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2025.03.06(Thu)
この記事の要約
ドローン業界では、目視外飛行が可能になるレベル4飛行の解禁や、補助者配置などの制限が緩和されたレベル3.5飛行により、大きな進展がありました。能登半島地震では、これらの規制緩和によりドローンを活用した被災地支援が実現しました。
しかし、多数のドローンが同時に飛行する状況では、安全管理と効率運用のためのシステムが必要です。そこで「UTM(UAS Traffic Management)」と呼ばれるドローンの交通管理システムの整備が進められています。日本は、このUTMの機能構造について国際規格(ISO)の採択に成功しました。
UTMが実装されれば、ドローンの位置情報や飛行計画などがリアルタイムに共有され、安全かつ効率的な運航が可能になります。これにより、物流や災害対応など様々な分野でドローン活用が進み、人手不足や買い物難民などの社会課題解決にも貢献すると期待されています。
※本要約は生成AIにより作成しています。
――まず、ドローンにおける直近の大きな話題として、レベル4飛行が解禁されたことが挙げられます。この解禁が、ドローン業界にどのような動きをもたらしましたか。
高田啓介(以下、高田):レベル4解禁における法整備によってドローンの目視外飛行、つまり「人がいる場所の上空で、人の目で見ることなく飛ばすこと」が可能になりました。それ以前のレベル3では、まだ目視外飛行は無人地帯でのみで可能だったので、大きな進歩です。
しかし、レベル4の規定を満たし、目視外飛行を実行できるドローン機体がまだ市場にほとんど無いというのが現状のため、レベル4飛行は実証実験のフェーズであると言えます。
――翌年に解禁されたレベル3.5飛行についてはいかがでしょうか?
高田:とても大きな前進だと思います。レベル3.5では、レベル3で義務づけられていた補助者の配置や立て看板の設置、道路横断前の一時停止等の立入管理措置が緩和され、一定の条件を満たしたドローンによるカメラで、無人地帯であることを確認できれば目視外飛行できるようになりました。
銭谷彰氏(以下、銭谷氏):レベル3.5の解禁は大きな前進でした。ドローン活用において省人化は大きなメリットのひとつですが、これまでのレベル3ではドローンを飛ばすことで逆に人員を増やす必要があったわけです。
レベル3.5によって、特にドローンで荷物を運ぶ物流領域での実装が現実味を帯びたように思います。実際、ドローンメーカーである我々も、大手物流事業者と共同で、輸送ドローンの社会実装に向けた開発を進めています。
――イームズとNTT Comは、2024年1月1日に発生した能登半島地震において、ドローンでの被災地支援に参画されました。その際も、レベル3.5飛行の解禁があったからこそ実現できた支援だったのでしょうか?
銭谷氏:そうですね。我々は能登半島地震では災害直後から石川県庁のDMAT(災害派遣医療チーム)調整本部に入り、災害支援を開始しました。ドローンを使った港湾地域の被災状況の確認や、学校グラウンドの空撮による仮設住宅設営可否の確認などの支援を行っています。
これらは自衛隊や県のヘリコプターでも可能ですが、スピードとコスト、小回りの良さはドローンが勝ります。特に沿岸部には、被災によって道がふさがって車両が入れない場所などもあり、ドローンの目視外飛行が生きたシーンでした。NTT Comの技術と知見がなければ難しかった面もありましたね。
高田:今振り返ると、震災直後は情報が錯綜しており、現地入りすることでイームズさま含めドローン事業者さまと連携することができましたが、平時から官民含めた関係者との訓練や情報連携の必要性を痛感しました。
特に沿岸部などでは、道路が陥落しており車も人も立ち入れない場所がありました。ドローンにおいては、こういった場所だからこそ被害状況の確認を求められ、目視外飛行に必要となる操縦やリアルタイムの映像を伝送するために、沿岸部を中心とした上空のLTEの電波状況をドローン事業者さまに共有し、飛行可能地域の情報を提供させていただきました。
銭谷氏:一連の支援活動のなかで実感したのが、機体の機動力だけではドローンの活用は成立しないということ。情報連携の基盤があるからこそ、ドローンのポテンシャルが発揮されるということを体感できました。
――NTTデータでは、レベル3.5解禁後の状況をどうお考えですか?
羽鳥友之(以下、羽鳥): 目視外飛行の申請が簡素化されたことによって、点検や物流といったユースケースを中心にさまざまなドローン飛行が増えてきていると聞いています。特に、各地の自治体やドローン事業者が進めているドローン物流の実証がこれまでより頻繁に行われるようになってきていると認識しています。
ドローン関連のビジネスがもっと産業として活性化していくためには、まずは多くのドローンが飛行できる環境を用意し、それによって多くのサービスが生まれ、広くユーザーに利便性や豊かさを実感していただくことが不可欠です。現在はまだ実証の位置づけの取り組みが多いと思いますが、ユーザーのニーズが高まり、フライトの数が増えれば、機体の生産コストや1フライトあたりのランニングコストを下げることが可能となり、事業化につながっていく流れができると期待しています。
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