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Coming Lifestyle
2023.07.14(Fri)
目次
ウェビナーの冒頭では、NTT Com ソリューションサービス部の水野麻美から、ロイヤルカスタマー育成の重要性とデータ利活用のモデルについての講演が行われました。
「近年注目されているロイヤルカスタマーとは、企業の製品やサービスに対して愛着心が高く、継続的に利用してくれるロイヤリティ(忠誠心)の高い顧客のこと。
現在の市場では、既存顧客や潜在顧客が、他社の単発的なキャンペーンに誘導され離反してしまったり、SNSやECサイトで商品を比較し、より安い商品があればそちらを購入してしまったりと、顧客の流動性が高まっています。ロイヤルカスタマーは、長い期間繰り返しサービスを利用してくれるばかりか、自発的に商品やサービスの魅力を周囲の人々に広めてくれるなど、企業のブランド価値や信頼性を高めることにも貢献してくれる非常に貴重な存在です。
企業価値を高めるために、今後より一層の強化が求められる顧客満足度の向上と顧客ロイヤリティの促進。ロイヤルカスタマーを育成するために、NTT Comは以下の2つの要素が重要だと考えています。
1つめは『お客さまを知ること』。 顧客の価値観や行動を把握するために、サイコグラフィックやデモグラフィック、ジオグラフィックなどの観点から顧客情報を収集します。これにより、顧客のニーズや好みを理解し、適切なサービスを提供することができます。
2つめは、『お客さまに仕掛けること』。顧客情報をもとに、ロイヤルカスタマーや似た属性を持つ顧客に対して特別なサービスやプロモーションを企画・実施し、顧客の満足度を高め、ロイヤルカスタマーの形成を促進します。
こうしたデータの利活用を通じて、NTT Comでは次のようなステップによる支援を行っています。
1. 仮説の構築
データ分析を行う前に、明確な仮説を設定します。データの分析・可視化だけで終わることがないように、仮説にもとづいた分析をしっかりと行います。
2. 分析の実施
自社データと外部データの両方を活用しながら、仮説の検証とその要因の分析を行います。データの強みを最大限に活かしながら、顧客行動やパターンを把握します。
3. 実行
結果の分析だけで終わらせることなく、顧客へのアプローチや施策に活用し、ターゲットのロイヤリティを実践的に高めていきます。
これらの3つのステップを共に踏みながら、NTT Comでは企業のロイヤルカスタマー育成を実現することを目指しています」
続いて、アメリカのAmplitude社が提供している顧客行動分析ソリューション「Amplitude」の日本総代理店である株式会社DearOneの石黒氏から、すでに多くの企業がサービス改善に役立てている同ソリューションの活用方法を紹介していただきました。多大な労力と時間が費やされてきたロイヤルカスタマーの分析を効率化する仕組みが語られています。
「Amplitudeの大きな特徴は、誰もが利用できる簡単な操作性と圧倒的な処理スピードです。SQLやPythonなどのプログラミング言語を必要とせず、直感的な操作でデータ分析できるため、作業の手間と時間を大幅に削減することができます。また、ノーコードの分析ツールであることから、これまで分析を行っていなかった人でもデータ活用が可能となり、より広範な環境でのデータ活用が実現できるようになりました。
さらに画期的な特徴は、オンラインとオフラインの行動を会員軸で横断的に分析できることです。Webサイトやアプリを利用するユーザーの行動だけでなく、実際の店舗での購買行動なども分析することが可能に。これにより、ユーザーのクロスチャネルを総合的に把握し、効果的なマーケティング施策を立案することができます。
具体的な実践例としては、マーケティングファネルにおいて初回利用ユーザーの行動を詳細に分析し、改善のポイントを把握することで、ユーザー体験の改善や、ロイヤルカスタマーの増加に関する分析を計るといった活用が可能です。また、ロイヤルカスタマーの行動分析から得た示唆をもとに、ユーザーにとってより価値のあるサービスや特典を提供する施策を立案していくことが可能です。
加えて、マジックナンバーと呼ばれる指標の分析も行うことができます。マジックナンバーとは、特定のアクションをユーザーが何回以上行うとサービスの継続率や収益の向上が期待できるかを示す指標です。例えば、Facebookではユーザーが登録後10日間で7人以上の友達をつくると継続的にサービスを利用する傾向があるとされていますが、Amplitudeを活用すると、そのようなマジックナンバーを素早く導き出すことができます。
以上のように、従来の手法では数日、または数週間かかったさまざまな分析を、Amplitudeを使うことで効率的に、わずかな時間で完了することが可能になるのです」
続いて、実際のユースケースの紹介を通して、施策も含めたより具体的な活用方法が示されました。
「ファッションECサービスにおける事例では、購入金額上位2割のお客さまをロイヤルカスタマーとして定義し実際に調査した結果、月間の購入金額が8,500円以上のお客さまが全体の2割を占めていることが分かりました。このロイヤルカスタマーを対象にクラスター分析を行い、彼らの行動パターンを分析したところ、ロイヤルカスタマーはカート機能を活用しており、特に『あとで買う』というボタンを通常の顧客よりも20倍以上クリックしていたそうです。
そのほかにも、カートに商品を入れたり削除したりするなど、積極的に商品を出し入れしていることが把握できたことから、『あとで買う』ボタンの利用に着目し、メールマガジンなどでの発信を通してほかのユーザーにもボタンの利用を促す施策が行われました。
また、コーヒーチェーンの事例では、1日の時間帯における来店データの分析が行われました。全体のユーザーとロイヤルカスタマーの来店数を比較した結果、ロイヤルカスタマーは朝に多く来店していることが分かりました。具体的な購買パターンとしては、平日の朝にコーヒーとホットドッグのセットを購入する傾向が見られたため、通勤や通学時に利用されることを想定し、朝ごはんを提供するキャンペーンを実施されています。
こうした分析と施策の結果、ファッションECサービスではコンバージョンレートが7倍に改善。コーヒーチェーンではアプリに現金チャージ機能を導入し、登録率が7.5%向上しロイヤル化が進んでいます。
さらに、ある不動産関連の企業では分析の工数を90%削減できたと喜びの声をいただきました。Amplitudeの活用によってユーザーの行動を理解し、顧客の体験価値向上につながる先行指標をもとに改善策のPDCAを高速で回し、リテンション向上や顧客ロイヤル化に導くことができることが明らかになりました」
セミナーの終盤には、NTT Comが実施しているロイヤルカスタマー育成のためのデータ利活用の支援策について、NTT Com ソリューションサービス部の中橋京子が解説しました。
「セミナー冒頭に述べられたデータ利活用の3ステップですが、それらを実行する際、ステップごとに悩みが生じることが多々あります。そうした企業の悩みを解決するため、NTT Comではロイヤルカスタマー創出ソリューションを提供しています。
『STEP1:仮説立案』では課題の洗い出しから検討するワークショップの開催、KPIやミッションの整理を通したデータ利活用のテーマ選定や仮説構築の支援など、全体的な指針を立てることで分析の目的を明確にします。
『STEP2:分析』で取り組むのは、社内のデータが整っていないという問題です。この問題に対しては、社内においてお客さま起点でデータを管理し、分析しやすい環境を整えること、さらに外部データを活用することを提案しています。
NTT Comは約9000万人のdポイントユーザーや基地局からの位置情報など、ドコモグループならではの新鮮かつ精緻な独自データを統計データとして提供することが可能です。これまでに、三井不動産や三井不動産商業マネジメントとの販売促進、JR東日本クロスステーションとのエリアマーケティングなど、ドコモデータを活用した実証実験を多数実施し、分析の幅を広げることに貢献しています。
『STEP3:実行』では、分析結果を踏まえてロイヤリティを高めるための最適な場所、タイミング、チャネルでのサービス提供を検討します。
実際にあった事例では、高額商品を扱っている企業を対象に、長期的なロイヤリティを高めるための営業的な仕掛けの重要性を仮説として立て、ロイヤルカスタマーをステージとして定義し、ステージの上昇トリガーや早期ステージアップを促す特徴を分析し、顧客の解像度を向上させました。
実行フェーズでは、ステージを進めるための営業活動をサポートするツールの検討や、その効果をモニタリングする仕組みの構築を行っています。また、地域ごとに顧客の特徴があることも分析結果から明らかになり、地域属性に関する仮説立案も行いました。これにより、販売戦略の検討など、事業所単位でのデータ活用範囲が広がると期待されています。
このように、NTT Comでは3つのステップにおけるつまずきやすい点をカバーし、効果的な施策の実現のサポートに取り組んでいます。これまでに流通、小売、運輸、旅行、不動産、ハウスメーカーなど、さまざまな分野におけるロイヤルカスタマーの育成に協力し、アプリ会員の特徴やほかの観光地との比較、ブランド把握など、企業の多岐にわたるニーズに合わせた解決策を提供してきました」
今後、さらにその重要性が増すことが予想されているロイヤルカスタマーの育成。NTT Comでは、データや仕掛けづくりの支援を行うノウハウをより積極的に提供していきます。
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