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vol. 02

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気候変動や宇宙を疑似体験。生活をアップデートするメタバース事例最前線 後編

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これまでゲームをはじめ、エンターテインメントやNFT取引で広がりを見せているメタバース。2030年までに全世界で約1兆6,071億ドル規模に拡大すると見込まれており、今後はビジネスや教育などの社会活動で、より一層利用が進むと注目されています。そこで本記事では、国内・海外の企業の取り組みの中から、私たちの生活をアップデートするメタバース活用事例をご紹介します。

VRを通じて環境問題に真剣に向き合う

プラネットシティVR(Planet City VR)は、全人類の未来人口に相当する100億人の人口を収容可能とする仮想都市。オーストラリア出身の映画監督で建築家のリアム・ヤング氏により、VRを活用したサイエンスフィクションを通じて将来起こりうる環境問題に対する警鐘を鳴らすために開発されました。

ヤング氏は、世界で最も人口密度が高い都市であるフィリピンのマニラにインスパイアされて仮想空間上にプラネットシティをデザインしました。アメリカ各州の平均面積と同程度の大きさの土地に最大100億人が暮らす設定にしています。

プラネットシティの参加者は街を見上げたり、建物の窓から中を覗いたり、あるいは建物の間を歩くことも可能に。荒廃が進行する都市を眺めながら、人類はどうしたら気候変動などの環境問題を解決できるか思考実験ができるよう設計されています。

またプラネットシティ内では、自転車やソーラーパネルなど、現在人類が使っているものを登場させ、現実との結節点を設けてあります。これにより、仮想空間上で発生することはわれわれの近未来に起こりうる「現実」になると喚起しています。気候変動などの環境問題を放置し続けた場合、われわれが住まざるを得なくなる場所はプラネットシティになるのかもしれません。

“いまの宇宙”を疑似体験

©KIBO宇宙放送局

「THE ISS METAVERSE」は、バスキュールがJAXA(宇宙航空研究開発機構)の協力の元、バーチャル空間にISS(国際宇宙ステーション)を再現したプロジェクトです。

「THE ISS METAVERSE」では、バーチャル宇宙飛行士になってISSの周りを宇宙遊泳できます。また地上400キロメートル上空の宇宙空間を飛行中のISSのフライトポジション(位置情報)をリアルタイムで収集し、メタバース内で再現。宇宙空間における時間もリアルタイムに反映しているので、宇宙の朝や夜の光景などを眺めることもできます。

さらに他の参加者と会話をしたり、スライドデッキを使って宇宙空間にプレゼンテーション資料を投影したり、動画などをストリーミング配信することも可能に。VRで再現されたISSの各モジュールに近づいて、モジュールの複雑な構造を細かく観察することもできます。

オンラインでのコミュニケーションが一般化した中で、宇宙の神秘や宇宙技術開発の一端に触れながら、ミーティングツールとして活用してみると、いつもと違った新しいアイデアが湧いてくるかもしれません。

アバターを活用した、障がい者の雇用創出

NTTは、2022年2月よりVR空間「DOOR™」において、アバターによるガイダンス業務を開始。オリィ研究所と共同開発した分身ロボット「OriHime-D」のアバターを、障がい者など外出困難な方がパイロットとして操作し、DOOR™を訪れた来訪者に空間内のコンテンツの紹介や操作方法をサポートするなど、来場者とのコミュニケーションを実現させました。

これにより、外出困難な方がVR空間において就労機会を得られ、バーチャルなコミュニケーションを通じた社会参画が可能に。また、アバター同士で音声のやりとりやチャットなどでコミュニケーションをとることもできます。

NTTはこの取り組みを通じて、より多くの人たちに活躍の場を提供し、VR空間におけるアバターの活用を通じた付加価値の創出に取り組んでいます。

メタバースが当たり前の存在になる未来が訪れるかもしれない

私たちの生活をアップデートするメタバースの先進活用事例を3つご紹介しました。地球環境、宇宙空間、障がい者支援という、現実世界におけるニーズや問題意識に基づいた拡張現実空間としてのメタバースの活用が進んでいます。そして将来は、仮想空間に存在する自分のアバターを通じて、買い物や旅行、あるいは教育や医療といったサービスなどを当たり前のように受けられるようになるかもしれません。新しいビジネスの可能性を秘めているメタバースに今後も注目です。

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