担当する能登紀喜は次のように語ります。
「私が担当している流通小売企業さまは多くの企業から共創の提案を受けているでしょうし、実際に各社からの提案もあると聞いています。そうしたさまざまな提案を受けても、例えば『メタバースで実際にどんな未来が描けるのか』といったいま一歩踏み込んだ未来像を描いてくれる会社は少ないかもしれないと思い、われわれならOPEN HUB Parkでその一端をお見せできるかもしれませんとお誘いをしてみたんです」(能登)
OPEN HUB Parkを訪れた流通小売企業の皆さまは、そこにあるメタバースや IOWN®、ロボットなどに触れながら、驚くほど幅広いアイデアが誘発されたそうです。
「印象的だったのは、一度OPEN HUB Parkを体験いただくと、その後、会社に戻って他の部署の方を誘って再訪されることです。そして、また皆さまで盛り上がってディスカッションがはじまる。われわれと来訪された方々との共創はもちろんですが、お客さまの中で違う部署やチームのカベを壊して、共創を促すような力がこの場所にはあると思います」(能登)
“人×技×場”を組み合わせて、イノベーティブな共創を実現する「OPEN HUB」。その“場”を担うOPEN HUB Parkは、今後より多彩なゲストを迎えることで、創発、共創を促す装置として機能することを目指しています。
「共創をする上で、NTTグループの“中立性”は強みの1つだと思っています。社会のインフラを支える役割として、特定の産業やグループに特化して仕事をしているわけではありません。だからこそ、さまざまなお客さまと共創ができる。NTTグループが持つアセットとお客さまが持つアセットを互いに持ち寄って、より多くの共創を生み出して行きたいですね」(谷村)
各社、各人が交流し、共創が生まれる稀有な場所にするために――。OPEN HUB Parkはこれからも進化し続けます。
関連記事:「共創とは?求められている背景と3つの種類、得られる効果」
OPEN HUB
ISSUE
Co-Create the Future
あらためて考える、
共創のあり方