01
Coming Lifestyle
2023.08.04(Fri)
目次
観光DXの実現を目指す先進都市、フィンランド。首都ヘルシンキでは2011年から市が収集・管理しているパブリックデータを一般に公開し、アプリケーション開発などでの活用を促しています。「ヘルシンキ・リージョン・インフォシェア(HRI)」と名付けられたプラットフォームでは、一連のデータに誰でも自由にアクセスでき、原則無料で利用が可能。さまざまな活用方法が期待されます。
例えば、官主導で行われている「カラサタマ・デジタルツイン・プロジェクト」。ヘルシンキのカラサタマ地区をデジタルツイン化することで、仮想空間上で建物の設計やテスト、建設が可能になり、都市開発におけるプロセスの最適化が期待されています。さらに地域住民との交流のためのオンラインプラットフォームとしての機能も実装予定など、未来型の都市計画が進んでいます。
また、中国の大手IT企業テンセントとヘルシンキ市は、モバイルアプリ「WeChat My Helsinki mini program(ウィーチャット・マイ・ヘルシンキ・ミニプログラム)」を共同で開発。本アプリは、HRIが公開している市内の地理データや公共交通データなどをベースに開発された、中国人観光客向けのパーソナルレコメンデーションと交通機関や店舗などでの決済機能を備えたMaaSアプリです。スマホ画面におすすめのお店や観光スポット、イベントなどの情報をパーソナライズして表示するほか、交通機関の乗り換え案内機能も提供しています。中国最大の電子決済システムWeChatペイにも対応し、中国国内と同じように電子マネーでの支払いができるなど利便性が高いのも特徴です。
あらゆるデータを活用し、オンラインとオフラインの両面から都市や観光のあり方をアップデートする、ヘルシンキの今後の取り組みに注目です。
2023年5月、メジャーリーグベースボール(MLB)は、ファンとのエンゲージメント強化を図るため、Lava Controls社が開発したディスプレー型のソーシャルメディアコマンドセンターを導入すると発表しました。
ニューヨークのMLB本部に設置されたソーシャルメディアコマンドセンターは、Facebook、Twitter、Instagramなどの主要ソーシャルメディアのユーザーのアクティビティー情報を反映するほか、注目を集めている会話やつぶやき、コメントといったソーシャルメディアで繰り広げられている対話をリアルタイムで表示する仕組みです。本システムの導入により、1億7,000万人を超えるMLBファンのSNS上の声を瞬時に捉え、可視化できるように。
今後はMLBのみならずNFLやNBAなどのほかのスポーツへの展開も想定され、“ファンの熱狂”がデータ分析によって新たなコンテンツ開発へとつながる、これからのファンマーケティングの動向に目が離せません。
世界最大の電気自動車(EV)メーカーのテスラが、「テスラ保険」の販売を開始していることはご存じでしょうか。テスラは2021年から、主にテスラのEVを対象に保険の販売を開始し、現在までにカリフォルニア州、テキサス州、アリゾナ州、ネバダ州などの全米12の州で取り扱いを行っています。
従来型の保険は年齢や運転歴、車種、事故歴など「等級」によって算出されるのが一般的ですが、テスラ保険の最大の特徴は、ドライバーの「セーフティースコア」に重点を置いている点にあります。保険の購入時点ではドライバーのセーフティースコアは90点に設定されますが、その後の「リアルタイム運転状況」によりスコアが修正され、より安全に運転したとされれば加点、危険な運転をしたとされれば減点されます。危険な運転には、スピード違反、深夜時間帯の運転、急ブレーキ、高速ターン、危険な車間距離などが含まれ、日々のスコアはスマホのアプリで確認できる仕組みに。
そして、30日間の運転状況のモニタリングを経て当月のスコアが確定し、翌月の保険料が決定します。従来型の保険料が「過去に起きた事実」にもとづいて決定されるのに対し、テスラ保険の保険料は、「現在の状況と、それによって導かれる未来の可能性」にもとづいて決定されると言えるかもしれません。車両に搭載された通信端末を通した運転特性などのデータ分析から保険料が算出される自動車保険は、「テレマティクス保険」とも呼ばれ、こうしたパーソナライズ化された保険が今後の主流になっていくかもしれません。
データ利活用によって個人に最適化した情報が得られるだけでなく、社会も豊かになるような海外事例をご紹介しました。ここで大切なのは集められたデータをどのように扱うかということ。あらゆるデータを容易に取得できるようになったなかで、正しくデータを分析し、いかに人々のニーズやより豊かな社会につながるサービス開発へとつなげられるかが、ビジネス成功の分岐点とも言えるかもしれません。
そのためにはデータ収集や蓄積、管理、分析に必要な機能を自由に組み合わせ、ワンストップで適切に利用できる仕組みが求められます。
NTTコミュニケーションズではデータ利活用に課題を抱える企業の方々をサポートし、ビジネスインパクトをもたらすサービス開発を目指しています。
【Smart Data Platform】
https://www.ntt.com/business/sdpf/utilization.html
OPEN HUB
ISSUE
Coming Lifestyle
最適化の先へ、未来のライフスタイル