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2024.10.02(Wed)
Smart World Now
2025.04.18(Fri)
目次
これまでAR(拡張現実)やVR(仮想現実)などのバーチャル技術を活用し、さまざまなバーチャル体験を作り出してきたNTTグループ。大阪・関西万博では、NTTグループにおけるXR事業分野の中核会社であるNTTコノキューを中心に、バーチャル万博のプラットフォームを提供します。
〜空飛ぶ夢洲〜をキーワードに展開するバーチャル会場は、リアル会場だけでは得られない体験を創造。時間や距離を超え、実際に会場に来ることができない障がいのある方や高齢者、さらには世界中の方々が自由に参加できる、インクルーシブな万博の実現に貢献します。
大阪・関西万博がバーチャルに!?【EXPO 2025 バーチャル万博 ~空飛ぶ夢洲~】
【世界初】バーチャルでのパビリオン体験を実現
2015年のミラノ万博、2020年のドバイ万博でもバーチャル空間の試みは行われましたが、いずれもリアル会場の外観を3Dスキャンし、ウェブブラウザで表示するところまで。実際にパビリオンの中に入り、バーチャル体験を楽しむことはできませんでした。
しかし、今回の「バーチャル万博 ~空飛ぶ夢洲~」は、世界160近い国や地域の出展者と共創して、バーチャル会場用のコンテンツを制作し、それぞれのパビリオンを作り上げていく世界初の取り組みとなっています。
来場者は世界中からスマートフォンなどで気軽にアクセスすることができ、一人ひとりがバーチャル空間で自分の分身である「クルー」と呼ばれるアバターをつくり、大阪・関西万博の世界に。BIMデータ*を活用して3DCGで魅力のあるさまざまなリアル会場の建物が再現されたパビリオン、イベント施設を巡りながら、各出展者が展開するバーチャルならではの展示やイベントを世界中の人々と一緒に楽しむことができます。
※BIMデータ:Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略。コンピューター上で3Dモデルを作成し、建物の属性情報を付加したモデルデータのこと
感情を表現するエモート機能で世界中のクルーと交流
特に注目したいのは、世界中から参加する他のクルーとの出会いとコミュニケーション。14言語に対応した翻訳機能により、来場者は世界中のクルーとの交流が可能です。感情表現豊かなスタンプや、踊ったり、笑ったり、謝ったり、拍手したり、ジャンプしたり、さまざまな動きを表現できる「エモート」機能を使えば、言語の壁を越えた新しいコミュニケーションが生まれるでしょう。
パビリオンで遊び、バーチャル会場独自のイベントやクエストを楽しみながら、その場で出会ったクルーと共に学び、考え、自ら発信し、インクルーシブな未来社会を模索していく。空飛ぶ夢洲では、そんな冒険が待っているのです。
184日間の会期中、バーチャル万博ではさまざまな特別企画が展開されます。
その1つが、世界中から集ういのちを祝うための特別なパレード。万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を表現するこの企画では、クルーや空間内の生き物のアバターたちがバーチャル会場内の「いのちの輝き」を集め、パレードを繰り広げます。会期中、毎月開催され、夜の演出として幻想的なオーロラライティングも登場します。
また、リアル会場と連動した「AR/VR連動企画」も注目です。
万博のマスコットキャラクター「ミャクミャク」が巨大化して出現する特別な演出が、リアル会場のARとバーチャル会場の両方で体験できます。この企画では、夢洲の現地にいる人とバーチャル空間にいる人が同時に体験を共有することができ、リアルとバーチャルの垣根を越えた新しい交流が生まれます。
さらに、リアル会場で連日開催される各国の「ナショナルデー」や「スペシャルデー」のイベントもバーチャル空間に反映され、その国の国旗掲揚や花火など、独自の演出でそれぞれの国や国際機関にスポットを当てていきます。
こうしたバーチャル会場の催しはすべてスマートフォンやパソコン、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の各種アプリケーションとして世界中へ配信され、万国博覧会の新たな魅力を発信します。
バーチャル万博の大きな特徴は、すべてのパビリオンを時間の制約なく、いつでもどこからでも見学できる点です。リアル会場では、どうしても1日に見学できるパビリオンの数が限られてしまいます。しかし、バーチャル空間では興味のある展示をじっくりと楽しむことができるのです。
各バーチャルパビリオンは、リアル会場と同じテーマで異なる演出を展開。NTTパビリオンも、リアル会場とは異なるバーチャルならではの体験を用意しています。また、パビリオンの配置はリアル会場と同じなので、事前にバーチャル万博で下見するようにパビリオンを回っておくと、リアル会場での見学プランを効率的に立てることもできます。
世界中からアクセス可能な大規模なメタバース空間を実現
また、バーチャル万博はより多くの人々に万博体験を届けることをめざし、世界中の人々がアクセスできるよう2025年時点で標準的な端末で快適に動作するシステムを採用。
技術面においてシステムの負荷を抑えながら高品質な体験を提供できるよう、会場を複数のエリアに分割したり、3Dデータの最適化を行ったりといった調整にも力を入れています。
一方、リアル会場にもAIを使って来場者をサポートするテクノロジーが提供されます。
NTTアーバンソリューションズが開発したAIナビゲートアプリ「EXPO2025 パーソナルエージェント」は、多様なデータをAIが分析し、来場者一人ひとりにおすすめの1日のモデルコースを30秒程度で作成。万博を最大限楽しむための頼もしいガイドとして機能します。
未来社会ショーケース事業 デジタル万博「EXPO2025 Personal Agent」 予告動画
パーソナルエージェントは単なる案内機能を超えて、行動経済学の知見を活用した次世代の情報提供を実現。来場者の趣味嗜好や予約状況、当日の天候や混雑状況などをリアルタイムで把握、総合的に分析し、おすすめのパビリオン、イベントをレコメンドします。目的地まで迷うことなく移動するためのルート案内、疲れにくく効率的な動線、次のパビリオンなどの予約時間までの隙間時間での最適な行動の提案も行い、最適な万博体験をサポートします。
また、このパーソナルエージェントは、万博後の街づくりに向けた実験的な取り組みとしても注目されています。来場者から集めた未来社会へのアイデアは、生成AIを活用して集合知として可視化され、将来の街づくりに活かされる予定です。
「わたし」の快適さと「わたしたち」の幸せをつなぐ、新しいデジタルサービスの可能性を示す取り組みとなるでしょう。
バーチャル万博には、リアル会場とは別のもう1つの体験の形として以上に、新しいコミュニケーション空間としての可能性が込められています。世界中の人々が集まり、文化や価値観の違いに触れ、新しい気づきを得られる場。特に、次世代を担う子どもたちにとって、このバーチャル体験が10年後、20年後の未来への希望につながることを期待しています。
メタバースという新しい技術は、パブリックな場としての特性を持ちながら、個人が新しい自分、アナザーミーを表現できる場所でもあります。普段は人前で控えめな人でも、アバターを通じて積極的にコミュニケーションを取れるかもしれませんし、多言語対応によって国境や文化を超えたつながりを結べるかもしれません。
リアルとバーチャル、両方の特性を活かしながら、より多くの人々が参加できる場を作り上げていく。2025年の大阪・関西万博は、そんな未来社会の可能性を世界に示す機会となるでしょう。
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