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2025.03.06(Thu)
Generative AI: The Game-Changer in Society
2025.08.27(Wed)
この記事の要約
NTTドコモビジネスとエクサウィザーズが資本業務提携を通じて、20種のAIエージェントを活用した業界別ソリューションの提供を開始すると発表しました。
この取り組みでは、NTTドコモビジネスのセキュアなインフラ基盤とエクサウィザーズのAI技術を融合し、企業の生産性向上を目指します。特に「業界・業務特化」「人との協働」「セキュリティポリシーとの整合性」を重視し、現場の社員が自らAIエージェントを活用できる環境の構築を進めています。
20種のAIエージェントは情報検索、コミュニケーション、文書作成、データ分析、業務自動化の5つのカテゴリに分類されています。具体例として、製造業界向けの特許出願プロセス自動化や、金融業界向けのセールス業務支援が紹介されました。
今後は2026年までにエージェントを200種に拡張し、各業界の専門性の高い領域への展開を計画しています。単なる技術提供を超えた、実際の業務課題解決に焦点を当てた実用性重視のアプローチが特徴です。
※本要約は生成AIをもとに作成しました。
目次
NTTドコモビジネス執行役員でビジネスソリューション本部スマートワールドビジネス部長の福田亜希子は、「私どものビジネスの基盤であるセキュアなインフラの上で、AIエージェントをソリューションとして提供していく」とAIエージェント戦略における根幹を語りました。
多くの企業では、生成AIの導入に対してセキュリティポリシーとの整合性が大きな懸念となっており、特に金融業界や製造業では機密性の高い情報を扱うため、セキュリティ要件は極めて厳格です。NTTドコモビジネスは、ネットワークからデータセンターまでを包括するインフラ事業の経験を生かし、企業ニーズに応える安全な環境を提供します。
福田氏によると、NTTドコモビジネスのドメイン知識や顧客基盤などの事業アセットと、エクサウィザーズのデジタルやAI領域におけるケイパビリティーを組み合わせることで、業界・業務に特化したAIエージェントの共同開発や、セキュアなAIプラットフォームの開発を行っていくといいます。この提携により、単なる技術提供を超えた包括的なソリューションの展開が可能になります。
続いて登壇したエクサウィザーズ代表取締役社長CEOの春田真氏は、同社が2016年の設立以来追求してきた独自の事業戦略「AIぐるぐるモデル」について説明しました。社員約600名を擁する5つのグループ会社で構成され、2021年にグロース市場に上場している同社の戦略は、個社の課題解決から始まり、業界全体の課題発見、そしてプロダクト・サービスへの展開という循環を描くというもの。
「個社別の課題を解決していくと、その中でAIのモデルが蓄積でき、その間に得られたデータなども増えていく。そうすることで業界全体における課題解決につながっていく」と春田氏は説明します。
当初はディープラーニングを使った課題解決からスタートしましたが、なかなかプロダクト・サービスへの移行が思うようなスピードで進まなかったといいます。しかし、生成AI技術の進化により状況は一変。「生成AIが登場してからプロダクト・サービス化できる領域が増え、お客さまにも使っていただけるようになった」と春田氏は振り返ります。
企業が直面する生産性向上という課題に対して、春田氏が強調したのは、現場の社員が自らAIエージェントを活用できる環境の重要性です。「多くの会社では、システムやデータ周りへのアクセスが情報システム部門等々で別扱いになっていることが非常に多い。現場の人間がそれらに直接触れたり、分析したりできるという環境は非常に稀です」
こうした課題に対して、エクサウィザーズは自社開発のAIエージェント提供、個別開発、そして顧客が自らエージェントを作れる環境提供という3つのモデルを用意しています。
特に注目されるのは、「exaBase Studio」と呼ばれる独自のAIエージェントプラットフォームです。これにより、これまでエンジニアのみが行っていた設計・開発フェーズに、現場業務に精通した事業部門や経営者なども参画でき、セキュリティ要件も満たすインフラ基盤の実現が可能になります。
講演の終盤で春田氏は、各業界・業務ごとに個別に使いやすいAIエージェントを用意していくことの必要性を訴えると同時に、AIエージェントの活用が進むことで「今後、社員自らが『自分がやるべきことは何か』ということに突き当たっていく。それによって自分らしい働き方や、会社が求める社員の働き方が、どんどん変わっていく」として、単なる業務効率化を超えた働き方改革の可能性を示唆しました。
次に、NTTドコモビジネス ジェネレーティブAIタスクフォース長の荒川大輝は、現在の生成AI活用における課題は「業界・業務の専門性への対応」「AIへの信頼性と適用範囲の判断」「企業のセキュリティポリシーとの整合性」にあるとし、これらの課題に対応するため、NTTドコモビジネスが提供する20種のAIエージェントについて説明しました。
提供にあたって重視したのは、第1に「業界・業務特化」であること。荒川によれば、業界・業務特化においては、「業務プロセス」と「業界の知識・ノウハウ」の2つのポイントが重要になります。各社各業界、それぞれプロセスが大きく異なるため、これを生成AIがいかに理解できるようになるか。また、業界の専門知識や独自のノウハウをどうやってインプットしていくのか。そして、それを踏まえて企業ごとにどのようにカスタマイズしていくのか。こうした課題の解決が成功の鍵を握ります。
合わせて重視されたのが「人との協働」。「AIにすべてを任せたり、AIを操ったりする世界観ではなく、AIが人に寄り添っているような世界観の実現を目指す」と荒川は説明します。さらに、NTTドコモビジネスが持つネットワークとデータ基盤、セキュリティソリューションといった信頼性の高い技術で構成するAI基盤によって、セキュリティポリシーに適合したサービスを実現します。
20種のAIエージェントは、単純に個別開発されたものではなく、5つのカテゴリに分類。第1のカテゴリーは情報検索で、「単純に検索するだけではなく、取り組みたい課題や業務に対して、どういう検索をかければいいのか」を半自律的にエージェントが考える機能を持ちます。社外の情報も社内のナレッジも、複数の場所に置いてある情報を、取り組みたい事柄に対してどういう順番で、どういう情報を結び付ければいいのかを判断します。
第2のカテゴリはコミュニケーション。プロジェクトを進めていく上で人間同士が行う会話と同様に、AIとの協働においても前提条件を共有し、しっかりとAIと人が会話するシーンを作ることが重要になります。
第3のカテゴリは文書作成で、提案資料、マニュアル、各業界の申請書類など、それぞれの業務の特性に特化したエージェントを用意しています。
第4、第5のカテゴリとしては、データ分析や業務自動化の機能も含まれており、これらを組み合わせることで各業界・業務の特性に最適化された成果をアウトプットすることが可能になります。
荒川は具体的な活用例として、製造業界向けの知財文書作成支援を紹介しました。特許出願は、アイディエーションから始まり、社内の知財情報や社外の出願済み特許情報のリサーチ、そして最終的な申請書類の作成まで、極めて専門性の高い業務プロセスを含みます。
デモンストレーションでは、特許のアイデアを入力すると、AIエージェントが特許になり得るポイントを自動的に抽出し、どこに重きを置くかを人と対話しながら決定していく様子が示されました。AIが自律的に作業を進める一方で、重要なポイントでは人が判断し、軌道修正を行う仕組みが組み込まれています。
出願済みの特許との重複がないかなど、社内外の情報をチェックし、最終的には特許出願に必要な申請書を、既定のフォーマット通りにアウトプットします。経験が必要とされてきた特許出願業務をAIエージェントが支援し、エージェントと会話するだけで誰でも簡単に実行することができます。
もう1つの具体例として示されたのは、金融業界向けのセールス業務支援です。このソリューションでは、顧客との面談内容を音声データとして取得し、要約しながらクラウド上にデータを蓄積します。蓄積された面談データや提案履歴、該当企業の財務情報などを分析し、複数のエージェントが情報を連携しながら最適な提案を導き出します。
プロセスは段階的に進行します。まず、業務ヒアリングエージェントが面談結果のサマリーからニーズを抽出し、人と対話しながら効果的な提案ができそうな内容を検討します。次に、セールスデータ分析エージェントが過去の商談内容や財務情報をもとに分析を行い、提案の方向性を明確化します。最終的に、提案資料作成エージェントが動いて、過去の提案書等も参考にしながら、次回提案の骨子やポイントを自動生成します。
「最終的にはここから、各企業のフォーマットに合わせて、スライドなどの資料に落とし込んでいきます。AIエージェント市場はこういったことも当たり前にできる状況にあるのです」と荒川は説明しました。
さらに荒川は、現在の20種あるエージェントを200種へと拡張していくロードマップを示し「20種ではまだまだ足りず、2026年には10倍に増やし、各業界・業務に展開できる幅を広げていきたい。単純にエージェントの数を増やせばいいのではなく、製造業における熟練技術の継承や、金融業における融資審査のような、多様で専門性の高い領域への展開を計画しています」と語りました。
説明会終盤での質疑応答では、他社のAIエージェントとの差別化や優位性について問う質問がなされました。荒川は「各企業のユースケースや状況に合わせ、『SeCIHI』『chakoshi』といった技術によって企業のセキュリティポリシーを考慮しつつ、docomo business RINKなどの柔軟なネットワーク接続やIOWNなどの光技術による低消費・分散型環境、Green Nexcenter®のような、堅牢で高セキュリティなAIデータセンター、SDPF(Smart Data Platform)といった柔軟かつセキュアに利用できるクラウド基盤など、さまざまな技術を組み合わせた環境の提供ができる」という点に大きな優位性があると回答しました。
今回の説明会では、NTTドコモビジネスとエクサウィザーズが目指すAIエージェント事業が、単なる技術的な先進性の追求ではなく、企業が実際に抱える業務課題解決に焦点を当てた実用性重視のアプローチをとることが明らかになりました。
企業の生産性向上が喫緊の課題となる中、こうしたAIエージェント技術が真の意味で企業変革の触媒となるかどうか、今後の展開が注目されます。
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