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2025.03.06(Thu)
Hyper connected Society
2025.12.03(Wed)
この記事の要約
NTTドコモビジネスは2025年9月、セキュリティ機能を標準搭載したIoTサービス『docomo business SIGN』を12月に提供開始すると発表、執行役員の小嶺一雄が説明しました。2024年にはサイバー攻撃関連通信数が2015年比で約10.9倍に増加し、そのうち約3割はIoTデバイスが標的。IoTデバイスは処理性能の制約からセキュリティが脆弱になりやすく、導入の課題も指摘されていました。
この課題を解決する『docomo business SIGN』は、3つの特長を持っています。1つめは特許取得のセキュリティが標準搭載されていることで、不正通信をネットワーク側で検知し、お客さまが遠隔で遮断できること。2つめは主要なIoTニーズに対応する機能ラインアップが用意されており、低容量から大容量通信、閉域通信、クラウド接続、データ可視化など、多様なニーズに対応できること。3つめはテンプレート機能で、IoTシステムに必要な機能やサービスをテンプレート化することで短期間での利用開始ができることです。
今後はサービスの機能拡大、セキュリティ強化など予定しており、より一層お客さまのビジネスの拡大に寄与できるサービスにしてまいります。
目次

小嶺は、まずIoTデバイスを取り巻くセキュリティの現状について説明しました。
社会インフラや製造現場などでIoTの導入が進む一方、2024年にはサイバー攻撃関連通信数が2015年比で約10.9倍に増加し、そのうち約3割がIoTデバイスを標的とするなど、サイバー攻撃の脅威が高まっています。しかし、IoTデバイスは、処理性能に制約があることからセキュリティが脆弱になりやすい特徴があるといいます。

「IoTデバイスは、サーバーやパソコンと異なり性能が非常に限られています。例えば、小型のネットワークカメラに一般的なサーバーと同等のセキュリティ機能を実装することは困難です。無理に実装すれば電力消費が増加し、部品も増えてコストも上がってしまいます。また、IoT導入全般における課題として『収集したデータを分析したいが、どのようなIoTサービスを使えばよいのかわからない』『IoTシステムを自社で構築しようとすると、設計や導入が複雑で困難』といった声も聞かれます」
さらに、経済産業省は2025年に『IoT機器を開発する中小企業向け製品セキュリティ対策ガイド』を発表しました。このガイドでは、設計段階からセキュリティを組み込む「セキュア・バイ・デザイン」が重要だと強調されています。なぜなら、IoT機器は一度現場に設置されると改修が難しく、後付けの対策では十分な安全性を確保できないからです。
こうした課題を解決できるのが『docomo business SIGN』です。
小嶺は『docomo business SIGN』の3つの特長を解説しました。

1つめの特長は特許取得の脅威検知・遮断機能が標準搭載されていることです。
「ネットワークカメラが乗っ取られ映像が流出する事件や、IoTデバイス自体を踏み台として別の攻撃に使われる事件が実際に起きています。こうした攻撃の背景には、IoTデバイスから悪性サーバーに向かって行われる不正通信があります。『docomo business SIGN』では、不正な通信をIoTデバイスでもクラウド側でもなく、通信ネットワーク側で検知します。そしてそれをお客さまに通知し、さらにその通信を遠隔で遮断していただくことで被害を最小化します」
さらに、IoTデバイスの通信暗号化やなりすまし防止を実現する「IoT SAFE」を2025年度中に提供する予定であることも発表しました。
『docomo business SIGN』として、ネットワーク側でのセキュリティ機能を提供しますが、IoTデバイス側で暗号鍵やなりすまし防止のため証明書を持ってもらう必要があります。
「『IoT SAFE』により、IoTデバイス側に証明書や暗号鍵を格納する必要がなくなります。SIM側で遠隔で暗号鍵や証明書を遠隔で自動設定する、IoTデバイス側での設定が不要となり、IoTシステムをすぐに立ち上げることが可能になります。」
2つめの特長は、主要なIoT化のニーズに応える機能ラインアップが用意されていることです。
「IoTシステムの構築は、機能・サービスの選択肢が多く様々なパターンや設定が考えられ、非常に複雑です。この『選択肢が多すぎる』という課題に対し、『docomo business SIGN』では、IoT化に必要な実績豊富な機能がポータル上に用意されているため、ここから選択して利用することが可能です」
「自動車の位置情報を活用したシステムの立ち上げ」を例として『docomo business SIGN』の機能ラインアップについて解説しました。

「まずモバイル通信で、低容量から大容量通信まで選択できます。例えば位置情報を送るだけであれば、低容量の安価なプランで十分です。次に、ネットワークセキュリティは標準で付いています。その後、通信方法を選択する段階で、インターネットをそのまま利用することもできますし、閉域通信でVPNを構築することも、クラウドに接続することもできます。
さらに、データ活用先として、センサーデータの可視化、モビリティデータの可視化、映像処理などのメニューが準備されています。こういった機能をポータル上で申し込むことも可能です」
続いて、3つめの特長としてテンプレート機能を紹介しました。
「IoTサービスは、システム設計が複雑でサービス毎の設計が必要なため、システムの利用開始までに費用も時間もかかることがネックです。そこで、『docomo business SIGN』では、機能設定のいくつかの標準的なパターンをテンプレートとして提供することで、短期間で利用を開始できます。もちろん、利用開始後にユーザー側でパラメーターを調整することも可能です」

次に小嶺は、『docomo business SIGN』の2件の想定ユースケースを紹介しました。
1件目は、駐車場設置機器の遠隔集中管理です。昨今、無人の有料駐車場が増えています。しかし駐車場には、車の入出庫を管理する機能や、決済機能を持つ機器、監視カメラなどのIoTデバイスが数多く設置されています。ネットワーク側からの様々な攻撃も考えられる上、無人であるがゆえに夜間に人が侵入して、デバイスに直接的な不正行為が行われる可能性もあります。
「『docomo business SIGN』では、こうしたIoTデバイスが不正な通信をしていることがあれば、それをネットワーク側で検知して遠隔で通信を遮断していただくことができます。これまでは不正通信に気づいたとしても、実際に現地に行かないと通信を停止できないといった問題がありましたが、遠隔操作により迅速な対応が可能です。これにより、コストやリスクを最小化することができます」
想定ユースケースの2件目は、太陽光発電システムの安全運用です。郊外の広い土地に設置されている太陽光発電システムを例に取り、そのリスクと課題を解説しました。
「実際の事例として、太陽光発電システムを管理するためのコンピュータ機器が乗っ取られ、意図せず他社に攻撃を行ってしまうケースが存在し、損害やレピュテーションリスクが発生しています。さらに、昨今の銅線価値の高まりにより、ケーブル自体が盗難される事件も多発しています。対策として監視カメラが設置されていますが、監視カメラの運用には24時間体制の監視コストが発生します。『docomo business SIGN』ではネットワークセキュリティに加え、分析機能として提供する映像処理機能により、物理的な侵入検知も可能です」
説明会の終盤、小嶺は今後の展開について説明しました。
「まずは、『確かなIoTを、もっと手軽に。』というコンセプトで、『docomo business SIGN』を12月から提供いたします。今後も進化が見込まれるサイバー攻撃に対し、セキュリティ機能の強化をするとともに、機能ラインアップの拡大を予定しています。また、将来的にはAI活用を強化して、企業のIoT活用を“守る”だけでなく、“ビジネスを加速させる”存在として、お客さまへ貢献してまいります。」
NTTドコモビジネスは、注目が集まるNaaS領域において、『docomo business SIGN』をはじめとする多様な商材・取り組みを通じて、AI時代の企業成長を支えるAI-Centric ICTプラットフォームの実現に向け、着実に歩みを進めています。
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