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New Technologies
2022.09.30(Fri)
目次
ウェビナーの冒頭は、神社の杜のワーキング・プレイス「8KUMO(やくも)」を設立した、ネットコマースの代表取締役・斎藤昌義氏の講演で始まりました。
斎藤昌義氏(以下、斎藤氏):「8KUMO」は都心から車で2時間ほどの距離にある、標高910メートルの八ヶ岳の山麓にあります。気温は東京と比べると、マイナス5度ほど。実は周りに観光施設もあり、車で5分ほどのところに温泉やスーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニもあります。気候条件にも恵まれ、気温が低い一方で日照時間は長い地域であり、“八ヶ岳ブルー”と称されるほど、見事な青空も広がります。
「8KUMO」を作ろうとした背景には、これまで「IT×ビジネス人材」で活力ある日本にするために働いてきたこともあり、働くことが成長の喜びであると実感できる世の中にしたいという思いがありました。そして、「8KUMO」を通して、アウトドアで働くという、新しいワークスタイルを定着させたいと考えています。
私自身、「8KUMO」から徒歩10分ほどの場所に家を構え、二拠点生活を実践しているところです。東京とは空気が違い、血液が入れ替わるような思いを実感しています。森は特別な場所で、ストレスが不思議なほどなくなっていく感覚もあり、都心よりも寝つきがグッと良くなります。
そんな場所で働くことは幸せであり、楽しめるのではないかという思いから、ビジネスのプロフェッショナルたちが快適にワーケーションできる施設を作ろうと思い立ちました。
「8KUMO」の特徴は、アウトドアで仕事をするために必要な設備やサービスが整った森のワーキング・プレイスであることです。入場料さえ支払えば、お茶やコーヒー、Wi-Fiやプリンター、コピー機、薪や燃料まで利用でき、森のどこにいても仕事ができます。
ただ、私が一番大切にしていることは「自律した人たちに来てもらいたい」ということ。互いを思いやるという原則だけで、誰もが気持ちよく仕事ができるように運営していきたいですね。
現在の政府の方針では、ワーケーションとは「観光客を集めるための魅力の一つ」であり、観光が主目的になっています。しかし、私は仕事をする場所としての魅力を追求したいと考えています。都会を離れ、非日常の中で仕事の質を高め、チームビルディングやイノベーションを生み出す機会を提供していきたい。もちろん、場所を提供するだけでなく、人材育成をはじめとしたソフト面の提供も考えています。
今後の構想としては、まず建物や施設、ワーキング・プレイスを考えていますが、将来的にはさまざまなプログラムの提供も考えています。今はリモートワークが当たり前の時代なだけに、あえて人が集まることはとても貴重な機会です。体験を共有するからこそ、信頼関係が生まれて仕事もはかどるでしょう。
ハイブリッドワークの本質も、個人と組織でベストパフォーマンスを出せるよう、その時々に適した働き方に変えられるところにあります。まずは施設を立ち上げ、2023年から徐々にリモートワークやアジャイルチームの合宿、IT研修などのプログラムも提供したいと考えています。
これからはビジネスの主役が、モノからソフトを中心とするサービスへと、大きく軸足を移していきます。そんなサービスが主役の時代において、労働力を価値に転換するのではなく、知識力を価値に転換する働き方に変化していくはずです。そして、そのためにも個人が最もパフォーマンスを発揮できる場所で働く時代が訪れるのではないでしょうか。
続いて、講演の内容を踏まえて、斎藤氏とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の ソリューションサービス部 デジタルソリューション部門で 主査を務める田中雅教のクロストークが行われました。
田中雅教(以下、田中):斎藤さま、講演ありがとうございました。講演で「リモートワークが当たり前の時代で、あえて人が集まることはとても貴重な機会」と仰っていましたが、まさにその通りですね。私も同僚や上司と顔を合わせてコミュニケーションを取る機会は、特別だと感じるようになりました。
弊社でも、社員が積極的にリモートワークをしています。私自身もリモートワーク中心で、今は出社する日が月に1日あるかないかです。
斎藤氏:従来の働き方と比べて、リモートワークでの成果は実感していますか。
田中:コロナ禍当初はリモートワークにおけるコミュニケーションに課題があったものの、徐々に改善されました。
斎藤氏:従業員の満足度も高まっていますか。
田中:弊社が行った従業員満足度調査によると、全項目で満足度が向上したと結果が出ました。私自身、仕事とプライベートのバランスが取れるようになり、提供ツールの活用を2年半ほど続けたことで、コミュニケーションの環境が整ったという実感もあります。斎藤さんは二拠点生活されてみて、不安や課題は感じましたか。
斎藤氏:悪いところはないですね。田舎で不便なところと思われがちですが、本当に便利です。
八ヶ岳にあるひまわり市場は、山の中の成城石井ですよ(笑)。山の中でも海のものから地元の特産品まで、美味しいものが揃っています。東京との往復も苦ではないので、こちらに遊びに来た知り合いの中の、数人がすでに定住しているほどです。
だからこそ、リモートワークの推進を後押しするソリューションへのニーズはますます高まりそうですね。
田中:そうですね。コロナ禍当初はリモートワークでのコミュニケーションが取りにくく、オフィスでの対面コミュニケーションの方が仕事はうまく回ると感じられました。加えて、オフィス出社組とリモートワーカー組での情報格差も課題となり、このままではハイブリッドワークが進展しないという危機感もありましたね。
このような状況を打開するため、VRを活用してメタバース空間で会議ができる「NTT XR Coworking」や仮想オフィスツールの「NeWork」、音漏れしないスピーカー技術である「Personalized Sound Zone」の活用を推進しており、同じような課題を抱えているであろうお客さまにも提供するようになりました。
またお客さまと接する中で、ニーズの変化も感じています。当初は遠隔コミュニケーションについての相談が多く、代表的な問い合わせが「コロナ禍前のような働き方ができるソリューションはあるか」というものでした。既存のウェブ会議ツールでは会議そのものはできても、コミュニケーションが取りにくいという課題が露見した時期ですね。
最近はさらに一歩踏み込んで、デジタルツインを求められている印象があります。お客さまはデジタルツインという言葉こそ使いませんが、バーチャルでもオフィスに出社しているかのような環境を作るために、リアルとバーチャルを融合したいというニーズが高まっています。
斎藤氏:リアルとバーチャルの融合は、もう時間の問題でしょうね。境界はものすごく曖昧になり、リアルとバーチャルを行ったり来たりする時代がすぐそこまで来ていると言えます。
田中:以前のような働き方に戻ることは、まずないでしょうね。社員だけではなくて、企業の成長にもつながるため、今後もハイブリッドワークは続いていくのではないでしょうか。
斎藤氏:そうですね。リアルな世界での人間関係や信頼関係がうまく構築できているからこそ、ハイブリッドもうまくいくはずです。その点に誰もが気づき始めているので、リアルとバーチャルの融合も当たり前になっていきそうです。
田中:実際、私たちからお客さまに提案するのではなく、お客さま側から望む声が徐々に上がっています。肌感覚として、これからはメタバースやデジタルツインの活用が進んでいくはずです。
さらにもう一歩進んだ形としては、現在のデジタルツインは人間の姿をバーチャルの世界に投影する流れがありますが、将来的には人の知識やノウハウまでも投影されていくのではないでしょうか。
斎藤氏:個人の価値やパフォーマンスをどれだけ上げられるかが、結果としてビジネスの成果に結びつきますから、働き方はもっと自由でいいのではないかと思います。働く場所も自由に選べ、それが日常的な働き方になるよう、私たちも関わっていきたいですね。
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<ウェビナータイトル>
今こそ変革! 未来の働き方に必要なハイブリッドワーク
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