お知らせ

サイトメンテナンスについて

Partnership with Robots

2023.04.14(Fri)

身体を拡張して心を満たすロボティクス最新事例
ライフスタイル編

#事例 #AI #ロボティクス #Smart World #ヘルスケア
配送や店舗での接客・配膳、介護サポートなど、すでに日常風景の一部となってきているサービスロボット。今回は、人々の暮らしをさらにウェルビーイングなものへと変えていく新しいサービスロボット・AIにおいて、心の充実や身体拡張、アバター活動といったさまざまな切り口から3つの先進事例をご紹介。ロボットとの共生から、豊かで新しいライフスタイルが見えてきました。

目次


    身体だけでなく心にも寄り添う。愛嬌あふれる新しい見守りロボット

    株式会社リビングロボット(福島県伊達市)は、これまで受動的な関わり(見る、聞くなど)を主とする製品の多かった見守りロボットに、音楽療法機能によって能動的な関わり(演奏する、一緒に踊るなど)を実現する新しいロボット「見守りウィーゴ」を実証実験中です。

    医療・介護施設へのロボット活用支援実績の豊富な藤田医科大学※1との共同研究によって実証実験が進められている見守りウィーゴは、利用者のウェルネスに貢献するさまざまな機能を備えた小型二足歩行コミュニケーションロボット。

    離れて暮らす家族とビデオ通話できる双方向通信機能や、タブレット端末を用いた脳トレ機能、利用者のスケジュールを管理してくれる声かけ機能に加えて、一緒に音楽を楽しむことでもたらされる生理的・心理的・社会的な効果から心身の健康の回復、向上をはかる音楽療法機能の搭載が特徴です。

    利用者の感情に寄り添う「ドラえもんのようなロボット」を目指しているというウィーゴは、表現力豊かな身振り手振りや安定感のある二足歩行などを活かして、一緒に体操をしたり、音楽に合わせてダンスしたりすることも可能。愛嬌のあるコミュニケーションによって、持ち主のウェルビーイングをサポートします。

    今後は人間の言葉に応える性能開発も進められていくというウィーゴ。高齢者や要介護者だけでなく、生まれたときから生涯を通じて寄り添ってくれるようなロボットの存在によって、人々のより豊かな暮らしを実現する未来が近づいてきています。

    ※1 医学部リハビリテーション医学I講座、および、ロボティックスマートホーム・活動支援機器研究実証センターとの取り組み

    自在に動く「第3、第4の腕」が実現?身体が“増える”ことでもたらされるウェルビーイングとは

    主に製造現場などですでに広く普及しているロボットアームは、人間の安全確保上、身体から離して使用されるものになっています。そうしたロボットアームを第3、第4の腕として自分の身体に「付加」し、自分の身体になったかのように自在に動かすことをテーマにした開発・検証が進められています。

    東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏は、自身が総括を務める、人間がロボットやAIなどと“人機一体”となることを目指す「稲見自在化身体プロジェクト」において、その最新の成果といえる「自在肢※2」の動画を2023年2月に公開しました。

    自在肢は、6つのターミナルを持つベースユニットと、着脱式ロボットアームからなるウェアラブルシステム。女性の身体側部から伸びる自在肢は、女性の身体の一部のように、時にはもうひとりのパートナーのように動きながら、人機一体となって優美なダンスを披露しています。

    たとえば杖のような道具による身体の代替・延伸や、重いものを運びやすくするパワーアシストスーツのような身体補強としてではなく、自在肢のように身体を「増やす」ことをテーマとする研究が近年注目されつつあります。

    こうした身体拡張の進歩は、新たな身体感覚の獲得によってできること・やりたいことが増えるとともに、身体的な差異によって生じるさまざまな社会課題解決への貢献が期待されます。心身ともに多様で豊かな自在化社会を目指して、ウェルビーイングを実現していく身体拡張ロボットは今後もさらに注目を集めていくことでしょう。

    ※2 東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野 稲見・門内研究室と東京大学生産技術研究所機械・生体系部門 山中俊治研究室による共同研究

    テキストを打ち込むだけでアバターがナレーション。メタバース社会を先取りする動画生成AI

    2022年11月のリリース以降、驚異的な文章自動生成能力で世界中の話題となっている、アメリカのOpenAI社が手がけるAIチャットサービス「ChatGPT」ですが、その言語モデルを応用したさらなる先進的自動生成AIサービスも早速登場しています。

    自動生成系AIを開発するイスラエルの企業「D-ID」は、ChatGPTリリース翌月の12月、ユーザーのテキストを元にアバターや文章を生成してナレーションまでしてくれるサービス「Creative Reality™ Studio」をリニューアル公開しました。

    リニューアルに際して、ChatGPTにも使用されている言語モデル「GPT-3」の機能を新たに搭載。GPT-3による文章生成と、イギリスのAI関連企業・Stability AI社の「Stable Diffusion」による画像生成、そしてD-ID社独自のディープラーニングを用いた生成AI技術を組み合わせることで、画期的な動画自動生成プラットフォームが実現しています。

    Creative Reality™ Studioはサービス公開時点で、270種類の声と119の言語に対応。写真やイラスト画像、音声データなどのオリジナルデータからの自動生成にも対応しており、生成されるアバター・声・文章のアウトプットは実に多様。リアルな人物やアニメ風のキャラクターなど、グローバルで多彩なナレーション動画が誰でも簡単に生成可能で、プレゼンテーションや解説などの役割を人に代わって担ってくれます。また、自動生成AIによるアバター接客も登場している中で、Creative Reality™ Studioを活用した顧客との自然なコミュニケーションなども実現していくことでしょう。

    メタバースの普及が予見されるこれからの社会において、こうしたAIの発達によってもたらされる新しいコミュニケーションや経済活動もより盛んになっていくことが見込まれます。それに伴って、社会やライフスタイルもさらに新しく豊かなものに変わっていくはずです。

    ロボット・AIによって実現するより豊かな暮らし

    今回は、より日常的な暮らしの中でもロボットがその存在感を発揮する先進事例を3つご紹介しました。時には人々の心に寄り添い、またある時には人々を新しい表現活動へといざなってくれるロボット・AI。ビジネスや産業における社会課題解決のみならず、人々がよりよく生きるウェルビーイング実現にも、ロボットとの共生が重要視されていくに違いありません。