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New Technologies
2024.06.12(Wed)
この記事の要約
サイバーレジリエンスの最適解を求めて、エキスパートたちによるクロストークが行われました。ランサムウェア攻撃や自然災害の被害が拡大するなか、データ保護と迅速な復旧が重要とされています。
Pure StorageとWasabiの連携により、オンプレミスとクラウドのハイブリッド型サービス「CloudSnap to Wasabi」が実現。さらにNTT Comも加わり、「Wasabi Resilience for PureStorage」の開発が進められています。本ソリューションは、WasabiへのクリーンデータのバックアップとPure Storageへの復元を可能にし、ランサムウェア対策とBCP対策の両面で効果を発揮します。
各社は今後もデータ保護機能の強化や大容量化、導入から運用までのトータルサポートに注力。NTT Comは「サイバーレジリエンストランスフォーメーション(CRX)」を掲げ、お客さまの課題解決に向けたソリューション提供とパートナーシップを推進していく方針です。
※この要約はChatGPTで作成しました。
目次
光本博竹(以下、光本):ランサムウェアによるサイバー攻撃や自然災害などを背景に、多くの企業がサイバーレジリエンスに注目しています。皆さんはサイバー空間におけるセキュリティの現状をどのように捉えていますか。
吉武豊(以下、吉武):国内ではランサムウェアによる被害が拡大しています。警視庁のデータを見ると、ここ数年で被害件数が数倍レベルに増え、さまざまな業種の企業や団体が攻撃を受けていることが分かります。「明日は我が身」と危機感を持ち、効果的な対策を構築することが急務だと考えています。
脇本亜紀氏(以下、脇本氏):「ランサムウェアの被害に遭った」という話はあらゆる業界の方からお聞きしています。以前は不特定多数へのばらまき型が主流でしたが、最近では明確にターゲットを決めて攻撃する「標的型」が増えている印象です。Wasabiはさまざまな業界のお客さまにクラウド型のストレージサービスを提供していますが、IT部門の責任者の方々に対し「予算配分で重視する項目は?」というグローバル調査を行ったところ、「サイバーレジリエンス」という答えが3番目に多い結果となり、注目が高まっていることを実感します。
岩本知博氏(以下、岩本氏):ランサムウェアの対策に加え、自然災害によるダメージからいち早く復旧を図るという観点で「ディザスタ・リカバリ」という考え方も重要です。
Pure Storageが提供するオールフラッシュストレージは、お客さまのデータ保護機能に特に力を入れています。例えば1日に1回、1時間に1回などユーザーさまが設定した定期的なタイミングでデータを転送する機能や、管理者権限があってもデータを消去できないセーフモードなどの機能をすべて無償で使っていただくことができます。
脇本氏:Wasabiにはデータの出し入れに課金しないという信念があるので、Pure Storageのそうした企業姿勢にとても共感します。Wasabiはクラウド型のオブジェクトストレージですが、万が一バックアップデータを復元する必要があっても課金されることはありません。
光本:さまざまな背景から企業がサイバーレジリエンスへの意識を高めているなか、Pure StorageとWasabiが連携した「CloudSnap to Wasabi」という新たなサービスが始まっています。これはどのようなサービスなのでしょうか。
岩本氏:Pure Storageの製品には、データを圧縮した状態でクラウドに転送する「CloudSnap」という機能があります。いわゆるレプリケーション(複製の作成)機能ですが、今回Pure Storageがサポートするクラウドストレージとして新たにWasabiが追加となり、Pure StorageのストレージからWasabiへ直接レプリケーションができるようになりました。
実はこれは、「Pure StorageのSSDに保存しているデータをWasabiのクラウドストレージに転送できたらいいのに」というお客さまの声から生まれた日本発のサービスなのです。当社はプリンシパル・テクノロジストというポジションを各国に置いているのですが、私もその一人として、ユーザーさまの声をもとに機能を実装することをミッションとしています。お客さまのリアルな声を生かし、Wasabiとともに新たなサービスを実現することができました。
光本:Pure Storageのような自社内で管理運用するオンプレミス型と、Wasabiのようなクラウド型は別々に捉えられることが一般的ですが、CloudSnap to Wasabiはオンプレミスとクラウドがハイブリッドになったサービスなのですね。
光本:サイバーレジリエンスへの新たな取り組みとして、WasabiとPure Storage 、NTT Comの3社が連携して「Wasabi Resilience for PureStorage」を開発中ですが、これはどのようなソリューションなのでしょうか。
吉武:先ほどご紹介のあったCloudSnap to Wasabiを活用した新たなソリューションがWasabi Resilience for PureStorageです。ポイントは、Wasabiに長期保管したデータを復元できること。Pure StorageのCloudSnap機能を使ってWasabiにクリーンデータを溜め込むことができるため、ランサムウェアの被害を受けてもWasabiからデータの復旧を図ることができます。
また、災害などでPure Storageの筐体(きょうたい)が全損してしまっても、Wasabiを介してデータを復元することができます。Wasabiにはクラウドストレージ間でのバックアップデータのレプリケーションができる機能があるため、例えば関東・関西リージョンのWasabi間でレプリケーションをしておけば、もし関東で自然災害が発生してデータを取り出せなくなってしまっても、関西のWasabiを介してデータの復旧を行うことができます。
このようにWasabi Resilience for PureStorageはランサムウェア対策だけでなくBCP(※)対策という観点でも有効なソリューションになると考えていますので、ぜひご期待ください。
※BCP:事業継続計画。企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合に、事業資産の損害を最小限にとどめながら中核となる事業の継続または早期復旧を可能とするために、緊急時における事業継続のための方法・手段などを平時に取り決めておくこと。
脇本氏:Pure StorageのCloudSnapと復旧機能、そしてWasabiのレプリケーション機能がいずれも無償で提供されるだけでなく、お客さまが最も懸念される「本当にデータが戻ってくるのか」という不安を解消できることが、このソリューションの魅力ですね。
岩本氏:おっしゃる通りです。NTT Comのネットワークを使用しているので、復旧のスピードが速いこともポイントです。
脇本氏:避難訓練と同様に、データを復旧する練習を日頃からやっておこうと考えるユーザーさまも増えていますから、ぜひ機能をフル活用いただければと思います。
光本:復旧にかかるコストが発生しないというのは経営目線で大きなメリットですし、いざという時のために日頃から対策しておけば「最後の砦」になりますよね。
岩本氏:まさにそうなのです。多くの企業はファイアウォールなどのセキュリティ対策に優先的に予算を使うため、バックアップなどのインフラ対策にあまり費用をかけられないというケースが多いように思います。しかし、Wasabi Resilience for PureStorageのような「最後の砦」を築くことは、それらと同じくらい重要であるということを知っていただき、現状のセキュリティ体制を見直す企業が増えていくとうれしいです。
脇本氏:バックアップは取っているという企業が圧倒的に多いと思うのですが、ランサムウェアの被害を受けた企業の中には「バックアップは取っていたけれどデータを取り戻せなかった」という事例もあります。データの「保管」だけでなく「復旧」にも目を向けていただければと思います。
光本:サイバーレジリエンスは今後ますます重要になってくると思いますが、皆さんの展望をお聞かせください。
脇本氏:データの長期保管で重要となるのがデータ保護です。Wasabiが提供するマルチユーザー認証によるデータ保護機能は、あらかじめ決められた最大3名のメンバーが合意・承認しなければデータの削除ができないという最新の機能です。乗っ取りやうっかりミスなどのリスクに備えてMFA(多要素認証)を補完し、より強固なセキュリティを実現しています。今後もデータ保護機能の強化を図ってまいりますので、ぜひご期待ください。
岩本氏:Pure Storageは創業当初から「No More HDD」を掲げ14周年を迎えました。独自開発のSSDであるDirect Flash Module は進化を続け、2023年には75TBを実現しました。今後も150TB、300TBと加速度的に容量を増大させ、プライマリーストレージ市場において圧倒的な競争力を発揮していきたいと思います。
吉武:サイバーレジリエンスへの取り組みは、これからさらに高度化が求められるでしょう。さまざまな機能やサービスを展開するPure StorageとWasabi、そしてNTT Comの3社で横断的に手を取り合い、新たなソリューションを生み出していければと思います。また、「ソリューション導入後のアフターフォローもお願いしたい」というお客さまの声を受け、導入から運用までのトータルサポートにも取り組んでいきたいと考えています。
NTT Comは「サイバーレジリエンストランスフォーメーション(CRX)」に注力し、サイバーレジリエンスの強化につながるソリューションを提供するほか、お客さまの戦略実現や課題解決をサポートするパートナーとして伴走します。お困りごとがあれば、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。
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