2025年7月より、NTTコミュニケーションズはNTTドコモビジネスに社名を変更しました

Smart City

2026.05.15(Fri)

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2558万人の“都市運営”を支えた万博ICT基盤の全貌(前編)
データ連携基盤はなぜ184日間止まらなかったのか

2025年4月から10月にかけて開催された大阪・関西万博は、日本政府が示す未来社会のコンセプト「Society 5.0」を実装する“実験場”として、都市そのものを運営する試みでもありました。期間中、約150の国・地域および25の国際機関が参加し、2558万人が来場。IOWNを活用した先進的な演出などを通じて、来場者は未来社会を体感しました。それを支えていたのが、来場予約や決済、交通誘導、警備、通信、セキュリティといった都市機能を一体的に提供する「見えない基盤」です。この基盤が一瞬でもストップすれば、来場者の体験は成立しません。1日最大22万人が集った巨大イベントを、重大インシデントゼロで184日間支えたICT基盤の全貌とは何だったのか。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(以下、博覧会協会)でICT局を統括した西裕士氏と、データ連携・情報インフラ・サイバーセキュリティの3領域を担ったNTTドコモビジネス 関西支社の高田洋史、下宮範之、神嵜大輔に、プロジェクトの軌跡、そして、得られた知見の都市への展開の手応えを聞きました。

未来都市に必要な通信インフラを構想し実装

「未来社会の実験場(People’s Living Lab)」を掲げ、世界各国のテクノロジーが結集した大阪・関西万博。博覧会協会でICT局局長代行を務めた西裕士氏は、そのコンセプトについて、このように捉えていました。

「単に未来の技術を展示するだけでなく、会場で実際に使っていただき、多くの関係者が共創し、運用をしながら仕組みをブラッシュアップしていく。最終的には社会実装につなげるための場だと考えていました。いわば、半年間という期間限定で誕生したスマートシティです。アプリやID連携により個人情報を扱うため、”ハリボテ”のインフラではなく、実際の都市で使われるICT基盤と遜色ないものが求められました。そこで、会期が終わるまで一切止めることができない高い安定性と信頼性が求められる通信基盤をつくるという基本方針を掲げていました」(西氏)

ICT局が発足した2021年はコロナ禍の真っ只中。そこから2025年の本番までの4年間で、社会や技術の前提は大きく変化しました。

「2021年は、まだ『リアルで万博が開けるのか?』という議論もあった時期で、バーチャル、非接触といった分野が伸びてくるであろうと想定していました。ところが、2023年、2024年とアフターコロナ時代に入ると、リアルへの回帰が始まり、使われる技術も少しずつ変わっていったのです」(西氏)

西 裕士|公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 ICT局局長代行 兼上席審議役 兼担当部長 兼運営統括室上席審議役(2026年3月まで)
1990年に日本電信電話株式会社に入社。設備分野や法人営業、ビジネス開発からソリューション提案、運用、人事・人材開発まで幅広い業務に従事。2021年から博覧会協会 ICT局へ出向した。

アプリケーションであれば、技術の進展に対応した開発を直前まで進めることができます。一方で、難しかったのは、万博でどういった規模のイベントを開催するのかが具体的になっていない初期段階で、情報通信インフラやセキュリティ対策の整備を進めることでした。来場者数や施設数、関連するシステムの数・仕様といった条件とともに、必要なシステムを設計していったと言います。

そのような環境の中、万博におけるデジタル関連の中枢を担ったのがNTTドコモビジネスです。関わった人数は、ICT関連のプロジェクトだけで300名以上。会期中のサポート業務を含めると、全社で1000名以上が関係する大きな機会です。

NTTドコモビジネスが携わった領域は大きく3つ。1つ目は、チケットシステムなどから得られるデータを統合し、顧客情報管理や万博ID管理、各種サービスの連携を行う「万博ICTプラットフォーム」。2つ目は、東京ドーム33個分の敷地に敷設したカメラやスピーカー・LAN・モバイル網などをつなぐ「情報通信インフラ」。3つ目は、世界中からのサイバー攻撃をゼロトラストの概念に基づく外形監視やレッドチームによるサイバー演習によって防御する「セキュリティ対策」です。

これら3領域でリアル・デジタルのICTを総合的に活用し、2558万人の来場者と約150の国と地域をスムーズかつセキュアにつなぎ、184日間の会期を支えました。

NTTドコモビジネスが携わった「万博ICTプラットフォーム」「情報通信インフラ」「サイバーセキュリティ」の概要

システムダウンゼロを実現したデータ連携基盤の設計思想とは

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