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2025.05.16(Fri)
Carbon Neutrality
2024.11.13(Wed)
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この記事の要約
生成AIの急速な普及に伴い、データセンターの冷却問題が深刻化しています。従来の空調による空冷方式では、AIの膨大な計算処理に必要なGPUの発熱量に対応できなくなっているのです。
この課題に対し、NTT Comは2025年3月から「Green Nexcenter®」という液冷式データセンターサービスを開始します。液冷方式は、GPUなどの発熱源を液体で冷却する効率的な方法で、従来の5倍以上の冷却能力を誇ります。
Green Nexcenter®は、高い冷却能力に加え、再生可能エネルギーの活用や1ラック単位でのコロケーションサービスの提供など、幅広いニーズに対応できる柔軟性も特長としています。さらに、将来的には次世代情報通信基盤構想IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)のAPN技術(All-Photonics Network)の導入により、データセンター間を高速かつ広帯域で接続します。これにより、超大容量のデータを超低遅延でやりとりできるようになります。
NTT Comは、この新技術を通じて、生成AIなどの先進的テクノロジーの普及と社会のポジティブな変革を支援していく方針です。
※この要約は、生成AIをもとに作成しています。
——データセンターの冷却能力の向上が急がれると聞きますが、なぜなのでしょうか?
北山:ご存じのように、背景にあるのは生成AIの隆盛です。さまざまなWebサービスやビジネスツールに生成AI技術が実装され、多くの人が日常的に生成AIを活用するようになりました。それに伴い、データトラフィックが爆発的に増大しています。大規模なデータ計算を実現するために、いかに効率的にサーバーを冷却するかがデータセンターの課題になっているということです。
例えば、マーケティングに生成AIを活用する場合のプロセスとして、まず大量のデータを読み込む学習。次に、その計算結果をもとにユーザーのニーズや行動を予測する推論。そして学習済みデータによって得られた洞察から確度の高いマーケティング施策を立案するという3つの段階があります。この最初の学習のプロセスに、特に高度な計算処理が求められ、サーバーの発熱量も多くなります。ところが、従来のデータセンターでは冷却が追いつかず、生成AIのパフォーマンスを最大化しきれていませんでした。
——つまり、生成AIによってデータトラフィックが急増したことで、効率的にサーバーを冷却し、計算処理能力を向上させる必要が出てきたということですね。
北山:そのとおりです。この膨大な計算量を実現するため、生成AIの計算に使われるサーバーには中央処理演算装置であるCPUと、画像処理装置のGPUチップが使われていることがほとんどですが、このGPUチップのデータ処理性能が高い分、消費電力と発熱量は非常に多くなります。
試算によると、データセンターの消費電力は驚くべきスピードで増加しています。2018年ごろは190TWh(テラ・ワット・アワー)しかなかったのが、2030年には約16倍の3,000TWhに。さらに2050年には約2,652倍の504,000TWhにまで増えるといわれています。
消費電力と比例して発熱量も増えます。従来、データセンターでサーバーラックを冷やすために使われていたのは空調冷却、いわゆるエアコンでした。1つのラックには、2Uサーバーで20台ほどのサーバーを搭載できますが、エアコンの冷却能力は1ラックあたり20kWといわれています。しかし、生成AIのデータ計算量に耐えうる最新のGPUを積んだサーバーは、1台で10kWの発熱量があります。つまり、空冷ではラックに2台搭載しただけで限界に達してしまうのです。そこでNTT Comのデータセンターでは液体をラック内に循環させ、効率的に冷却する「液冷」方式のサーバー機器に対応することにしました。
OPEN HUB
THEME
Carbon Neutrality
#脱炭素