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2025.05.16(Fri)
Carbon Neutrality
2024.11.27(Wed)
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この記事の要約
この記事では、日本生命、コンサルティング会社のRAYUP、ラグビーチームの浦安D-RocksがJ-クレジットを導入した背景と効果が紹介されています。浦安D-Rocksは、2023〜24年シーズンの1試合において、GHG排出量の可視化とカーボンオフセットを実施しました。RAYUPは、カーボンオフセットに加え、農業支援と環境保護を両立するJ-クレジットの仕組みに共感したといいます。日本生命は、自社の脱炭素化だけでなく地域への貢献のためにJ-クレジットを活用しています。
NTT Comでは、森林由来と水田由来のJ-クレジットを提供しています。森林クレジットは森林の多面的機能の維持にも貢献できると期待され、水田クレジットは環境負荷の高いメタンを削減していることが特徴です。GISやIoTセンサー技術を活用し、データによってクレジットの信頼性を高めています。
各社は今後、カーボンニュートラルの実現に向けて、J-クレジットの活用を拡大し、社会全体の温暖化対策や地域活性化に貢献していく方針を示しています。NTT Comも新たなGX事業の展開を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。
※この要約は生成AIをもとに作成しました
——本日は、気候変動をはじめ環境問題への対策を積極的に行っている皆さまに集まっていただきました。はじめに、注力している取り組みとJ-クレジットを導入した背景をご紹介いただけますか。
岩本昌弘氏(以下、岩本氏):日本生命は「気候変動」「プラスチック問題」「生物多様性」の3領域で環境保護を推進しています。GHG排出の削減については2030年度までにScope1、2※1のカーボンネットゼロ実現を目標に掲げました。事業活動で注力しているのは、第一に省エネルギー、第二に再生可能エネルギー※2(以下、再エネ)の導入です。会社所有の営業車約2,000台についてはEV化を進めていて、全国に1,600以上ある営業拠点ではLED化によって「ZEB ready※3」拠点を増やしています。
最近では、営業所の屋根に太陽光発電設備を設置し、NTTスマイルエナジーさんのオンサイトPPA※4を導入しました。関西の本店ビル群など、敷地内の創電では賄えない分はオフサイトPPAで再エネ由来の電気を調達しています。しかし、地域によってはガソリンや灯油、ガスを使わざるを得ないところもあります。その部分に対して地域の林業・漁業・農業の応援につながるカーボンクレジットを購入してきた、というのがおおまかな経緯です。
※1Scope1:事業者による温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)、Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※2再生可能エネルギー:太陽光、風力、その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用できると認められるもの。法令上は、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱などの自然界に存在する熱やバイオマス(生物由来の有機性資源)が挙げられている
※3ZEB ready:消費する年間の一次エネルギー収支ゼロを目指す建物ZEB(Net Zero Energy Building)認証シリーズのうち、創電がなく、省エネで基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量の削減を実現している建物
※4PPA(Power Purchase Agreement 電力販売契約):敷地内(オンサイト)、敷地外(オフサイト)に太陽光発電設備などを導入し、自社で電力を調達する手法。設備の初期投資を少なく抑えられるだけでなく、卸電力価格の値上がり対策や災害時の非常用電源としても注目を集めている
なぜこれほど脱炭素に力を入れているのかというと、日本生命は日本中の企業に投資をする株主の立場でもあるからです。企業と投資家である私たちが対話を通じて企業価値の持続的な向上を目指す「スチュワードシップ活動」というのがあるのですが、その柱の1つに環境保護があります。企業に環境への取り組みを勧める際に、それが実践されていなかったら説得力がないですよね。まずは私たちが率先して脱炭素を推進することが重要だと思っています。
田中伶氏(以下、田中氏):RAYUPはフードテックやアグリテック、クライメイトテック領域を中心に新規事業の立案と事業拡大、DXを支援するコンサルティングファームです。これらの領域は、食料安全保障や農業の持続可能性、気候変動対策など、社会が直面する課題とも密接な分野です。また、私たちは「三方よし」の理念にもとづいて「売り手、買い手、社会」にとって有益な事業の立案と展開をご支援しています。少数精鋭でスピード感を持ってクライアントをご支援するなかで大切にしているのが、社会や環境にもポジティブな影響を与えていくという点です。
環境負荷の軽減も重要な社会貢献の一環と位置付けて注力しています。自社の取り組みに関しては、オフィスを大規模に構えていないので自社のGHG排出量は現状あまり多くはないものの、少しでも減らせるように非化石証書の対象となる電力の購入や、ペーパーレス化、リモートワークの推奨をしています。
また、自社の取り組みにとどまらず、業務以外の範囲でも社会貢献に取り組んでいます。例えば私がこの辺り(大手町)を移動するときは、NTTドコモさんの電動自転車を愛用しています。小さな一歩ではありますが、こうした環境に配慮したアクションはクライアントにも提案して巻き込みながら実践すれば、より大きな働きかけになっていくと思うのです。NTT ComさんのJ-クレジットも、自社のカーボンオフセットだけでなく、生産者さんにとっては農業経営の安定化、社会にとっては気候変動対策や地域活性化につながるサービスになっていることに共感し購入に至りました。
柳原暁氏(以下、柳原氏):浦安D-Rocksは、千葉県浦安市をホストタウンとしてジャパンラグビーリーグワンに所属するラグビーチームです。気候変動によってスポーツができる環境はどんどん失われていて、海外、特に欧州のスポーツ界では環境サステナビリティの取り組みが急速に進んでいます。私たちも2023年12月に「サステナビリティ宣言」をしました。重点テーマとして「気候変動対策」「循環型経済の実現」「自然環境保護」を掲げ、再生可能エネルギーの導入や調達品の再利用率の向上、環境保護活動などを行っています。
気候変動対策の一環で昨シーズンから行っているのが、クラブチーム運営と主管試合に伴うGHG排出量の可視化です。NTT Comさんの「CO2MOS®︎(コスモス)」を活用し、Scope1、2と3* までを含む主要カテゴリーを算定しました。これは日本のプロスポーツチーム内でも先行的な事例で、サッカーのJリーグでは2027年までを目標としているところ、浦安D-Rocksは2024年3月末に達成しています。そこからもう一歩踏み込んだ取り組みとして実施したのが1試合分のGHG排出に対する森林由来J-クレジットのカーボンオフセットでした。
もう1つ、浦安D-Rocksが大事にしているのがチーム内外の啓発です。うれしいことに浦安D-Rocksの選手たちは環境サステナビリティに対する意識が高いです。私たちは選手がファンに語りかけることによる訴求力は非常に大きいと感じています。ラグビーというスポーツを次の世代も楽しめるよう、選手やファンと一体となって環境を守っていくことも活動のテーマにしています。
* Scope3 : 事業者の活動に関連する他社の排出(Scope1、Scope2以外の間接排出)
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THEME
Carbon Neutrality
#脱炭素