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Carbon Neutrality

2025.07.23(Wed)

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GXの鍵を握る「データスペース」。
欧州発のトレンドに日本企業はどう向き合うべきか

GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けて、企業間でのデータ連携はもはや不可欠となりつつあります。そこで注目されるのが「データスペース」──企業や国境の枠を超えて、信頼できる仕組みのもとでデータを共有・活用するための共通基盤です。

すでに欧州では先行してデータスペースの取り組みが加速しています。果たして日本企業は、どのような立ち位置でこの流れに向き合うべきなのでしょうか。

「Green×Digitalコンソーシアム」座長の東京大学大学院情報学環 越塚登教授と、グローバルなデータ連携を担うNTTドコモビジネスの境野哲が、GXと国際競争力を左右するデータスペースの本質に迫ります。

GX実現になぜ企業間データ連携が不可欠なのか

——近年、企業間でのデータ連携を促すデータスペースの構築が必要だと言われています。なぜ今、こうした仕組みが求められているのでしょうか。

越塚登氏(以下、越塚):いくつか理由はありますが、まずはインターネットやIoTデバイスの普及により、データが爆発的に増えたこと。そして、デジタル分野の競争力の源泉がデータのレイヤーになってきたことが挙げられます。

デジタル技術のトレンドは約20年周期で移り変わってきました。1960年代には大型計算機によって世界初のDXが実現され、1980年代になるとマイクロコンピューターが登場し、2000年代はインターネットの時代。そして、2020年頃からはデータとAIの時代になりました。

新しい時代にはその時代に適したプラットフォームが必要であり、データとAIの時代に必要な新しいプラットフォームがデータスペースなのです。

データスペースとは、企業や組織の垣根を越えてデータを安全に共有・活用するための仕組みのこと。必要なときに、必要なデータだけを、許可した相手とだけ共有することができます。データは自社で抱えるだけでなく、連携させることでネットワーク効果が働き、価値が増大しますから。

越塚登|東京大学大学院情報学環 教授
1966年生まれ。1994年に東京大学大学院 理学系研究科情報科学専攻 博士課程修了、2009年には東京大学大学院 情報学環 教授に就任し、現在、一般社団法人データ社会推進協議会(DSA)・会長、スマートシティ社会実装コンソーシアム(SCSI)・理事長、JEITA Green x Digitalコンソーシアム・座長、気象ビジネス推進コンソーシアム(WXBC)・会長など、さまざまな領域の研究を主導する。

境野哲(以下、境野):地球規模の社会課題が出てきたこともデータスペースが求められる理由の1つです。環境問題や人権問題などを解決するためには、企業や産業、国の枠を超えて協力することが欠かせません。

このような社会課題を解決するには、必要な情報を社会の共有財産として、適切な範囲で関係者が活用できるようにする必要があります。例えば、CO2排出量は社会全体で把握していかなくてはなりません。従来のように企業がすべての情報を抱え込んで、自社だけで問題を解決するという時代ではなくなってきています。

——GXの文脈でデータスペースが果たす役割を教えてください。

越塚:GXとデータはとても相性が良いです。なぜかというと、CO2は見えないから。透明で手に持てないCO2の排出量を把握し、管理するためには、データが唯一の手がかりとなります。

製品の原料調達や製造、廃棄までの一連の流れにおけるカーボンフットプリントを測定するためには、サプライチェーンに関わる複数企業のデータ(Scope3)の連携が必須です。

境野:GXを実現するためには、地球上のあらゆる人、モノ、金、エネルギーなどの情報を把握しなければなりません。さらには現状把握だけでなく、100年後、200年後の地球をシミュレーションする必要もあります。これらの実現のためには、データスペースの存在が欠かせないのです。

境野哲|NTTドコモビジネス エバンジェリスト(グローバルデータ連携)
1990年、日本電信電話株式会社に入社後、社内基幹業務システムの開発を担当。1995年に埼玉法人営業部へ異動し、官公庁向けコンサルティング、公共施設建設プロジェクトに携わる。1998年からはNTT再編成プロジェクトで基幹業務システムの更改を、2000年からは異業種協業による新規ビジネスインキュベーションを担当。2004年からは、ネットビジネス事業本部にてネットビジネスのパートナー営業や協業アライアンスなどに携わり、2011年からは技術開発部でエネルギーマネジメント、M2M/IoTソリューションの開発に従事する。このときの知見から2015年にIoT分野のエバンジェリストに任命。現在は、IoTだけにとどまらず、グローバルデータスペースのエバンジェリストとしても活躍している。現職は、NTTドコモビジネス株式会社スマートインダストリー推進室とスマートシティ推進室を兼務。IDSA (International Data Spaces Association) ボードメンバー。

欧州発データスペースの動向

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