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2024.06.21(Fri)

「人的資本」時代のリベラルアーツ
清水建設とドコモgaccoが語る、次世代リーダー育成とは

#働き方改革 #教育 #イノベーション
不確実性の高い時代といわれる中で変化するビジネス環境に対応し、企業がさらなる飛躍を目指すため、人材育成はこれまで以上に重要度を増しています。求められるのは、未来に対応し、行動を起こす力を持った人材ですが、従来のアプローチでは簡単ではありません。

こうしたなか、注目されているのが「リベラルアーツ」を活用した人材育成です。もともとは一般教養の意味合いで使われる言葉ですが、なぜリベラルアーツを用いることで、従業員を時代に対応した人材へと成長させることができるのでしょうか。

そこで今回は、NTT Comスマートエデュケーション推進室・新高勇飛をモデレーターとし、『リベラルアーツ思考ビジネスプログラム』を開発した株式会社ドコモgacco 代表取締役CEO・佐々木基弘氏、同プログラムへ参加者を派遣した清水建設株式会社 人財イノベーション推進部 主席マネージャー・佐野祐子氏が対談。リベラルアーツを活用した次世代リーダー育成のもつ可能性について伺いました。

目次


    清水建設が抱えてきた「人財」への想い

    新高勇飛(以下、新高):人材育成は近年、「人材から人財へ」「人的資源から人的資本へ」と言われるように企業経営の重要な課題・テーマとなっています。清水建設様では、人材についてどのように捉えられているのでしょうか。

    新高勇飛|NTT Com スマートワールドビジネス部 スマートエデュケーション推進室
    2019年の入社以降、ソリューション提案によるDX推進業務に従事。関西エリアで自治体や教育、医療、民間企業などへのセールス経験を経て現職。社会人向けのリスキリングサービスである「gacco」、12月にサービスリリースされた自律型人材育成プラットフォーム「BoostPark」など、HR領域の事業開発業務に従事している。

    佐野祐子氏(以下、佐野氏):清水建設は1804年に創業し、昨年220周年を迎えました。これだけの長い歴史を刻んでこれたのも、先達が時代の変化に対応して新しい価値を生み出し続けてきた結果だと考えています。

    現在、当社では2030年に向けた長期ビジョンで「事業構造」、「技術」、そして「人財」という3つのイノベーションに取り組んでおり、とりわけ「人財」を重視しています。私が所属する人財イノベーション推進部も、VUCAの時代に対応し、清水建設でリーダーシップを存分に発揮できる人財を育成するために立ち上がった組織です。

    新高:人財に対する経営層の強い思いを感じますね。

    佐野氏:清水建設は総合建設業として建築・土木など建設工事の請負のほか、いずれの事業もお客さまからのご依頼によって成り立つものなので、技術や品質、安全を前提とし、「人が住みたい、使いたい」と感じてもらうものを提供しなければなりません。この「人」への想いは、昔も今も清水建設の従業員に深く根付いています。

    法隆寺や薬師寺の修理・復元に携わった宮大工の西岡常一さんは「木を組むには人の心を組め」と仰っています。この言葉は、私の座右の銘でもあるのですが、どんなにいい木があったとしても、人のコラボレーション、チームワークができていないと社は建てられません。多くの人が関わる私たちの仕事にも通じると思っています。

    佐野祐子|清水建設株式会社 人財イノベーション推進部 主席マネージャー 一級建築士
    清水建設株式会社 設計本部入社。ドイツの設計事務所(留学制度を利用)、経営企画、フロンティア開発、ベンチャーキャピタル業務(シリコンバレー駐在)などを経て現職。シミズグループの持続的な発展に向けて、次世代のリーダー候補者の成長を支援するプログラムの企画、実践業務に従事している。

    新高:今回、清水建設様には、ドコモgaccoの「リベラルアーツ思考ビジネスプログラム」にご参加いただきましたが、参加に至るきっかけとなった人財育成への課題感はどのようなものだったのでしょうか。

    佐野氏:VUCA時代のリーダーシップにフォーカスしたプログラムを2021年度から開始しているのですが、そこで見えてきたのが次世代リーダー候補生の視野が狭くなっていることです。もちろん目の前の業務をこなす、いわゆる「規定演技」は重要です。しかし、答えのないことから新たな価値を見出し、企業価値を向上させる「自由演技」も向上させなければ、清水建設がこれからの100年も選ばれる会社であり続けることはできないのではないかと懸念しました。

    私たちが求めるのは、正解のないことにも積極的に向き合い、自分の軸を持った上でアウトプットができる人財です。そのため、これまで触れる機会のなかった社外と接点を持ち、視野を広げる、視座を高められるような育成プログラムを求めていました。

    リベラルアーツでめざめる「課題設定力」と「関連づける力」

    新高:昨今はビジネスにおける生成AIなどの台頭も話題ですが、やはり人間力も求められるわけですね。佐々木さんは人的資本の観点からどのような課題を感じていますか。

    佐々木基弘氏(以下、佐々木氏):私は以前、NTTドコモの人事セクションに所属していた時に、ジョブ型雇用の検討が進む中、さまざまなキャリアを選択する社員と年間500人以上面談を行ってきました。そしてその過程で、私自身もこの不確実な時代において自律的な人材をどう育成していくべきかの課題に突き当たっていました。

    日本は世界各国に比べると無形資産といわれる人への投資で、大きく後れをとっています。だからこそ、人は消費される「資源」ではなく、投資対象である「資本」として捉え直す人的資本経営が必要だといわれています。ところが、企業人事の方とお話をすると、大変多くの方が人を資本としてどう育てればよいかお悩みでした。

    経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、「イノベーションは0から1を生み出すものではなく、意外なものを2つ組み合わせることで起こる」と唱えています。私はこの「関連づける力」が課題を解決するキーワードだと考えています。

    従来の社員研修では目の前にある課題に対し、きちんと答えることを学ばせていたのですが、それだけだと不確実な時代を生き抜くためには不十分です。そのため、ここ最近のトレンドでは自身で問題を設定して、関連づけ、解決することが求められるようになっていると思います。

    佐々木基弘|株式会社ドコモ gacco 代表取締役社CEO
    株式会社NTTドコモ入社。経営企画、新規事業開発、人事などを経て現職。ドコモgaccoでは「テクノロジーによる学び体験で 誰もが自信をもって 自分の人生を選べる世界を」というパーパスを掲げ、人生100年時代に生き生きと学び続け働き続けられる環境づくりに取り組む。また、インテリアコーディネート事業を展開する(株)ひとてま取締役COOを務める。

    新高:たとえば、独立研究者の山口周さんも「課題解決はコモディティ化しているので、今後は問題発見や問いを設定するスキルが求められる」とお話しされています。これは、まさしくVUCAの時代に求められる人材像の一つの解と言えるのではないでしょうか。こうした中で、ドコモgaccoが提供する「リベラルアーツ思考ビジネスプログラム」では、具体的にどのような問題解決ができるのでしょうか。

    佐々木氏:このプログラムは「ビジネスの実践の場で役立つリベラルアーツ」というテーマで企画・開発しました。具体的には、リベラルアーツとビジネスをうまく結びつけながら、目の前にある課題に向き合うビジネスの実践力を養うプログラムです。まさに、“課題設定をするためのリテラシー”の一つとしてリベラルアーツを学んでいく設計になっています。NTTドコモグループ(NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェア)3社では、すでに2023年春から約150名の次世代リーダーが本プログラムを受講しています。

    プログラム内容としては、3つのプロセスがあります。1つめは受講期間中、幅広いリベラルアーツ講義動画が見放題になります。大学教授や書籍の著者などバラエティに富んだ講師陣による「哲学」「歴史」「社会」「自然科学」の4ジャンル100タイトル以上の講義動画を視聴できます。

    2つめは、リベラルアーツ思考ケースラーニングです。反転学習の手法を用いて、講義動画によるインプットの後に受講生同士でのグループワークを行うことで、答えのない問いに対する考えをアウトプットいただく場を提供します。このケースラーニングが本サービスの肝であり、この体験を経て幅広い領域の事象や視点からビジネスの課題解決のヒントへと“関連づける”リベラルアーツ思考を身につけることを狙っています。

    そして3つめが、リベラルアーツとビジネスをうまく関連づけて役立たせるための学習習慣を定着させるサポートです。プログラム前後に行う50問以上のセルフアセスメント、プログラム終了後のアクションレポート作成などを行います。

    たとえば、「日本の歴史上の人物から学ぶマネジメント失敗事例」という講義動画を見た後に、「あなたがもし関ヶ原の戦いの準備を進める石田三成だったとしたら勝利を得るために何ができたと思いますか?」というテーマでグループワークを行います。

    議論を進めるうちにステークホルダーマネジメント、チームマネジメントの話に至り、「石田三成はデスクワーカーで現場に足を運ばなかったらしい。たとえば、そんなリーダーに人はついてこないかも」などという話の流れで、いつの間にか日本史とビジネスの話が関連づけられていきます。

    答えありきの議論“ごっこ”ではなく、ビジネスの目の前にある課題に対して、もともと持っている自分の知識を総動員して関連づけて、課題に向き合っていく思考訓練を重ねていくわけです。
    ご提案時には、このケースラーニングの風景を佐野さんに見ていただきました。そして、この『リベラルアーツ思考ビジネスプログラム』に、人材交流の機会を加え、社外ネットワーキング拡大、多様な視点の発見を可能にするコース『リベラルアーツ思考ビジネスプログラム-異業種交流スクール』への参加を決定していただきました。

    新高:佐野さんは、どのような点が決め手になられたのでしょうか?

    佐野氏:研修プログラムの検討にあたり、いろいろなサービスを比較したのですが、インプットに重きを置いたものが多い印象を受けました。佐々木さんのご提案はリベラルアーツとビジネスを関連づけることを重視したもので共感しましたし、実際にリベラルアーツ思考ケースラーニングの様子を拝見して、白熱した参加者のアウトプットで関連づける観点が多様で、私もこの場に参加したいという気持ちになりました。

    リベラルアーツ思考ケースラーニングの実施風景

    当社のメンバーは目の前の規定演技をこなすことで精一杯になっている場合が多く、正解・不正解のない事象に対して発言、共有することに苦手意識があります。それを乗り越えるには、単に専門分野の知識があればいいわけではなく、幅広い分野の教養や情報をインプットし、いろいろな価値観を楽しみながらダイレクトにアウトプットしあう機会が必要です。この力を高めることができるのが魅力であり、私たちの課題解決につながると判断しました。

    “越境スピークアウト体験”が企業の次世代リーダー育成にもたらすもの

    新高:佐野さんのコメントを受け、佐々木さんはどんなお気持ちですか。

    佐々木氏:1年半くらいかけてプログラムを設計したものの、企業の皆様に受け入れてもらえるかという不安な部分もありました。もともと私たちは動画学習コンテンツを配信することから始め、企業人材育成はこれから力を入れていくステータスでした。私たちは今回、人材育成専門家だけでなく、スタートアップ起業家や大学教授、ソーシャルイノベーター、テレビ局制作スタッフなど非常に多様な専門家に参画してもらいこのプログラムを作り上げました。だからこそ、研修専門の会社が提供しているような一般的な人材育成プログラムとはひと味違う、みんなでアジャイル的に作り上げるイノベーティブなプログラムに仕上がりました。

    このプログラムは、ファシリテーターはいるけど講師はいない、誰かが誰かに教えるわけじゃなくて、みんながみんなで問いを立て合うところが持ち味になっています。清水建設様を始め、いろいろな企業様から面白いねとご評価頂けると嬉しいですし、世の中の役に立つという実感も持ち始めています。

    新高:清水建設様は、プログラムを始められているフェーズですが、佐野さんが「リベラルアーツ思考ビジネスプログラム-異業種交流スクール」へ期待する効果について教えてください。

    佐野氏:すべての研修に言えることですが、プログラムを終えたからといって、すぐにリーダーになれるというものではありません。あくまでもプログラムはきっかけに過ぎず、楽しみながら、あらゆるものの中にヒントを見つけ出す意識を習慣化させることに期待しています。

    変えたいのはマインドです。こうしたプログラムを通し、社外の視点に触れることで自身の視野の狭さに気づき、自発的に勉強しようという意識、人との交流を広めようといった気持ちが生まれてくれればいいなと考えています。気づいていないだけで、世の中にはヒントがたくさんあります。ありふれた情報の中からどれをヒントにするかは、人それぞれです。こうしたヒントをキャッチするためのセンスを磨ける場であるといいですね。

    佐々木氏:「リベラルアーツ思考ビジネスプログラム-異業種交流スクール」は、異業種数社とのケースラーニングを行うスタイルで、“越境スピークアウト体験”ができるようになっています。
    スピークアウトとは自分の意見を公然と発言をすることです。たとえば、職場で「民主主義についての話をしよう」となったら尻込みしてしまう人も多いかもしれませんが、自身の政治的な信条や考えを聞くのではなく、「欧米中心に広がる民主主義だが、中国やロシアと比較してどうなのだろう」といった一般論に則した話であれば誰でもできるわけで、こうした自分の意見を公言できるようなマインドの醸成を目指しています。特に、普段は接点のない社外の方々に話す体験が、人を変えていくきっかけにもなるので、佐野さんが期待されている成果や気づきを、清水建設の参加者の皆様に得ていただきたいと思っています。

    佐野氏:業種や規模の異なる会社の多様な参加者が、自分たちの常識や知識に囚われずに考え、思いを言語化していくことは非常に重要だと思います。当社からの参加者にはこの経験を他のメンバーにも共有してほしいし、共感した人たちが自分も参加したいと思い、同じような観点で物事をとらえ、“関連づける力”を高めることを期待したいです。

    佐々木:異業種交流スクールは4ヵ月で終了しますが、卒業生の方々はいつでもつながれるようになっています。これをきっかけにいろいろな業種、業態の企業の間でどんどんオープンイノベーションがスタートしていくのが理想ですね。

    佐野氏:もし受講した期が違ったとしても、同じ経験を共有している人たちが集まれば、母数は増えていきます。そこから新たなものが生まれる可能性は非常に高いと思いますね。

    多様な可能性を選択できる次世代リーダーの育成を

    新高:私も「リベラルアーツ思考ビジネスプログラム」をさまざまな企業様にご案内している立場ですが、ローンチして間もないながら、規模・業種を問わずさまざまなお問い合わせがありますね。

    佐々木氏:エンタープライズ系からスタートアップ系まで幅広い企業様からの問い合わせをいただいています。共通しているのは、「このままでは良くない」と考えている人材育成担当者からの問い合わせが多いことです。これからの局面を乗り切っていくには、これまでの方法では不十分で、新しい取り組みの必要性を感じている企業の皆様に関心を持ってもらっていると思っています。

    佐野氏:参加企業が多様性に富んでいることにも大きな意味を感じました。同じ規模感で同じ上場企業だと、やはり企業風土が似てきて、さまざまな価値観、考え方に触れる効果は薄まってしまいます。業種や規模を問わず、ポジティブになにかを変えていこうとする多様な企業の方々と、一緒に切磋琢磨できればと思っています。

    新高:魅力的なコミュニティになりそうですね。

    佐々木氏:私たちが提供するリベラルアーツを用いたプログラムは、人生の選択肢を広げるきっかけです。日本は停滞していて、先行きは明るくないなんてことも言われていますが、人生は楽しいほうがいいに決まっています。誰もがたくさんの可能性を選択でき、充実した人生を歩める。こんな世界にするために、リベラルアーツをもっと浸透させていきたいですね。

    新高:NTT Comスマートエデュケーション推進室でも「誰もが自分らしく働く社会」を目指していますので、リベラルアーツを通して人生を豊かにしてもらえたらと思っていますし、今後もそうしたサービスを世の中に創出し、多くの企業様に提案をさせていただきたいです。

    ■「リベラルアーツ思考ビジネスプログラム」の詳細・資料DLはこちら
     https://gacco.co.jp/service/liberalarts/

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