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2024.10.11(Fri)

「失敗の質」に成功アリ。
佐久間宣行流、仮説から生み出すビジネス成長の秘訣

#データ利活用 #イノベーション #共創
事業を構想し実現していくプロセスにおいて、「型にはまった発想から抜け出せない」「社内の巻き込みがうまくいかない」といった悩みを抱くビジネスパーソンは少なくありません。今回、そんな悩みにテレビプロデューサーの佐久間宣行氏が答えるイベント「アイデアを生み出し、形にしていくこととは」が、2024年9月4日にOPEN HUB Parkで開催されました。

第1部では「ヒットメーカーの発想法、佐久間流企画術とは?」と題し、実体験にもとづく企画立案のコツを佐久間氏がプレゼン。第2部では、OPEN HUB代表の戸松正剛とのクロストークを通じて、佐久間氏が参加者から寄せられた質問に回答。本イベントの様子をレポートするとともに、本記事の最後で当日のアーカイブ動画と、次回イベント「『価値創造』のこれから データ×感性=『価値創造』の答え合わせ」の詳細をご案内します。

この記事の要約

テレビプロデューサーの佐久間宣行氏が、アイデア創出と実現のコツを語るイベントが開催された。

佐久間氏は、メディア分断時代に対応するため、各メディアに適した仮説を立てることの重要性を強調。自己理解と周囲からの認識把握、独自の「原液」となる強みの確立、企画を通すためのKPI設定などを提案した。また、仮説と検証のプロセスを重視し、「失敗の質」を上げることの大切さを説いた。

クロストークでは、データとクリエイティブのバランス、常識にとらわれないアイデア創出、チームビルディングについての質問に回答。仮説にもとづく分析力と柔軟なチーム構成の重要性を強調した。

※この要約は生成AIをもとに作成しました。

目次


    会場となったOPEN HUB Parkのほか、ライブ配信にも多くの参加者が集った本イベント。開催の背景について、OPEN HUB代表の戸松正剛はこう話します。

    「いつも同じようなアイデアしか浮かばない、企画を立ててもなかなか通らない。こうした悩みを持たれている方は業界や職種を問わず、多くいるのではないでしょうか。

    そこで今回は、テレビプロデューサー、演出家、作家、ラジオパーソナリティと多方面で活躍されている佐久間宣行さんに『アイデアを生み出し、形にしていく』ためのヒントをお聞きすべく、本イベントを企画しました。この場で得た気づきを、ぜひ明日から役立ててもらえたらうれしいです」

    戸松正剛|NTT Com ビジネスソリューション本部 事業推進部 マーケティング部門 部門長
    OPEN HUB for Smart World 代表
    NTTグループ各社にて、主にマーケティング/新規事業開発に従事。米国留学(MBA)を経て、NTTグループファンド出資のスタートアップの成長/Exit支援、Jリーグ他プロスポーツ業界とのアライアンスなどを手掛ける。2021年OPEN HUB for Smart Worldを設立、代表に就任。マーケティング部門長を兼任し、ABM、デジタルマーケティング、インサイドセールス、カスタマーサクセス、セールスイネーブルメント、会員コミュニティ等、B2Bマーケティング全般を統括

    なぜ“仮説”が大事なのか。ヒットメーカーが解析する、「メディア分断時代」の仕事論

    1999年にテレビ東京に入社した佐久間氏。数々のヒット番組を生み出し、2021年4月からはフリーランスとして自身のYouTubeチャンネルの企画・出演・プロデュース、初のビジネス書『佐久間宣行のずるい仕事術』を出版するなど活躍の場を広げています。

    さまざまなコンテンツを手がける中で、佐久間氏は強烈に感じていることがあると話します。

    「今、私たちはメディアが分断する時代に突入しています。テレビ、ラジオ、配信、YouTube、書籍とさまざまなメディアの仕事をしていますが、それぞれにファンがいて横のつながりはほとんどありません。例えば、人気YouTuberがテレビやラジオに進出すると、ファンは『YouTubeを踏み台にした』と思って応援しなくなるし、『テレビでご存じの……』という雰囲気をYouTubeに持ち込むと、再生回数は伸びなくなる。6年続けているラジオにも独特の文化があって、『佐久間のつくっているコンテンツは知らないけれどラジオパーソナリティとしては好き』という方が多いのです」

    佐久間宣行|テレビプロデューサー/演出家/作家/ラジオパーソナリティ
    1975年生まれ。福島県いわき市出身。テレビ東京のプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ピラメキーノ」などを担当。2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを担当。2021年3月末にテレビ東京を退社。YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』を2021年7月に開設し、登録者数は224万人(2024年9月18日現在)。2022年4月には初のビジネス書「佐久間宣行のずるい仕事術」を出版、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」総合グランプリ受賞。現在20万部。このほか、Netflix『トークサバイバー!〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜』『「LIGHTHOUSE」~悩める2人、6ヶ月の対話~』、DMM TV『インシデンツ』など配信コンテンツも制作している

    分断の時代をいかに生き抜くか。佐久間氏が立てた戦略はそれぞれに最適なコンセプト構築/ブランディングを模索すること、つまり「メディアごとに“仮説”を変える」というものです。

    「ラジオでは芸人さんの裏話をしようかと思っていたのですが、そもそも僕がつくっているものを知らないのであれば、まず僕がどんな人間なのかを知ってもらうのが先ですよね。では何を話そうかと考え、最初は自分自身では価値がないと思っていた『おじさんで、家庭持ちで、サラリーマンです』というパーソナルな話をし始めてから、リスナーがぐんと増えました。

    一方、若くてルックスに強みのある人たちが席巻しているYouTubeであれば、不利になりそうなパーソナルの部分では戦わずに、きっちりコストをかけて、テレビで培った企画力とクオリティで勝負しています。

    大事なのは、メディアごとに自分が提供できるものは何か、仮説を立てて臨むこと。YouTubeの中に“テレビをつくる”のは他のYouTuberにはできないので、多くの人の注目を集められるのではないか、そう考えてコンテンツをつくることで、ある程度の結果を出すことができました」

    ひとつの方法論では対応しきれない「メディア分断時代」だからこそ、フィールドごとに異なる仮説を立て、マルチチャネルに対応する。良質なアイデアを生み出すためのカギとなりそうな、佐久間氏の実体験にもとづく“仮説”への考察に、参加者は熱心に聞き入っていました。

    優れた仮説は「失敗の質」を問う。“仮説の立て方”をレクチャー

    フリーランスになる以前は、22年間にわたり会社員生活を続けてきた佐久間氏。どんなに画期的なアイデアも、上司や周囲の理解を得ることができなければ形にするのは難しいもの。仮説を“ヒットにつなげる”ための土台づくりとして重要なのが「自分を知る」ことだと語ります。

    「自分の得意分野や強みを把握するのと同じくらい、『あの人ってこういう人だよね』と周りから認識されているキャラクターを知ることが大事です。自分が思う自分ではなく、他人から見えている自分をどれだけ客観的に捉えられるか。

    組織の中での立ち位置が分かれば、振る舞い方も見えてきますよね。それが自分自身のブランドになり、本当にやりたい仕事ができる環境へとつながります」

    自分の個性を磨き輝かせることで、組織によるサポートが最大化され、さらにはブルーオーシャン創造の切り口にもなる

    「営業でも企画でも、どんな仕事においても『これが自分のやり方だ』といえるものを持っておくことが大切で、例えばジンのような強いお酒はそれ単体で飲むと苦いけれど、いろいろなものを混ぜて割ればおいしいカクテルになりますよね。“自分だけの原液”を持っていれば、違う場所に行った時にも、“自分自身の味”を軸に新しいアイデアを生み出すことができます。

    僕は『お笑いのカルチャーに映画や演劇、音楽のカルチャーを混ぜ合わせる』という原液をつくりました。その原液だけだと味が濃すぎるし、逆にマーケティングだけだと味気ないアイデアしかつくれない。でも双方を掛け合わせれば、仮に失敗してもそれは新しいチャレンジをした結果として貴重な知見になります。こうした知見を積み重ねて“仮説と検証”の質を向上していくことでしか、まだ市場にない新たなコンテンツを生み出すことはできない、そんな感覚があります」

    業界/役職で異なる“発想の悩み”。常識に捉われないアイデアを生み出すには

    続いて第2部では、OPEN HUB代表の戸松とのトークセッションがスタート。参加者から寄せられたさまざまな質問に佐久間氏が回答し、会場はさらなる熱気に包まれました。

    戸松正剛(以下、戸松):1つめの質問はIT業界管理職の方からで、「定量データがあふれている世の中で、データとクリエイティブのバランスをどのように考えていますか?」です。生産性を担保する上でデータドリブンは欠かせない手法ですが、クリエイティビティとデータ分析を掛け合わせてヒットを生んでこられた佐久間さんはいかがでしょうか?

    佐久間宣行氏(以下、佐久間氏):データはもちろん大事ですが、クリエイティブの段階ではあまり意識しないですね。左脳できっちりマーケティングを考えて方向性だけ決めたら、あとは自分が面白いと思うことに重きを置いています。

    戸松:なるほど。逆説的ですが、「自分が面白い」というセンス(右脳)をフィルターとして市場を捉えることができれば、データに新鮮な価値を見出せるし、アイデアに既視感が生じるのも避けられそうですね。

    2つめは製造業界マネージャーの方から、「常識に捉われないアイデアを生み出すための判断基準は何でしょうか? 佐久間さんおすすめの『仮説と検証の方法』を教えてください」。こちらも興味深い質問です。

    佐久間氏:他人の企画に対して仮説を立ててみるのがおすすめです。例えば、大作映画が公開されるなら、この映画はこういう理由でヒットする、あるいはヒットしない、と自分なりの分析と予想を立てて、結果が出るまでしばらくウォッチしてみる。それでもし外れれば、自分の仮説が間違っていたことがわかりますよね。それをいろんなところで繰り返して仮説のつくり方の精度を上げていくと、いざ自分自身の仮説を立てる時に役に立ちます。

    戸松:確かに、そもそも客観的な分析力が育たなければ、自分の仮説の質も向上しないですよね。

    佐久間氏:そうなのです。だからYouTubeでもアニメでも何でもいいので、ヒットした理由は何なのか、自分に関連する業界で当たったものの仕組みを自分なりに理解してストックするようにしています。

    戸松:続いて3つめ、最後の質問です。「良いアウトプットにつなげるためのチーム像とは? チームや協力者との連携で意識していることはありますか?」ということで、総合商社勤務の方からですが、こちらはいかがでしょうか。

    佐久間氏:一人ひとりの良いところを見つけるようにしています。実は人見知りを直すために始めたことなのですが、「この人はここが得意だな」というのを普段から把握しておくと、何か頼むときに「君はこれが得意だからお願いしたい」と言いやすいし、「なんのためにここにいるのか」が腹落ちしていると、人はやる気を出しやすいですよね。これをやり始めてからチームの空気が良くなって、生産性も上がったように感じます。

    戸松:佐久間さんがチームを組む時に気をつけていることはありますか?

    佐久間氏:プロジェクトのフェーズによってメンバーを最適化していくことですね。例えば、新しいジャンルに参入する時ほど、自分と気の合わない、価値観の異なる人を入れるようにしています。「本当にそれでいいのですか?」と物おじせずに言ってくれる人がいないと、視聴者が興味を持ってくれるかどうかを冷静に判断できないからです。

    戸松:良いチームをつくってもうまくいかない時はどう対処していますか?

    佐久間氏:そのプロジェクトにおける“トンマナ”を決めるようにしています。これは違うなというパフォーマンスをしている人がいたら、「それはやっちゃいけないこと。なぜならそれをやると○○が起きて△△になるから」という“やらないルール”を設けていって、そのコンテンツで何を大事にすべきなのかを皆で共有することを心がけています。

    戸松:なるほど。先ほどの「社内コミュニケーションの大切さ」にも関わってくる話ですが、持続的にヒットを生むこととチームビルディングには密接な関係があると思うので、参考にされる方も多いはずです。

    質問は尽きないのですが、今日は“仮説の立て方”をキーワードに、組織の中で個性を発揮しながら事業や企画を実現していく佐久間流の仕事術を学ばせてもらいました。本当にありがとうございました。

    時代を牽引するヒットメーカーの思考に触れ、ビジネスにおいてクリエイティビティを発揮するヒントを模索した本イベント。

    上司や同僚もコミットしたくなる魅力的なオリジナルKPIの立て方など、優れた仮説を結果に結び付けるためのより詳細な講演内容や、ここでは紹介しきれなかった「インプットのコツは?」「うまくいかないプロジェクトのやめ時は?」「リーダーが知っておくべき若手の育成法は?」といった質問への回答でもにぎわった当日のオンデマンド配信は、こちらからご覧いただけます(視聴には無料の会員登録が必要です)。

    EVENT
    有識者に聞く、「アイデアを生み出し、形にしていくこととは」
    ※本ウェビナーは、2024年9月4日にOPEN HUB Parkで開催されたイベントの模様を録画、編集したものです。 OPEN HUB Base特別企画として、エンターテインメントとビジネスの最前線で活躍するテレビプロデューサーの佐久間宣行氏をゲストにお迎えし、「アイデアを生み出し、形にしていくこと」をテーマにイベントを開催しました。 ヒットメーカーならではの発想や仕事術について、クロストークや質疑応答を交えながらお届けします。ぜひご視聴ください。 <このような方におすすめ> ・ビジネスアイデアの発想や実行に課題を感じている方 ・企業の新規事業、イノベーション推進に携わる方 ・メンバーを巻き込んで仕事を進めることに課題を持っている方
    ※本ウェビナーは、2024年9月4日にOPEN HUB Parkで開催されたイベントの模様を録画、編集したものです。 OPEN HUB Base特別企画として、エンターテインメントとビジネスの最前線で活躍するテレビプロデューサーの佐久間宣行氏をゲストにお迎えし、「アイデアを生み出し、形にしていくこと」をテーマにイベントを開催しました。 ヒットメーカーならではの発想や仕事術について、クロストークや質疑応答を交えながらお届けします。ぜひご視聴ください。 <このような方におすすめ> ・ビジネスアイデアの発想や実行に課題を感じている方 ・企業の新規事業、イノベーション推進に携わる方 ・メンバーを巻き込んで仕事を進めることに課題を持っている方

    また、「価値創造のこれから」をテーマに、さまざまな業界で活躍されている有識者をゲストに招いて10月23日に行う次回イベント、「【OPEN HUB×amana】『価値創造』のこれから  データ×感性=『価値創造』の答え合わせ」の詳細と観覧予約はこちら。

    EVENT
    【OPEN HUB×amana】「価値創造」のこれから データ×感性=「価値創造」の答え合わせ
    本イベントは、クリエイティビティで社会に価値提供をおこなってきた株式会社アマナとの共催です。 データサイエンスとクリエイティビティの融合をテーマに、トップマーケターから価値創造のヒントを得たり、生成AI時代にどのように創造性を発揮するべきなのかをワークショップを通して体験できるイベントです。 また参加者の皆さま同士で交流できる機会や価値創造のヒントになるサービスの展示などコンテンツが目白押しです。アマナ経由の参加者いらっしゃるので、普段のOPEN HUBのイベントとは違う出会いもあるかもしれません。 奮ってご参加ください。 <プログラム概要> 第一部 ※希望者限定 14:30-16:00 ワークショップ:生成AI時代の「価値創造」 人間 VS 生成AI からみる創造性のあり方  第二部 ※第二部からの参加も可能 16:30-18:00 講演、クロストーク:「価値創造のこれから」  18:00-19:30 体験会&ネットワーキング ▼こんな方におすすめ ・ビジネスアイデアの発想や実行に課題を感じている方 ・企業の新規事業・イノベーション推進に携わる方 ・有識者の視点をもとにこれからのマーケティングの在り方を考えたい方
    本イベントは、クリエイティビティで社会に価値提供をおこなってきた株式会社アマナとの共催です。 データサイエンスとクリエイティビティの融合をテーマに、トップマーケターから価値創造のヒントを得たり、生成AI時代にどのように創造性を発揮するべきなのかをワークショップを通して体験できるイベントです。 また参加者の皆さま同士で交流できる機会や価値創造のヒントになるサービスの展示などコンテンツが目白押しです。アマナ経由の参加者いらっしゃるので、普段のOPEN HUBのイベントとは違う出会いもあるかもしれません。 奮ってご参加ください。 <プログラム概要> 第一部 ※希望者限定 14:30-16:00 ワークショップ:生成AI時代の「価値創造」 人間 VS 生成AI からみる創造性のあり方  第二部 ※第二部からの参加も可能 16:30-18:00 講演、クロストーク:「価値創造のこれから」  18:00-19:30 体験会&ネットワーキング ▼こんな方におすすめ ・ビジネスアイデアの発想や実行に課題を感じている方 ・企業の新規事業・イノベーション推進に携わる方 ・有識者の視点をもとにこれからのマーケティングの在り方を考えたい方

    OPEN HUBでは、今後もさまざまなビジネスインサイトの提供や、ビジネスアイデアを磨いた先の新規ビジネス共創を目指して活動展開していきます。

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